情報資産台帳の管理責任者
シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の科目B 大項目1 情報資産管理の計画:『1-2 管理責任及び利用の許容範囲の明確化』『1-3 情報資産台帳の作成』
事例
A 社は、従業員 40 名の設計事務所である。設計部(28 名)、営業部(6 名)、総務部(6 名)があり、各部に部長がいる。総務部の B 主任は、情報セキュリティの担当を兼ねている。取引先から「情報の管理体制を示してほしい」と求められたことをきっかけに、A 社は初めて情報資産台帳を作ることにした。
B 主任は、各部に聞き取りをして情報資産を洗い出し、表1にまとめた。
| 情報資産 | 内容を作成・更新する部門 | 日ごろ保管し使う部門 | 保管場所 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 設計図面データ | 設計部 | 設計部 | ファイルサーバー | 総務部がサーバーを運用。営業部は閲覧だけ行う |
| 顧客名簿 | 営業部 | 営業部 | クラウドの顧客管理サービス | 設計部が見積りの作成で参照したいと希望 |
| 紙の契約書の原本 | なし(締結後は変更しない) | 総務部 | 総務部の施錠キャビネット | 営業部は内容の確認で借りることがある |
| 設計用パソコン 28 台 | なし | 設計部 | 設計部の各席 | 購入と修理の手配は総務部が行う |
台帳の作成にあたり、A 社が定めた規程は次のとおりである。
・管理責任者は、情報資産ごとに 1 名とし、部長の中から定める。
・内容を作成・更新する部門がある情報資産は、その部門の部長を管理責任者とする。
・内容を作成・更新する部門がない情報資産は、日ごろ保管し使う部門の部長を管理責任者とする。
・保管場所の運用を受け持つだけでは、管理責任者にはならない。
・管理責任者は、その情報資産を利用してよい範囲を決め、台帳に記入する。
B 主任は、規程に従って、管理責任者の割り当て案を (一)〜(七) にまとめた。
次の(一)〜(七)のうち、規程に従った管理責任者の割り当てとして適切なものだけを全て挙げた組合せを、解答群の中から選べ。
- (一) 設計図面データの管理責任者は、設計部長とする。利用してよい範囲は設計部長が決めて台帳に記入する。
- (二) 設計図面データの管理責任者は、閲覧する営業部長とする。利用してよい範囲は営業部長が決めて台帳に記入する。
- (三) 顧客名簿の管理責任者は、営業部長とする。設計部が参照してよいかどうかは営業部長が決め、認める場合は利用してよい範囲として台帳に記入する。
- (四) 顧客名簿の管理責任者は、営業部長とする。設計部が参照してよいかどうかは、参照を希望する設計部長が決め、認める場合は台帳に記入する。
- (五) 紙の契約書の原本の管理責任者は、内容の確認で借りることがある営業部長とする。保管場所は総務部のキャビネットのままとする。
- (六) 紙の契約書の原本の管理責任者は、キャビネットで保管している総務部長とする。利用してよい範囲は総務部長が決めて台帳に記入する。
- (七) 設計用パソコン 28 台の管理責任者は、購入と修理の手配をしている総務部長とする。利用してよい範囲は総務部長が決めて台帳に記入する。
正解:エ (一)、(三)、(六)
ポイント
情報資産台帳を作るときに、規程に従って管理責任者と利用してよい範囲を割り当てる事例です。
考え方と解き方
決め手は、本文の規程の5項目と、表1の「内容を作成・更新する部門」「日ごろ保管し使う部門」です。作成・更新する部門があるかないかで、管理責任者の決め方が変わります。サーバーの運用や機器の手配をしているだけの部門を責任者にしてしまう点で間違えやすいです。
- 表1で、設計図面データは設計部、顧客名簿は営業部が作成・更新します。規程の2つ目より、管理責任者は設計部長と営業部長です。(一)は適切で、閲覧する営業部長とした(二)は不適切です。(三)は、利用してよい範囲を管理責任者が決める規程の5つ目に合い、適切です。参照を希望する設計部長が決めるとした(四)は不適切です。
- 契約書の原本とパソコンは、内容を作成・更新する部門がありません。規程の3つ目より、日ごろ保管し使う部門の部長が責任者です。契約書は総務部、パソコンは設計部です。(六)は適切、(五)(七)は不適切です。
- 適切なのは (一)、(三)、(六) の全てで、エ です。
ほかの選択肢
