科目B|B1 データの適切な取扱い
受注と出荷の対応のちがい
シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『B 1-2 データ間の関係と整合性の確認』
製造業のA社は、産業用の部品を受注生産している。X部長は、月次会議で「今月の受注金額」を報告するため、受注データと出荷データを使って集計するようYさんに頼んだ。
受注データは注文の内容を、出荷データは出荷の実績を記録している。それぞれの抜粋を表1、表2 に、2つのデータの定義を表3 に示す。
Yさんは、表1 と表2 を注文番号で結合し、両方に注文番号がある行だけを残して、受注金額を合計することにした。その前に、2つのデータの対応関係と、結合したあとの数字の変わり方を整理した。
Yさんの整理は次のとおりである。受注データの1行に対する、出荷データの行の対応は【a】である。Yさんの方法で受注金額を合計すると、【b】万円になる。表1〜表3 から見て、結合した集計の受注金額の合計が表1 の合計と合わなくなる原因を確かめるために見るべきことは【c】である。
表1 受注データの抜粋
| 注文番号 | 品名 | 受注数 | 受注金額(万円) |
|---|---|---|---|
| O-101 | 軸受A | 100 | 200 |
| O-102 | 軸受B | 60 | 90 |
| O-103 | 歯車C | 40 | 50 |
| O-104 | 歯車D | 80 | 120 |
受注金額は、その注文全体の金額である。
表2 出荷データの抜粋
| 出荷番号 | 注文番号 | 出荷数 | 出荷日 |
|---|---|---|---|
| S-01 | O-101 | 60 | 10/3 |
| S-02 | O-101 | 40 | 10/10 |
| S-03 | O-102 | 60 | 10/5 |
| S-04 | O-104 | 30 | 10/8 |
| S-05 | O-104 | 30 | 10/15 |
| S-06 | O-104 | 20 | 10/22 |
表1 の4件の注文についての、出荷の記録のすべてである。
表3 2つのデータの定義
| データ | 1行が表す単位 | キー項目 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 受注データ | 1件の注文 | 注文番号 | 注文番号は重複しない |
| 出荷データ | 1回の出荷 | 出荷番号 | 注文番号は、受注データの注文番号を示す |
1つの注文を分けて出荷することがあり、出荷のたびに1行を追加する。まだ出荷していない注文は、出荷データに行がない。
設問
本文中の【a】〜【c】に入れる字句の組合せとして、最も適切なものを解答群の中から選べ。
- 受注データの1行に対する、出荷データの行の対応は【a】である。
- Yさんの方法で受注金額を合計すると、【b】万円になる。
- 表1〜表3 から見て、結合した集計の受注金額の合計が表1 の合計と合わなくなる原因を確かめるために見るべきことは【c】である。
| 記号 | 【a】 | 【b】 | 【c】 |
|---|---|---|---|
| ア | 1対多 | 850 | 1つの注文番号が、出荷データで何行に出るか |
| イ | 1対多 | 850 | 注文番号の書き方が、両データでそろっているか |
| ウ | 1対多 | 460 | 1つの注文番号が、出荷データで何行に出るか |
| エ | 1対1 | 850 | 1つの注文番号が、出荷データで何行に出るか |
| オ | 1対1 | 460 | 出荷数の合計が、受注数をこえていないか |
| カ | 1対1 | 410 | 注文番号の書き方が、両データでそろっているか |
| キ | 多対1 | 410 | 注文番号の書き方が、両データでそろっているか |
| ク | 多対1 | 460 | 出荷数の合計が、受注数をこえていないか |
| ケ | 多対1 | 410 | 出荷数の合計が、受注数をこえていないか |
正解:ア a:1対多 b:850 c:1つの注文番号が、出荷データで何行に出るか
ポイント
シラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたら、2つのデータの1行が何を表すかから対応関係(1対多など)を読み取り、結合すると集計がどう変わるかを判断する力です。
考え方と解き方
先に表3 で、それぞれのデータの1行が表す単位とキー項目を見て、対応関係を決めます。そのあと表1・表2 の値で、結合後の行の数と金額を確かめます。受注金額は注文ごとの値なので、出荷の行の数だけ重なって足されるところで取りちがえやすくなります。
- 表3 の『1行が表す単位』の列を見ると、受注データは1件の注文、出荷データは1回の出荷です。『備考』の列では、出荷データの注文番号は受注データの注文番号を示しています。表3 の下の注のとおり、分けて出荷すると出荷のたびに行が増えるので、表2 でも O-101 が2行、O-104 が3行です。受注データの1行に、出荷データの行が複数つく対応です。
- 表1 の『受注金額』の列と、表2 の『注文番号』の列を見ます。両方に注文番号がある行だけを残すと、O-101 は2行(200×2=400)、O-102 は1行(90)、O-104 は3行(120×3=360)になり、O-103 は表2 に行がないので残りません。合計は400+90+360=850万円です。
- 表3 の下の注と表2 の『注文番号』の列を見ると、分けて出荷した注文の番号が出荷データの複数の行に出ています(O-101 は2行、O-104 は3行)。結合すると、受注金額の行がその数だけ増えて重なるのが、合計が合わなくなる原因です。表1・表2 の注文番号は同じ書き方で、出荷数も受注数と合っているので、書き方や出荷数の確認では原因を見つけられません。したがって、a は1対多、b は850万円、c は1つの注文番号が、出荷データで何行に出るかの確認で、ア です。
ほかの選択肢
- a が1対1・多対1 の組合せ(エ、オ、カ、キ、ク、ケ):受注データの1行(1注文)に、出荷データの行が複数つくことがあります。表2 の O-101 は2行、O-104 は3行です。 向きが逆です。表3 のとおり、出荷データの1行が属する注文は1つで、受注データの1行に出荷の行が複数つきます。
- b が460・410 の組合せ(ウ、オ、カ、キ、ク、ケ):表1 の『受注金額』の列をすべて足しただけの金額です。出荷の行がない O-103 は結合で残らず、出荷が複数の注文は行が重なります。 出荷のある O-101、O-102、O-104 の受注金額を1回ずつ足した額(200+90+120)です。結合すると、出荷の行の数だけ受注金額の行が増えて重なることを考えていません。
- c が注文番号の書き方が、両データでそろっているか・出荷数の合計が、受注数をこえていないか の組合せ(イ、オ、カ、キ、ク、ケ):一般には確かめる手順ですが、この表では、表1 と表2 の注文番号はどちらも O-101 のような同じ書き方で、結合でも一致しています。金額が合わなくなる原因ではありません。 表2 の出荷数を注文ごとに足すと、O-101 は100、O-102 は60、O-104 は80で、表1 の『受注数』と同じです。数量はこえておらず、金額が合わなくなる原因ではありません。
覚えておくこと
- この事例では、受注データの1行に出荷データの行が複数つく(1対多)。このまま結合すると、1側の値(受注金額)が、出荷の行の数だけ重なって、合計が大きくなる。
- 結合の前に、結合キーが、片方のデータで何行に出るかを確かめる。この事例の表では、キーの書き方や数量は合っているので、合計が合わなくなる原因はキーが複数の行に出ることである。
(科目B・1-2)