集めた情報のクラウドへの当てはめ

シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の科目B 大項目12 情報セキュリティに関する動向・事例情報の収集と評価:『12-1 情報セキュリティに関する動向・事例情報の収集と評価』

想定の事例|集めた情報のクラウドへの当てはめ科目B(事例)

事例

A 社は、従業員 130 名の e ラーニングの事業会社である。運用部は、企業向けの研修講座を配信しており、受講者の氏名、所属、メールアドレス、受講の履歴を扱う。運用部が業務で使うサービスと機器を表1に示す。

表1 運用部が使うサービスと機器
サービス・機器使い方
学習管理サービス(クラウド)講座の配信と受講の履歴の管理に使う。提供者が運用し、ソフトウェアの更新も提供者が行う。
ファイル共有サービス(クラウド)研修の教材を顧客企業と共有する。一部のフォルダーは、共有リンクを「リンクを知っている全員が閲覧できる」設定にしている。
業務用の PC運用部員 15 名が使う。メールはクラウドのメールサービスを使い、社内にメールサーバーは置いていない。

運用部の情報セキュリティ担当者(以下、担当者)は、毎週、IPA の「重要なセキュリティ情報」、公的機関の注意喚起、使っているサービスの提供者のお知らせ、官公庁のガイドラインの改訂の情報を集めている。集めた情報は、運用部の手順に従って評価し、運用部長に報告する。運用部の手順は次のとおりである。
・情報が、運用部の使うサービス・機器・業務に当てはまるかを確かめる。
・当てはまり、運用部の操作や設定で被害を防ぐ必要があるものは「対応要」とし、対応の案と期限を付けて報告する。
・当てはまらないもの、又は提供者が対応を済ませて運用部の操作が要らないものは「対応不要」とし、理由を付けて報告する。報告した情報は、全て評価の記録に残す。
・ガイドラインの改訂は、運用部の手順と比べ、差があれば手順の見直し案を付けて報告する。

ある週に集めた情報を表2に示す。

表2 ある週に集めた情報
情報出どころ内容
1ある公的機関の注意喚起クラウドのファイル共有サービスで、共有リンクを誰でも閲覧できる設定にしたままにして、情報が漏えいする事例が続いている。設定の確認を呼びかけている。
2学習管理サービスの提供者のお知らせサービスで使うソフトウェアに脆弱性が見つかり、10 月 20 日に提供者が修正を済ませた。利用者の操作は要らない。
3ある公的機関の脆弱性対策情報社内に置いて使うある種類のメールサーバーのソフトウェアに脆弱性があり、悪用した攻撃が確認されている。
4ある官公庁のガイドラインの改訂クラウドサービスの利用者に、設定を定期的に見直すことを求める項目が加わった。運用部の手順には、設定の見直しの定めがない。

担当者は、表2の情報 1〜4 を評価して、運用部長への報告をまとめることにした。

担当者が運用部長に報告する内容として、運用部の手順に合っているものはどれか。解答群のうち、最も適切なものを選べ。

正解:イ 情報1:誰でも閲覧できる設定のフォルダーがあるので「対応要」とし、設定を改める案と期限を付ける。

ポイント

集めたセキュリティ情報を、自部門が使うクラウドサービスと業務に当てはめて評価し、上位者への報告の内容を判断する事例です。

考え方と解き方

決め手は、表1の使い方(だれが運用し、どう設定しているか)と、本文の手順の「当てはまるか」「運用部の操作が要るか」です。攻撃が確認された情報や公的機関の情報だから重要、と出どころや深刻さだけで判断する点で間違えやすいです。

  1. 情報1は、表1のファイル共有サービスに「リンクを知っている全員が閲覧できる」設定のフォルダーがあるので当てはまり、運用部の設定で被害を防ぐ必要があります。手順のとおり「対応要」とし、案と期限を付けます。
  2. 情報2は提供者が対応を済ませたので「対応不要」で、理由を付けて報告し、記録に残します。情報3は社内にメールサーバーを置いていないので「対応不要」です。情報4は手順との差があるので、見直し案を付けて報告します。
  3. したがって、最も適切なのは イ です。

ほかの選択肢

  • ア 不適切です。情報2の修正は提供者が済ませており、運用部の操作は要らないので「対応不要」です。
  • ウ 不適切です。表1のとおり運用部は社内にメールサーバーを置いていないので、手順では当てはまらず「対応不要」とし、理由を付けます。
  • エ 不適切です。手順は、ガイドラインの改訂を運用部の手順と比べ、差があれば見直し案を付けると定めています。情報4は設定の見直しの定めがないという差があります。
  • オ 不適切です。手順は、情報が運用部のサービスに当てはまるかで判断します。情報1は表1の設定に当てはまるので「対応要」です。
  • カ 不適切です。「対応不要」の情報も理由を付けて報告し、全て評価の記録に残すと定められています。

覚えておくこと

  • 集めたセキュリティ情報は、出どころや深刻さだけでなく、自部門のサービス・機器・設定に当てはまるかで評価する
  • 対応不要と評価した情報も、理由を付けて報告し、記録に残す
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