- ア (五)は不適切です。契約書の原本は内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ保管し使う部門の部長が管理責任者です。営業部は借りるだけで、保管し使う部門は総務部です。(六)が欠けています(総務部が保管し使う)。
- イ (二)は不適切です。設計図面データは設計部が作成・更新するので、規程の2つ目より、閲覧する営業部長ではなく設計部長が管理責任者です。(三)が欠けています(営業部長が範囲を決める)。
- ウ (二)は不適切です。設計図面データは設計部が作成・更新するので、規程の2つ目より、閲覧する営業部長ではなく設計部長が管理責任者です。(一)が欠けています(設計部が作成・更新する)。
- オ (四)は不適切です。規程の5つ目より、利用してよい範囲は管理責任者の営業部長が決めて台帳に記入します。参照を希望する設計部長が決めるのではありません。(七)は不適切です。設計用パソコンは内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ使う設計部の部長が管理責任者です。購入と修理の手配は、管理責任者を決める理由になりません。(三)が欠けています(営業部長が範囲を決める)。(六)が欠けています(総務部が保管し使う)。
- カ (二)は不適切です。設計図面データは設計部が作成・更新するので、規程の2つ目より、閲覧する営業部長ではなく設計部長が管理責任者です。(四)は不適切です。規程の5つ目より、利用してよい範囲は管理責任者の営業部長が決めて台帳に記入します。参照を希望する設計部長が決めるのではありません。(一)が欠けています(設計部が作成・更新する)。(三)が欠けています(営業部長が範囲を決める)。
- キ (五)は不適切です。契約書の原本は内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ保管し使う部門の部長が管理責任者です。営業部は借りるだけで、保管し使う部門は総務部です。(七)は不適切です。設計用パソコンは内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ使う設計部の部長が管理責任者です。購入と修理の手配は、管理責任者を決める理由になりません。(一)が欠けています(設計部が作成・更新する)。(六)が欠けています(総務部が保管し使う)。
- ク (四)は不適切です。規程の5つ目より、利用してよい範囲は管理責任者の営業部長が決めて台帳に記入します。参照を希望する設計部長が決めるのではありません。(三)が欠けています(営業部長が範囲を決める)。
- ケ (四)は不適切です。規程の5つ目より、利用してよい範囲は管理責任者の営業部長が決めて台帳に記入します。参照を希望する設計部長が決めるのではありません。(五)は不適切です。契約書の原本は内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ保管し使う部門の部長が管理責任者です。営業部は借りるだけで、保管し使う部門は総務部です。(七)は不適切です。設計用パソコンは内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ使う設計部の部長が管理責任者です。購入と修理の手配は、管理責任者を決める理由になりません。(一)が欠けています(設計部が作成・更新する)。(三)が欠けています(営業部長が範囲を決める)。(六)が欠けています(総務部が保管し使う)。
- コ (二)は不適切です。設計図面データは設計部が作成・更新するので、規程の2つ目より、閲覧する営業部長ではなく設計部長が管理責任者です。(五)は不適切です。契約書の原本は内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ保管し使う部門の部長が管理責任者です。営業部は借りるだけで、保管し使う部門は総務部です。(七)は不適切です。設計用パソコンは内容を作成・更新する部門がないので、日ごろ使う設計部の部長が管理責任者です。購入と修理の手配は、管理責任者を決める理由になりません。(一)が欠けています(設計部が作成・更新する)。(三)が欠けています(営業部長が範囲を決める)。(六)が欠けています(総務部が保管し使う)。
覚えておくこと
- 管理責任者は、情報資産ごとに 1 名を決める。内容を作成・更新する部門があればその部門の長、なければ日ごろ保管し使う部門の長とする
- 保管場所の運用や機器の手配、閲覧や借用をしているだけでは、管理責任者にならない。利用してよい範囲は管理責任者が決めて台帳に記入する