科目Bサンプル問題(2022年4月) 問3

科目Bサンプル問題(2022年4月) 問3科目B(事例)

事例

消費者向けの化粧品販売を行うA社では,電子メール(以下,メールという)の送受信にクラウドサービスプロバイダB社が提供するメールサービス(以下,Bサービスという)を利用している。A社が利用するBサービスのアカウントは,A社の情報システム部が管理している。

〔Bサービスでの認証〕
Bサービスでの認証は,利用者IDとパスワードに加え,あらかじめ登録しておいたスマートフォンの認証アプリを利用した2要素認証である。入力された利用者IDとパスワードが正しかったときは,スマートフォンに承認のリクエストが来る。リクエストを1分以内に承認した場合は,Bサービスにログインできる。

〔社外のネットワークからの利用〕
社外のネットワークから社内システム又はファイルサーバを利用する場合,従業員は貸与されたPCから社内ネットワークにVPN接続する。

〔PCでのマルウェア対策〕
従業員に貸与されたPCには,マルウェア対策ソフトが導入されており,マルウェア定義ファイルを毎日16時に更新するように設定されている。マルウェア対策ソフトは,毎日17時に,各PCのマルウェア定義ファイルが更新されたかどうかをチェックし,更新されていない場合は情報システム部のセキュリティ担当者に更新されていないことをメールで知らせる。

ある日の15時頃,販売促進部の情報セキュリティリーダであるC課長は,在宅で勤務していた部下のDさんから,メールに関する報告を受けた。報告を図1に示す。

【図1 Dさんからの報告】
・販売促進キャンペーンを委託しているE社のFさんから9時30分にメールが届いた。
・Fさんとは直接会ったことがある。この数か月頻繁にやり取りもしていた。
・そのメールは,これまでのメールに返信する形で作成されており,メールの本文には販売キャンペーンの内容やFさんがよく利用する挨拶文が記載されていた。
・急ぎの対応を求める旨が記載されていたので,メールに添付されていたファイルを開いた。
・メールの添付ファイルを開いた際,特に見慣れないエラーなどは発生せず,ファイルの内容も閲覧できた。
・ファイルの内容を確認した後,返信した。
・11時頃,Dさんのスマートフォンに,承認のリクエストが来たが,Bサービスにログインしたタイミングではなかったので,リクエストを承認しなかった。
・12時までと急いでいた割にその後の返信がなく不審に思ったので,14時50分にFさんに電話で確認したところ,今日はメールを送っていないと言われた。
・現在までのところ,PCの処理速度が遅くなったり,見慣れないウィンドウが表示されたりするなどの不具合や不審な事象は発生していない。
・現在,PCは,インターネットには接続しているが,社内ネットワークへのVPN接続は切断している。
・Dさんはすぐに会社に向かうことは可能で,Dさんの自宅から会社までは1時間掛かる。

C課長は,DさんのPCがマルウェアに感染した可能性もあると考え,マルウェア感染による被害の拡大を防止するためにDさんに二つ指示をした。

次の(一)~(五)のうち,Dさんへの指示として適切なものを二つ挙げた組合せを,解答群の中から選べ。

正解:イ (一),(三)

ポイント

マルウェアに感染したおそれがある場合に、被害の拡大を防ぐための初動の指示を選ぶ事例です。

考え方と解き方

図1の、承認のリクエストが来たこと、添付ファイルを開いてからの時間、PC がインターネットには接続し VPN は切断していること、そして本文の定義ファイルの更新時刻(16時)を読みます。認証情報が盗まれた可能性と、PC 自体の感染の可能性の2つを分けて考えます。

  1. 11時にスマートフォンへ承認のリクエストが来ましたが、D さんがログインしたタイミングではなく、誰かが D さんの利用者 ID とパスワードでログインを試みたことを示します。パスワードが漏れた可能性があるため、(一) のパスワード変更が必要です。
  2. 報告は15時で、定義ファイルの更新(16時)はまだ済んでおらず、PC は最新の状態ではありません。会社でネットワークから切り離したまま定義ファイルを更新し、フルスキャンで感染の有無を確かめる(三)が、被害を広げない対応です。
  3. したがって、適切な二つは (一)、(三) で、イ です。

ほかの選択肢

  • ア (一) は合います。(二) のネットワークの切断は妥当ですが、フルバックアップは被害の拡大を防ぐことにならず、感染したおそれのあるファイルごと複製します。
  • ウ (一) は合いますが、(四) は VPN 接続で社内ネットワークに入り、感染を社内に広げるおそれがあります。
  • エ (一) は合いますが、(五) は添付ファイルを再び開くことで、感染を進めるおそれがあります。
  • オ (三) は合います。(二) のネットワークの切断は妥当ですが、フルバックアップは被害の拡大を防ぐことにならず、感染したおそれのあるファイルごと複製します。(一) も抜けています。
  • カ (二) と (四) のどちらも適切でなく、被害を広げるおそれがあります。
  • キ (二) と (五) のどちらも適切でなく、(五) は感染を進めるおそれがあります。
  • ク (三) は合いますが、(四) は社内への感染拡大につながります。(一) が抜けています。
  • ケ (三) は合いますが、(五) は添付ファイルを再び開く行為で不適切です。(一) が抜けています。
  • コ (四) と (五) のどちらも、感染を社内や PC に広げるおそれがあります。

覚えておくこと

  • 身に覚えのない認証の承認リクエストが来たら、パスワードの漏えいを疑って変更する
  • 感染のおそれがある PC は、ネットワークに接続せず、安全な環境で検査する
  • 原因の確認のために、疑わしいファイルを再び開かない

出典:情報セキュリティマネジメント試験 科目B サンプル問題 問3

前の問題