サンプル問題(2022年12月) 問49

サンプル問題(2022年12月) 問49科目B(事例)

事例

A社は,放送会社や運輸会社向けに広告制作ビジネスを展開している。A社は,人事業務の効率化を図るべく,人事業務の委託を検討することにした。A社が委託する業務(以下,B業務という)を図1に示す。

【図1 B業務】
・採用予定者から郵送されてくる入社時の誓約書,前職の源泉徴収票などの書類をPDFファイルに変換し,ファイルサーバに格納する。
(省略)

委託先候補のC社は,B業務について,次のようにA社に提案した。
・B業務だけに従事する専任の従業員を割り当てる。
・B業務では,図2の複合機のスキャン機能を使用する。

【図2 複合機のスキャン機能(抜粋)】
・スキャン機能を使用する際は,従業員ごとに付与した利用者IDとパスワードをパネルに入力する。
・スキャンしたデータをPDFファイルに変換する。
・PDFファイルを従業員ごとに異なる鍵で暗号化して,電子メールに添付する。
・スキャンを実行した本人宛てに電子メールを送信する。
・PDFファイルが大きい場合は,PDFファイルを添付する代わりに,自社の社内ネットワーク上に設置したサーバ(以下,Bサーバという)に自動的に保存し,保存先のURLを電子メールの本文に記載して送信する。

A社は,C社と業務委託契約を締結する前に,秘密保持契約を締結して,C社を訪問し,業務委託での情報セキュリティリスクの評価を実施した。その結果,図3の発見があった。

【図3 発見事項】
・複合機のスキャン機能では,電子メールの差出人アドレス,件名,本文及び添付ファイル名を初期設定1)の状態で使用しており,誰がスキャンを実行しても同じである。
・複合機のスキャン機能の初期設定情報はベンダーのWebサイトで公開されており,誰でも閲覧できる。
注1) C社の情報システム部だけが複合機の初期設定を変更可能である。

そこで,A社では,初期設定の状態のままではA社にとって情報セキュリティリスクがあり,対策が必要であると評価した。

対策が必要であるとA社が評価した情報セキュリティリスクはどれか。解答群のうち,最も適切なものを選べ。

正解:イ B業務に従事する従業員が,攻撃者からの電子メールを複合機からのものと信じて本文中にあるURLをクリックし,攻撃者が用意したWebサイトにアクセスしてマルウェア感染する。その結果,A社の採用予定者の個人情報が漏えいする。

ポイント

複合機を初期設定のまま使うことで生じる、情報セキュリティリスクを見分ける事例です。

考え方と解き方

図3の発見事項を読みます。メールの差出人、件名、本文、添付ファイル名が初期設定のままで誰がスキャンしても同じで、その初期設定が公開されている、という2点が決め手です。図2の暗号化や利用者IDの話に引かれて、初期設定と関係のないリスクを選びやすい所です。

  1. 図3で、メールの体裁は誰がスキャンしても同じで、しかもその設定は誰でも閲覧できます。攻撃者は、本物と同じ体裁の電子メールを自分で作れます。
  2. 図2で、従業員は自分宛てに届く複合機のメールを受け取る運用です。体裁が同じ偽メールが届けば、見分けにくく、本文のURLを押してマルウェアに感染する恐れがあります。
  3. 図2で、利用者IDやPDFの暗号鍵は従業員ごとに別です。メールの体裁の公開と結びつくリスクは、偽メールによる誘導です。したがって、最も適切なのは イ です。

ほかの選択肢

  • ア 利用者IDとパスワードは従業員ごとに付与され、PDFも従業員ごとに別の鍵で暗号化されます。なりすまして使えるかどうかは、メールの初期設定の公開とは別の話です。
  • ウ 盗聴して身代金を要求する攻撃は、メールの体裁が公開されていることとは結びつきません。図3の発見事項から生じるリスクではありません。
  • エ 盗聴されたメールのURLを公開する攻撃も、図3の初期設定の公開とは結びつきません。また、保存先の B サーバは C 社の社内ネットワークにあり、URL を公開されても外からは開けません。

覚えておくこと

  • 機器の初期設定が公開されているなら、同じ体裁の偽メールを作られるものとして、リスクを考える
  • リスクは、見つけた事実(何が公開され、何が同じか)から成り立つ攻撃を選ぶ

出典:情報セキュリティマネジメント試験 サンプル問題 科目B 問49

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