科目B|B2 データ活用による意思決定・検証と改善
配送遅れの集計と比較
シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『B 2-2 ビジネス課題の解消や価値創出のためのデータ分析の実施』
物流業のA社は、家庭向けの宅配事業を行っている。最近、X部長は「配送の遅れが増えた」という声を現場から聞いた。そこでYさんに、直近1か月の配送実績を集計し、どこに遅れが多いかを調べるよう頼んだ。ここでの遅れは、約束した配達日時より後に届いた配送のことである。
Yさんはまず、地域別に集計した。結果を表1 に示す。A社の分析のきまりでは、配送件数が100件に満たない区分は、遅延率が高くても低くても、それだけで傾向があるとは判断しない。表1 は、このきまりに従って読む。
次に、都市部だけを、約束した時間帯別に集計した。結果を表2 に示す。Yさんは、改善の効果が大きくなるように、都市部の遅れの半分以上を占める時間帯から手を付けることにした。
さらに、荷物の大きさ別の集計も用意した。全地域の結果を表3 に示す。Yさんは、原因をさらに絞るための次の集計を考えた。
Yさんの整理は次のとおりである。表1 の地域のうち、きまりにより傾向があるとは判断しないのは【a】である。表2 で、都市部の遅れの半分以上を占めるのは【b】の時間帯である。原因を絞るために、次に行う集計は【c】である。
表1 地域別の配送実績(直近1か月)
| 地域 | 配送件数 | 遅延件数 | 遅延率 |
|---|---|---|---|
| 都市部 | 5,000 | 300 | 6.0% |
| 郊外 | 3,000 | 120 | 4.0% |
| 山間部 | 50 | 9 | 18.0% |
| 合計 | 8,050 | 429 | 5.3% |
表2 都市部の時間帯別の配送実績(直近1か月)
| 時間帯 | 配送件数 | 遅延件数 | 遅延率 |
|---|---|---|---|
| 午前指定 | 1,000 | 10 | 1.0% |
| 午後指定 | 2,200 | 66 | 3.0% |
| 夜間指定 | 1,300 | 156 | 12.0% |
| 指定なし | 500 | 68 | 13.6% |
| 合計 | 5,000 | 300 | 6.0% |
都市部だけの集計である。夜間指定は18〜21時の指定、指定なしは時間帯の指定がない配送である。
表3 荷物の大きさ別の配送実績(直近1か月)
| 大きさ | 配送件数 | 遅延件数 | 遅延率 |
|---|---|---|---|
| 小形 | 4,900 | 196 | 4.0% |
| 大形 | 3,090 | 209 | 6.8% |
| 特大形 | 60 | 24 | 40.0% |
| 合計 | 8,050 | 429 | 5.3% |
全地域の集計で、表1 と同じ直近1か月の配送実績である。
設問
本文中の【a】〜【c】に入れる字句の組合せとして、最も適切なものを解答群の中から選べ。
- 表1 の地域のうち、きまりにより傾向があるとは判断しないのは【a】である。
- 表2 で、都市部の遅れの半分以上を占めるのは【b】の時間帯である。
- 原因を絞るために、次に行う集計は【c】である。
| 記号 | 【a】 | 【b】 | 【c】 |
|---|---|---|---|
| ア | 都市部 | 午後指定 | 特大形の地域別の集計 |
| イ | 都市部 | 夜間指定 | 都市部の大きさ別の集計 |
| ウ | 都市部 | 指定なし | 特大形の地域別の集計 |
| エ | 郊外 | 午後指定 | 郊外の時間帯別の集計 |
| オ | 郊外 | 指定なし | 郊外の時間帯別の集計 |
| カ | 郊外 | 指定なし | 特大形の地域別の集計 |
| キ | 山間部 | 夜間指定 | 都市部の大きさ別の集計 |
| ク | 山間部 | 午後指定 | 都市部の大きさ別の集計 |
| ケ | 山間部 | 夜間指定 | 郊外の時間帯別の集計 |
正解:キ a:山間部 b:夜間指定 c:都市部の大きさ別の集計
ポイント
シラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたら、集計表から、件数の少ない区分と遅れが集中する区分を読み取り、次に分けて調べる区分と切り口を選ぶ力です。
考え方と解き方
率、配送件数、遅延件数のどの列を見るかは、問いによって変わります。率が最も高い区分や配送件数が最も多い区分は、遅れの件数が最も多い区分とは別になりやすいところです。
- 表1 の『配送件数』の列を見ると、100件に満たないのは山間部(50件)だけです。都市部は5,000件、郊外は3,000件で、きまりの対象ではありません。遅延率の高低は、このきまりとは関係がありません。したがって a は山間部です。
- 表2 の合計の行より、都市部の遅れは300件で、半分は150件です。『遅延件数』の列で150件以上なのは夜間指定の156件だけです(156÷300=52%)。午後指定は配送件数が2,200件と最も多いのですが、遅れは66件です。指定なしは遅延率が13.6%と最も高いのですが、遅れは68件です。したがって b は夜間指定です。
- 表1 の『遅延件数』の列を見ると、都市部が300件で、合計429件の約70%(300÷429)を占めます。郊外は120件(約28%)、山間部は9件です。遅れが集まる地域は都市部で、配送件数も5,000件あり十分です。郊外は遅れが集まる地域ではありません。表3 の『遅延率』の列では、特大形が40.0%と最も高く見えますが、『配送件数』の列は60件で、きまりにより傾向とは判断しません。件数が十分な大形(6.8%)と小形(4.0%)には差があるので、大きさは切り口に使えます。b の時間帯別とは別に、都市部全体で大きさの差を確かめると、原因を絞る手がかりになります。したがって c は都市部の大きさ別の集計で、キ です。
ほかの選択肢
- a が都市部・郊外の組合せ(ア、イ、ウ、エ、オ、カ):どちらも配送件数が100件以上で、表1 の傾向を判断してよい区分です。きまりの対象は、件数が100件に満たない山間部です。
- b が午後指定・指定なしの組合せ(ア、ウ、エ、オ、カ、ク):午後指定は配送件数が最多、指定なしは遅延率が最高ですが、遅れはどちらも都市部の半分に届きません。
- c が郊外の時間帯別・特大形の地域別の組合せ(ア、ウ、エ、オ、カ、ケ):郊外の時間帯別は、表1 で郊外の遅れが120件(約28%)、遅延率が4.0%と全体の5.3%より低く、遅れが集まる地域ではありません。特大形は、表3 で遅延率が40.0%と最も高いのですが、配送件数は60件で、きまりの100件に満たず、地域で分けるとさらに少なくなります。
覚えておくこと
- 件数が少ない区分の率は、数件のちがいで大きく動く。率だけで傾向と決めず、件数と、決めた最小件数のきまりで確かめる。この事例では、A社のきまりに従い、100件に満たない区分は傾向と判断しない。
- 率が最も高い区分、配送件数が最も多い区分、遅れの件数が最も多い区分は、同じとは限らない。問いに合わせて見る列を替える。
- 遅れが集まる区分(件数が十分で、遅れの多くを占める区分)を見つけたら、まだ使っていない切り口で分けて、原因を絞る。遅れの少ない地域の集計や、件数の少ない区分をさらに分けても絞れない。
(科目B・2-2)