科目B|B1 データの適切な取扱い
生成AIに入力してよい情報
シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『B 1-5 AI 活用におけるデータ利用上の留意事項への対応』
金融業のA社は、預金や融資の窓口を持っている。窓口担当のYさんは、お客さま向けの案内文や社内の資料づくりに、生成AIサービスを使いたいと考えた。X部長は、Yさんが使いたい場面が、A社の利用のきまりに合うかを確かめるよう頼んだ。
A社が使えるサービスは2種類ある。一般向けサービスは、だれでも使える市販のサービスである。社内契約のサービスは、A社が契約したサービスである。入力してよい情報は、情報の種類ごとに、サービスごとに決まっている。A社の生成AI利用のきまりを表1 に示す。
Yさんが使いたい7つの場面を、入力する内容とともに表2 に示す。Yさんは、場面ごとに、きまりに合うかを整理した。
Yさんの整理は次のとおりである。表2 の『相談事例の整理』で入力する内容は、表1 の情報の種類では【a】にあたる。表2 の『お礼状の下書き』の入力についてのきまりは、【b】である。表2 の場面のうち、どちらのサービスにも入力できない場面の1つは【c】である。
表1 生成AIサービスへの入力のきまり
| No. | 情報の種類 | 内容の例 | 一般向け | 社内契約 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 公開情報 | 自社サイトで公表済みの手数料表や商品の説明 | 可 | 可 |
| 2 | 内部情報 | 未公表の審査基準や営業計画 | 不可 | 可 |
| 3 | 個人情報 | 顧客の氏名・住所・口座番号や、取引の内容 | 不可 | 不可 |
| 4 | 加工情報 | 個人を特定できないよう加工した相談や苦情の内容 | 不可 | 可 |
| 5 | 購入資料 | 再配布を禁じる契約で購入した調査資料の全文 | 不可 | 不可 |
加工情報は、氏名・住所・口座番号を消し、個人を特定できる記述も残さない物である。特定できる記述が残る場合や、日時・支店名など、顧客と結びつく記述が残る場合は、『個人情報』として扱う。『加工情報』はA社の社内の区分の名前で、法律の仮名加工情報・匿名加工情報とは別である。
表2 Yさんが使いたい場面
| No. | 場面 | 入力する内容 |
|---|---|---|
| 1 | 案内文の下書き | 公表済みの手数料表と商品の説明 |
| 2 | 苦情内容の要約 | 氏名・口座番号を消し、特定できる記述も残さない苦情の内容 |
| 3 | 研修資料の作成 | 未公表の審査基準の一部 |
| 4 | 相談事例の整理 | 氏名・口座番号を消したが、相談の日時と支店名が残る相談の内容 |
| 5 | お礼状の下書き | 顧客の氏名・住所と取引の内容 |
| 6 | 市況資料の要約 | 再配布を禁じる契約で購入した調査資料の全文 |
| 7 | 回答結果の整理 | 氏名を消し、特定できる記述も残さない顧客アンケートの自由記述 |
設問
本文中の【a】〜【c】に入れる字句の組合せとして、最も適切なものを解答群の中から選べ。
- 表2 の『相談事例の整理』で入力する内容は、表1 の情報の種類では【a】にあたる。
- 表2 の『お礼状の下書き』の入力についてのきまりは、【b】である。
- 表2 の場面のうち、どちらのサービスにも入力できない場面の1つは【c】である。
| 記号 | 【a】 | 【b】 | 【c】 |
|---|---|---|---|
| ア | 内部情報 | どちらでも可 | 回答結果の整理 |
| イ | 加工情報 | どちらも不可 | 市況資料の要約 |
| ウ | 個人情報 | どちらでも可 | 市況資料の要約 |
| エ | 加工情報 | 社内契約だけ | 研修資料の作成 |
| オ | 内部情報 | 社内契約だけ | 回答結果の整理 |
