科目B|B1 データの適切な取扱い
申請データの品質観点と改善案
シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『B 1-4 データ品質及びメタデータ整備状況の確認と問題発見時の対応』
自治体のA市は、子育て世帯向けの給付金の申請を、窓口とオンラインの両方で受け付けている。X部長は、申請データを給付の審査や通知に使っている。そこで、データの品質を点検して改善案をまとめるよう、窓口課のYさんに頼んだ。
A市では、データの品質を見る観点を表1 のように整理している。Yさんは、申請データを点検して、問題を3つ見つけた。問題の種類と件数、それぞれに考えた改善案を表2 に示す。件数は、受け付けた経路ごとに数えた。
X部長は、効果が大きい案から実施したいと考えている。Yさんは、案1 の対象をオンラインにも広げることも検討した。
Yさんの整理は次のとおりである。表2 の No.3 の問題に当たる品質観点は【a】である。改善案のうち、表2 の件数から見て効果が最も大きいのは【b】である。案1 の対象をオンラインにも広げたとき、表2 の件数から見て、効果として増える件数は【c】件である。
表1 データの品質観点
| 観点 | 見る内容 |
|---|---|
| 完全性 | 必要な項目に、値が入っている |
| 正確性 | 入力した時点で、値が事実と合っている |
| 一意性 | 同じ対象が、重複して登録されていない |
| 最新性 | 登録した後の変化に合わせて、値が更新されている |
表2 点検の結果と改善案
| No. | 見つかった問題 | 窓口 | オンライン | 改善案(対象の経路) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 住所欄が空 | 60 | 0 | 案1:窓口の入力画面で住所を必須にする(窓口) |
| 2 | 同じ人が重複して登録 | 25 | 55 | 案2:登録時に氏名と生年月日が同じ記録を警告する(窓口とオンライン) |
| 3 | 転居後の住所が反映されていない | 15 | 62 | 案3:転居届と年1回突き合わせて住所を更新する(窓口とオンライン) |
窓口、オンラインの列は、問題が見つかった記録の件数(件)である。改善案の効果は、案の対象の経路の件数で比べる。オンラインの入力画面では、住所が必須になっている。No.3 は、申請を受け付けた時点の住所は正しかった。
設問
本文中の【a】〜【c】に入れる字句の組合せとして、最も適切なものを解答群の中から選べ。
- 表2 の No.3 の問題に当たる品質観点は【a】である。
- 改善案のうち、表2 の件数から見て効果が最も大きいのは【b】である。
- 案1 の対象をオンラインにも広げたとき、表2 の件数から見て、効果として増える件数は【c】件である。
| 記号 | 【a】 | 【b】 | 【c】 |
|---|---|---|---|
| ア | 正確性 | 案1 | 60 |
| イ | 最新性 | 案2 | 55 |
| ウ | 最新性 | 案2 | 0 |
| エ | 最新性 | 案1 | 0 |
| オ | 正確性 | 案2 | 0 |
| カ | 正確性 | 案3 | 55 |
| キ | 完全性 | 案3 | 55 |
| ク | 完全性 | 案1 | 60 |
| ケ | 完全性 | 案3 | 60 |
正解:ウ a:最新性 b:案2 c:0
ポイント
シラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたら、見つけた品質問題がどの品質観点に当たるかと、件数から見た改善案の効果、改善案をほかの経路に広げたときの件数の増え方を読み取る力です。
考え方と解き方
表1 の観点の定義と表2 の問題の中身を見比べて、観点を決めます。改善案の効果は、案ごとの対象の経路の件数を足して比べます。オンラインに広げたときの件数は、表2 の No.1 の行のオンラインの列と注で決めます。窓口の列だけ、また1つの問題だけを見ると取りちがえます。
- 表1 の『見る内容』の列を見ると、正確性は入力した時点で事実と合っていること、最新性は登録した後の変化に合わせて更新されていることです。表2 の No.3 は、転居後の住所が反映されていない記録で、下の注のとおり申請時点の住所は正しかったので、最新性の問題です。
- 表2 の『改善案(対象の経路)』の列で、案ごとの対象の経路を確かめ、件数を足します。案1 は窓口だけなので60件、案2 は窓口25件とオンライン55件で80件、案3 は窓口15件とオンライン62件で77件です。件数が最も多い案2 の効果が最も大きくなります。
- 表2 の No.1 の行の『オンライン』の列を見ると、住所欄が空の記録は0件です。表2 の下の注のとおり、オンラインの入力画面では住所が必須になっているためです。案1 の対象をオンラインに広げても、新しく減らせる記録はなく、増える件数は0件です。したがって、a は最新性、b は案2、c は0で、ウ です。
ほかの選択肢
- a が正確性・完全性 の組合せ(ア、オ、カ、キ、ク、ケ):表1 の正確性は、入力した時点で値が事実と合っていることです。表2 の下の注のとおり、No.3 は申請を受け付けた時点の住所は正しかったので、正確性の問題ではありません。 表1 の完全性は、必要な項目に値が入っていることです。No.3 は住所が入っているので、完全性の問題ではありません(空の住所は No.1 です)。
- b が案1・案3 の組合せ(ア、エ、カ、キ、ク、ケ):案1 の対象は、窓口の No.1 の60件だけです。オンラインの住所欄が空の記録は0件で、60件は80件の案2 に届きません。 案3 は、No.3 の窓口15件とオンライン62件で77件です。オンラインの列だけを見ると62件で最大に見えますが、案2 の80件より小さくなります。
- c が55・60 の組合せ(ア、イ、カ、キ、ク、ケ):55は、表2 の『オンライン』の列の No.2 の件数で、住所が空の問題の件数ではありません。 60は、窓口の No.1 の件数です。案1 は、もともと窓口の住所が空の記録を対象にしており、オンラインに広げても、この60件は増えません。
覚えておくこと
- この事例の表1 では、正確性は入力した時点で事実と合っているか、最新性は登録した後の変化に合わせて更新されているかで分けている。入力時に正しかった住所が転居で古くなったのは、この分け方では最新性の問題である。
- 改善案の効果を件数で比べるときは、案の対象の問題と経路を確かめ、対象の経路の件数を足す。1つの列や1つの問題だけを見て決めない。
- 改善案をほかの経路に広げたときに増える件数は、その経路で問題が実際に起きている件数で決まる。この事例では、オンラインは住所が必須で、住所が空の記録が0件なので、案1 を広げても増えない。
(科目B・1-4)