科目B|B1 データの適切な取扱い
取引先コードの粒度と範囲
シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『B 1-1 データの定義及び内容の確認』
ビル管理業のA社は、オフィスビルや商業施設の管理を請け負っている。X部長は、経営会議で「A社が取引している法人の取引先は何社か」を報告することになり、Yさんに調べるよう頼んだ。
A社には、契約管理、工事管理、請求管理の3つのシステムがあり、どれにも「取引先コード」がある。3つのシステムは作った時期も担当者もちがうので、コードの付け方はそろっていない。各システムのコードの定義を表1 に示す。
Yさんは、3つのシステムから取引先コードを合計8件抜き出し、表2 にまとめた。表2 のほかの取引先は考えない。Yさんは、表1 と表2 を見比べてから、コードを数えることにした。
Yさんの整理は次のとおりである。表1 の定義では、コードの数がそのシステムに登録された法人の数と一致するのは【a】のコードだけである。表2 の8件から、法人の取引先を数えると【b】社である。表2 で、甲社に工事管理のコードが2つ(N-0102 と R-0031)あるのは、【c】ごとにコードを付けるからである。
表1 取引先コードの定義
| システム | コードを付ける単位 | 登録できる取引先 | 採番のしかた |
|---|---|---|---|
| 契約管理 | 企業ごとに1つ | 法人だけ | 全社で連番。登録済みの企業には新しいコードを付けない |
| 工事管理 | 企業と登録した部門の組ごとに1つ | 法人と個人事業主 | 部門ごとに連番。先頭の記号は、登録した部門を表す |
| 請求管理 | 請求書の送り先ごとに1つ | 法人と個人事業主 | 全社で連番 |
登録した部門は、A社の部門のことである。取引先の部門ではない。
表2 取引先コードの抜粋(8件)
| システム | コード | 取引先名 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 契約管理 | 1001 | 甲社 | 法人 |
| 契約管理 | 1002 | 乙社 | 法人 |
| 契約管理 | 1003 | 丙社 | 法人 |
| 工事管理 | N-0102 | 甲社 | 法人 |
| 工事管理 | R-0102 | 丁社 | 法人 |
| 工事管理 | R-0031 | 甲社 | 法人 |
| 請求管理 | 70015 | 乙社 | 法人 |
| 請求管理 | 70016 | 己商店 | 個人事業主 |
取引先名が同じなら同じ企業で、同じ企業なら同じ書き方になっている。区分は、取引先が法人か個人事業主かを示す。
設問
本文中の【a】〜【c】に入れる字句の組合せとして、最も適切なものを解答群の中から選べ。
- 表1 の定義では、コードの数がそのシステムに登録された法人の数と一致するのは【a】のコードだけである。
- 表2 の8件から、法人の取引先を数えると【b】社である。
- 表2 で、甲社に工事管理のコードが2つ(N-0102 と R-0031)あるのは、【c】ごとにコードを付けるからである。
| 記号 | 【a】 | 【b】 | 【c】 |
|---|---|---|---|
| ア | 請求管理 | 7 | 請求書の送り先 |
| イ | 工事管理 | 5 | 請求書の送り先 |
| ウ | 契約管理 | 4 | 登録した部門 |
| エ | 工事管理 | 4 | 登録した部門 |
| オ | 契約管理 | 5 | 登録した部門 |
| カ | 請求管理 | 5 | 工事の種類 |
| キ | 契約管理 | 4 | 工事の種類 |
| ク | 工事管理 | 7 | 請求書の送り先 |
| ケ | 請求管理 | 7 | 工事の種類 |
正解:ウ a:契約管理 b:4 c:登録した部門
ポイント
シラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたら、コードの定義の表と実データの抜粋を見比べ、コードの数と取引先の数が一致するかを読み取り、同じ企業に複数のコードが付く理由を表から選ぶ力です。
考え方と解き方
コードの数は、取引先の数とは限りません。コードを付ける単位(企業か、部門との組か、送り先か)と、登録できる取引先の範囲を、表1 で確かめてから数えます。
- 表1 の『コードを付ける単位』と『登録できる取引先』の列を見ると、「企業ごとに1つ」で「法人だけ」なのは契約管理だけです。工事管理は企業と登録した部門の組ごと、請求管理は請求書の送り先ごとに付き、どちらも個人事業主を含みます。表2 でも、契約管理の3件(1001〜1003)は甲社、乙社、丙社で、コード1つが法人1社に当たります。したがって a は契約管理です。
- 表2 の『区分』の列で個人事業主なのは、請求管理の70016(己商店)だけです。これを外した7件を『取引先名』の列で見ると、甲社は契約管理の1001、工事管理のN-0102とR-0031の3件、乙社は契約管理の1002と請求管理の70015の2件に分かれています。丙社と丁社を加えると、法人は甲社、乙社、丙社、丁社の4社です。したがって b は4です。
- 表1 の工事管理の行の『コードを付ける単位』を見ると、「企業と登録した部門の組ごとに1つ」で、『採番のしかた』の先頭の記号は、登録した部門(表1 の注のとおりA社の部門)を表します。表2 で甲社の工事管理のコードは N-0102 と R-0031 で、記号がちがうので、別の部門が登録したと分かります。工事の種類は表1 のどこにもコードを付ける単位として出てきません。請求書の送り先ごとにコードを付けるのは、請求管理の行です。したがって c は登録した部門で、ウ です。
ほかの選択肢
- a が工事管理・請求管理の組合せ(ア、イ、エ、カ、ク、ケ):工事管理は企業と部門の組ごと、請求管理は請求書の送り先ごとにコードが付くので、同じ企業に複数のコードが付きます。どちらも個人事業主を含み、コードの数は法人の数と一致しません。
- b が5の組合せ(イ、オ、カ):同じ企業をまとめた数に、個人事業主の己商店を入れています。表2 の『区分』の列を見落とした数え方です。
- b が7の組合せ(ア、ク、ケ):区分が『法人』の行を数えただけで、同じ企業が複数のコードに分かれている点(甲社が3件、乙社が2件)を重ねて数えています。
- c が工事の種類・請求書の送り先の組合せ(ア、イ、カ、キ、ク、ケ):工事の種類は、表1 でコードを付ける単位になっていません。N や R は工事の種類ではなく、A社の部門の記号です。請求書の送り先は、表1 の請求管理の行の単位で、工事管理には当てはまりません。
覚えておくこと
- コードの数は、取引先の数とは限らない。コードを付ける単位(企業ごと・部門との組ごと・送り先ごと)と、登録できる取引先の範囲(法人だけか、個人事業主を含むか)を、定義の表で確かめてから数える。
- この事例では、表2 の注により、取引先名が同じなら同じ企業として数える。現実には、名前だけでなく共通の企業コードなどでも確かめる。区分が『法人』のものだけを数える。
- 同じ企業に複数のコードが付いている時は、定義の表の『コードを付ける単位』で理由を確かめる。この事例の工事管理では、A社の部門ごとに登録するので、同じ企業でも部門がちがえばコードが分かれる。
(科目B・1-1)