| カ | 個人情報 | どちらも不可 | 研修資料の作成 |
| キ | 加工情報 | どちらでも可 | 回答結果の整理 |
| ク | 内部情報 | 社内契約だけ | 研修資料の作成 |
| ケ | 個人情報 | どちらも不可 | 市況資料の要約 |
正解:ケ a:個人情報 b:どちらも不可 c:市況資料の要約
ポイント
シラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたら、生成AIに入力しようとする内容がどの種類の情報かを見分け、使えるサービスを、きまりの表と照らして判断する力です。
考え方と解き方
場面の名前の印象では決まりません。表2 の『入力する内容』を表1 の『情報の種類』に当てはめ、次に『一般向け』『社内契約』のどちらの列が可かを読みます。加工情報と個人情報の境は、表1 の注で決まります。
- 表2 の No.4 の行(相談事例の整理)の『入力する内容』は、氏名・口座番号を消してあるものの、相談の日時と支店名が残っています。表1 の注を見ると、顧客と結びつく記述が残る場合は『個人情報』として扱います。したがって a は個人情報です。
- 表2 の No.5 の行(お礼状の下書き)の『入力する内容』は、顧客の氏名・住所と取引の内容で、表1 の No.3 の行(個人情報)にあたります。『一般向け』の列も『社内契約』の列も不可です。したがって b はどちらも不可です。
- 表2 の No.6 の行(市況資料の要約)の『入力する内容』は、再配布を禁じる契約で購入した調査資料の全文で、表1 の No.5 の行(購入資料)にあたります。『一般向け』の列も『社内契約』の列も不可なので、サービスを替えても入力できません。表2 の No.3(内部情報)と No.7(加工情報)は、『社内契約』の列が可なので、社内契約なら入力できます。したがって c は市況資料の要約で、ケ です。
ほかの選択肢
- a が加工情報・内部情報の組合せ(ア、イ、エ、オ、キ、ク):加工情報は、氏名・口座番号を消したことだけで選ぶ取りちがえです。表2 の No.4 の行は、日時と支店名が残っています。表1 の注のとおり、顧客と結びつく記述が残る場合は『個人情報』です。内部情報は、未公表の審査基準や営業計画の種類です。表2 の No.4 の行は、顧客の相談の内容で、内部情報ではありません。
- b がどちらでも可・社内契約だけの組合せ(ア、ウ、エ、オ、キ、ク):どちらでも可は、お礼状だから、公開情報と同じに使えると取りちがえる選び方です。表2 の No.5 の行は、顧客の氏名・住所と取引の内容で、表1 の No.3 の行(個人情報)にあたり、どちらの列も不可です。社内契約だけは、A社が契約したサービスなら顧客の情報を入れてよい、と取りちがえる選び方です。表1 の No.3 の行の『社内契約』の列は不可です。
- c が研修資料の作成・回答結果の整理の組合せ(ア、エ、オ、カ、キ、ク):研修資料の作成は、表2 の No.3 の行で、未公表の審査基準の一部です。内部情報で、表1 の No.2 の行の『社内契約』の列は可なので、入力できます。回答結果の整理は、表2 の No.7 の行で、特定できる記述も残さない加工情報です。表1 の No.4 の行の『社内契約』の列は可なので、入力できます。
覚えておくこと
- 入力してよいかは、場面の名前ではなく『入力する内容』を、表1 の『情報の種類』に当てはめて決める。そのうえで、一般向け・社内契約の列を見る。
- この事例では、内部情報と加工情報は社内契約のサービスにだけ入力でき、個人情報と購入資料はどちらにも入力できない。苦情や相談の内容でも、特定できる記述を残さなければ加工情報になる。
- 氏名などを消しても、日時や支店名など、顧客と結びつく記述が残っていれば、この事例では個人情報として扱う。元のデータと照らして分かる場合も、個人情報にあたりうる。入力する前に、加工が十分かを確かめる。
(科目B・1-5)