科目B|B4 データ活用の向上

試行結果の共有と導入の提案

シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『B 4-3 PoC の実施結果の関係者への情報共有・提案』

科目B|データ活用の向上農業

農業法人のA社は、野菜を育てて出荷している。出荷の量を早めに調整するため、収穫量を予測するAIを、品目ごとにいくつかの圃場で試行(PoC)した。試行の担当のYさんは、結果をX部長に共有し、本格導入を提案する資料を作ることになった。

X部長は、導入するかどうかを決める判断材料を、資料に整理して示すよう求めた。Yさんは、試行の結果を表1 に、本格導入にかかる費用の見込みを表2 に、本格導入に向けて残る課題を表3 に整理した。

Yさんは、資料に書く内容を次のとおり決めた。表1 の品目のうち、効果が確かめられたと資料に書けるのは【a】である。表2 の費用のうち、試行の費用に入っておらず、本格導入では新たに必要になるのは【b】である。表3 の課題のうち、導入の可否に影響する課題として資料に示すのは【c】である。

表1 品目ごとの試行の結果

品目試行の圃場数試行の作期数予測の誤差率
キャベツ427%
トマト316%
ねぎ6214%

誤差率の目標は10%以下である。作期は、種まきから収穫までの1回分を指す。効果が確かめられたと資料に書くのは、誤差率が目標以下で、天候の差を確かめるため、2作期以上試した品目とする。

表2 本格導入にかかる費用の見込み

費用の項目試行の費用(万円)本格導入の初年度の見込み(万円)試行での扱い
予測サービスの利用料30120試行用の契約で払い、本格導入でも続ける。
センサー機器の購入費090試行中は取引先から無償で借りた。
現場の作業の人件費2060担当者の作業時間を、時間単価で計上した。
データの保管料00予測サービスの利用料に含まれ、別には払わない。
保守・点検の費用412試行中も、実費を計上した。

本格導入では、対象の圃場が試行より増える。

表3 本格導入に向けて残る課題

課題影響する点解消にかかる期間内容
区画データが別形式精度7か月圃場の区画の情報が3つの事務所で別々の形式で、全圃場分をそろえる作業が要る。
予測画面が見づらい使い勝手8か月画面の作り直しを、外部の開発に頼む必要がある。
入力担当が未定精度2か月生育の記録を毎週入れる担当を、農場長が決めれば解消する。
確認手順が未整備使い勝手1か月予測を出荷担当が確認する手順が、決まっていない。

本格導入の開始は4月で、いまから5か月後である。導入の可否に影響するのは、開始までの5か月で解消できず、予測の精度に影響する課題である。使い勝手の課題は、導入後に直せる。

設問

本文中の【a】〜【c】に入れる字句の組合せとして、最も適切なものを解答群の中から選べ。

  • 表1 の品目のうち、効果が確かめられたと資料に書けるのは【a】である。
  • 表2 の費用のうち、試行の費用に入っておらず、本格導入では新たに必要になるのは【b】である。
  • 表3 の課題のうち、導入の可否に影響する課題として資料に示すのは【c】である。
解答群
記号【a】【b】【c】
アトマトデータの保管料入力担当が未定
イキャベツセンサー機器の購入費区画データが別形式
ウねぎデータの保管料入力担当が未定
エキャベツデータの保管料区画データが別形式
オトマトセンサー機器の購入費区画データが別形式
カねぎ現場の作業の人件費予測画面が見づらい
キキャベツセンサー機器の購入費予測画面が見づらい
クトマト現場の作業の人件費予測画面が見づらい
ケねぎ現場の作業の人件費入力担当が未定

正解:イ a:キャベツ b:センサー機器の購入費 c:区画データが別形式

ポイント

シラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたら、PoC の結果を関係者に伝えて本格導入を提案する時に、結果、費用、残る課題の中から、判断材料として何をどう整理して示すかを決める力です。

考え方と解き方

3つの表は、見る列が違います。結果は誤差率だけでなく試行の作期数も、費用は試行での扱いを、課題は影響する点と期間を、組み合わせて読みます。1つの列だけで選ぶと取りちがえます。

  1. 表1 の注より、効果が確かめられたと書くのは、誤差率が目標の10%以下で、2作期以上試した品目です。『予測の誤差率』の列と『試行の作期数』の列を合わせて見ます。キャベツは誤差率7%で2作期、トマトは6%で最も小さいですが1作期、ねぎは2作期ですが14%で目標を超えます。したがって a はキャベツです。
  2. 表2 の『試行の費用(万円)』の列で0なのは、センサー機器の購入費とデータの保管料の2行です。『試行での扱い』の列を見ると、センサー機器の購入費は、試行中は取引先から無償で借りたため費用に入らず、『本格導入の初年度の見込み』の列が90で、本格導入では新たに必要です。データの保管料は、予測サービスの利用料に含まれ、別には払わないので、本格導入の見込みも0で、新たに必要になりません。現場の作業の人件費は、時間単価で計上していて、試行の費用に入っています。したがって b はセンサー機器の購入費です。
  3. 表3 の注より、導入の可否に影響するのは、開始までの5か月で解消できず、予測の精度に影響する課題です。『影響する点』が精度なのは、区画データが別形式(7か月)と、入力担当が未定(2か月)です。このうち、『解消にかかる期間』が5か月を超えるのは、区画データが別形式だけです。予測画面が見づらいは8か月かかりますが、使い勝手の課題で、導入後に直せます。したがって c は区画データが別形式です。a はキャベツ、b はセンサー機器の購入費、c は区画データが別形式で、イ です。

ほかの選択肢

  • a がトマト・ねぎの組合せ(ア、ウ、オ、カ、ク、ケ):トマトは、誤差率が6%で最も小さいのですが、試行が1作期だけで、1作期の結果は効果が確かめられたとは書けません。ねぎは、2作期で試していますが、誤差率が14%で、目標の10%以下に届きません。
  • b がデータの保管料・現場の作業の人件費の組合せ(ア、ウ、エ、カ、ク、ケ):データの保管料は、試行の費用が0ですが、予測サービスの利用料に含まれ、本格導入の見込みも0で、新たに必要になる費用ではありません。現場の作業の人件費は、本格導入で金額が増えますが、試行でも計上していて、新たに必要になる費用ではありません。
  • c が予測画面が見づらい・入力担当が未定の組合せ(ア、ウ、カ、キ、ク、ケ):予測画面が見づらいは、解消に8か月かかりますが、使い勝手の課題で、導入後に直せます。入力担当が未定は、予測の精度に影響しますが、2か月で解消でき、開始までに間に合います。

覚えておくこと

  • PoC の結果は、目標の数字を満たしたかだけでなく、何作期・何か所で試したかも合わせて示す。この事例では、表1 の注のとおり、誤差率が目標の10%以下で、2作期以上で試した品目を、効果が確かめられたと書く。
  • 本格導入の費用は、試行の費用の延長で見積もらず、試行で無償だった物や、試行に入れていなかった物を洗い出して示す。試行の費用が0でも、扱いを読む。この事例では、試行の費用に入っていないのは、無償で借りたセンサー機器の購入費で、データの保管料は本格導入でも別に払わない。
  • 残る課題は、導入の可否に影響する物と、導入後に直せる物に分けて示す。この事例では、開始までに解消できず、予測の精度に影響する課題だけが、導入の可否に影響する。

(科目B・4-3)

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