サンプル問題(2022年12月) 問60
事例
A社は輸入食材を扱う商社である。ある日,経理課のB課長は,A社の海外子会社であるC社のDさんから不審な点がある電子メール(以下,メールという)を受信した。B課長は,A社の情報システム部に調査を依頼した。A社の情報システム部がC社の情報システム部と協力して調査した結果を図1に示す。
【図1 調査の結果(抜粋)】
1 B課長へのヒアリング並びに受信したメール及び添付されていた請求書からは,次が確認された。
[項番1] Dさんが早急な対応を求めたことは今まで1回もなかったが,メール本文では送金先の口座を早急に変更するよう求めていた。
[項番2] 添付されていた請求書は,A社がC社に支払う予定で進めている請求書であり,C社が3か月前から利用を開始したテンプレートを利用したものだった。
[項番3] 添付されていた請求書は,振込先が,C社が所在する国ではない国にある銀行の口座だった。
[項番4] 添付されていた請求書が作成されたPCのタイムゾーンは,C社のタイムゾーンとは異なっていた。
[項番5] メールの送信者(From)のメールアドレスには,C社のドメイン名とは別の類似するドメイン名が利用されていた。
[項番6] メールの返信先(Reply-To)はDさんのメールアドレスではなく,フリーメールのものであった。
[項番7] メール本文では,B課長とDさんとの間で6か月前から何度かやり取りしたメールの内容を引用していた。
2 不正ログインした者が,以降のメール不正閲覧の発覚を避けるために実施したと推察される設定変更がDさんのメールアカウントに確認された。
B課長に疑いをもたれないようにするためにメールの送信者が使った手口として考えられるものはどれか。図1に示す各項番のうち,該当するものだけを全て挙げた組合せを,解答群の中から選べ。
正解:カ [項番2],[項番5],[項番7]
ポイント
メールの送信者が、受信者に疑われないようにするために使ったと考えられる手口を、調査結果から選ぶ事例です。
考え方と解き方
図1の項番1〜7のうち、受信者に本物らしく見せる工夫になっているものはどれかを読み分けます。図1 の2の「不正ログインした者」が、メールの内容を盗み見ていたことが手がかりで、不審な点(不審に見える結果)と、疑われないための手口とを混同すると間違えます。
- 項番2は、C 社が使い始めたテンプレートを使った請求書で、C 社の請求書を入手して見た者でなければ作りにくく、本物らしく見せる手口です。項番5は、C 社のドメイン名に似たドメイン名を送信者に使い、一見して見分けにくくする手口です。項番7は、過去のやり取りの内容を引用し、正規の続きのメールに見せる手口です。
- 項番1の早急な口座変更の依頼、項番3の国外の口座、項番4の異なるタイムゾーン、項番6のフリーメールの返信先は、いずれも普段と違う点や痕跡で、疑われないための工夫とは言えません。
- したがって、該当する組合せは 項番2、項番5、項番7 で、適切なのは カ です。
ほかの選択肢
- ア 項番1と項番3は普段と違う依頼や送金先で、疑いを招く側です。項番5、項番7が抜けています。
- イ 項番1と項番6は疑いを避ける工夫ではありません。項番6の返信先は、返信を攻撃者に届けるためのものです。項番5、項番7が抜けています。
- ウ 項番1、項番4、項番6のどれも、疑われないための手口ではありません。
- エ 項番1と項番4は含みません。項番7は合いますが、項番2、項番5が抜けています。
- オ 項番3と項番6は疑いを避ける工夫ではありません。項番2は合いますが、項番5、項番7が抜けています。
- キ 項番3と項番4は疑いを避ける工夫ではありません。項番5は合いますが、項番2、項番7が抜けています。
- ク 項番3は含みません。項番5、項番7は合いますが、項番2が抜けています。
- ケ 項番4と項番6は疑いを避ける工夫ではありません。項番5は合いますが、項番2、項番7が抜けています。
- コ 項番6は含みません。項番5、項番7は合いますが、項番2が抜けています。
覚えておくこと
- なりすましメールは、類似ドメイン、正規書式、過去のやり取りの引用で本物らしく見せる
- 送金先や連絡先の変更依頼は、メールとは別の手段で本人に確認してから対応する
出典:情報セキュリティマネジメント試験 サンプル問題 科目B 問60