店舗の情報資産と利用の許容範囲

シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の科目B 大項目1 情報資産管理の計画:『1-1 情報資産の特定及び価値の明確化』『1-2 管理責任及び利用の許容範囲の明確化』

想定の事例|店舗の情報資産と利用の許容範囲科目B(事例)

事例

A 社は、賃貸住宅の仲介を行う不動産会社で、5 つの店舗がある。B 店は、店長と営業担当 6 名の 7 名で営業している。A 社は、内見の案内に使うタブレットを各店舗に 2 台ずつ配ったことをきっかけに、店舗ごとに情報資産を洗い出し、管理責任者と利用の許容範囲を決めて台帳に記入するよう、各店長に指示した。B 店では、店長が全ての情報資産の管理責任者となり、営業担当の C さんが情報セキュリティの担当として台帳の案を作ることになった。

A 社が定めた決まりは、次のとおりである。
・情報資産の区分は、扱う情報の機密性で決める。「高」は、本人確認書類の写し(画像を含む)や契約書など、顧客の身元又は契約の内容を示す情報とする。「中」は、「高」以外の顧客(借主と家主)の氏名、連絡先、希望条件などの情報と、社外秘の業務情報とする。「低」は、広告などで公開している情報とする。
・機器、アカウント、ファイルの区分は、それが保存又は表示する情報のうち、最も高い区分とする。
・利用の許容範囲は、区分と利用の場面に応じて、表1のとおりとする。管理責任者は、決めた許容範囲を台帳に記入する。

表1 利用の許容範囲の決め方
区分店舗内での業務利用店舗外への持出し・店舗外からの利用私物の機器での利用
高許可禁止禁止
中許可条件付き禁止
低許可許可許可

条件付き:店長の承認を得て、持出し簿に日時、利用者、目的を記録した場合に限り認める。

C さんは、B 店の情報資産を洗い出し、表2の台帳の案を作った。区分の欄は、まだ一部を記入していない。

表2 B 店の台帳の案(抜粋)
情報資産扱う情報区分店舗外への持出し・店舗外からの利用私物の機器での利用
物件の募集図面(紙)広告で公開している間取り、賃料、設備低許可許可
本人確認書類の写し(紙)契約の前に借主から受け取る運転免許証などの写し高禁止禁止
案内用タブレット 2 台物件の写真と募集図面のデータ、当日の内見を予約した顧客の氏名と電話番号未記入a1禁止
店舗の共有メールアカウント物件の問合せ(顧客の氏名、連絡先、希望条件)。契約の前に、借主が本人確認書類の画像を送ってくることがある未記入a2禁止
家主に出す査定書のファイル家主の氏名、連絡先、物件の査定額未記入条件付きa3

C さんは、a1〜a3 に入れる許容範囲を、決まりと表1に従って決めることにした。

表2中の a1〜a3 に入れる利用の許容範囲の組合せとして、適切なものを、解答群の中から選べ。

正解:ウ a1:条件付き/a2:禁止/a3:禁止

ポイント

扱う情報から情報資産の区分(価値)を決め、その区分と利用の場面から、利用の許容範囲を判断する事例です。

考え方と解き方

決め手は、決まりの2つ目「保存又は表示する情報のうち、最も高い区分とする」と、表1の列の見分けです。機器やアカウントは、目立つ情報(物件の写真や問合せ)ではなく、いちばん機密性の高い情報で区分が決まる点と、a3 は「私物の機器での利用」の列である点で間違えやすいです。

  1. a1:案内用タブレットは、公開している写真や図面(低)に加えて、内見を予約した顧客の氏名と電話番号(中)を表示します。最も高い区分は「中」なので、表1の「店舗外への持出し・店舗外からの利用」は「条件付き」です。
  2. a2:共有メールアカウントには、借主が本人確認書類の画像を送ってくることがあります。本人確認書類の写しは画像も含めて「高」なので、アカウントの区分は「高」で、店舗外からの利用は「禁止」です。
  3. a3:査定書は、家主(顧客)の氏名と連絡先を含むので「中」です。表1で「中」の「私物の機器での利用」は「禁止」です。
  4. したがって、a1:条件付き、a2:禁止、a3:禁止の ウ です。

ほかの選択肢

  • ア a1 が誤りです。タブレットは顧客の氏名と電話番号も表示するので、区分は「低」ではなく「中」で、条件付きです。a2 も誤りです。共有メールアカウントは本人確認書類の画像を受け取るので「高」で、店舗外からの利用は禁止です。
  • イ a1 が誤りです。写真や図面だけで区分を決めています。顧客の氏名と電話番号を表示するので「中」で、条件付きです。a3 も誤りです。条件付きは「店舗外への持出し」の列の扱いで、「中」の私物の機器での利用は禁止です。
  • エ a1 が誤りです。禁止は「高」の扱いで、タブレットは「中」なので条件付きです。a2 も誤りです。本人確認書類の画像を受け取るアカウントは「高」で禁止です。a3 も誤りです。「中」の私物の機器での利用は禁止です。
  • オ a1 が誤りです。タブレットは「中」なので条件付きです。a2 も誤りです。共有メールアカウントは「高」なので禁止です。a3 も誤りです。私物の機器での利用を許可できるのは「低」だけで、査定書は「中」です。
  • カ a2 が誤りです。問合せだけを見ると「中」ですが、本人確認書類の画像を受け取るので「高」で禁止です。a3 も誤りです。条件付きは持出しの列の扱いで、「中」の私物の機器での利用は禁止です。
  • キ a1 が誤りです。禁止は「高」の扱いで、タブレットは「中」なので条件付きです。a3 も誤りです。私物の機器での利用を許可できるのは「低」だけで、査定書は「中」です。
  • ク a1 が誤りです。タブレットは顧客の氏名と電話番号も表示するので、区分は「低」ではなく「中」で、条件付きです。

覚えておくこと

  • 機器・アカウント・ファイルの価値(区分)は、そこに保存・表示される情報のうち、いちばん機密性の高い情報で決める
  • 利用の許容範囲は、管理責任者が、資産の区分と利用の場面(持出し、私物の機器など)ごとに決めて台帳に記入する
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