サンプル問題(2022年12月) 問53
事例
A社は,高級家具を販売する企業である。A社は2年前に消費者に直接通信販売する新規事業を開始した。それまでA社は,個人情報はほとんど取り扱っていなかったが,通信販売事業を開始したことによって,複合機で印刷した送り状など,顧客の個人情報を大量に扱うようになってきた。そのため,オフィス内に通販事業部エリアを設け,個人情報が漏えいしないよう対策した。具体的には,通販事業部エリアの出入口に,ICカード認証でドアを解錠するシステムを設置し,通販事業部の従業員だけが通販事業部エリアに入退室できるようにした。他のエリアはA社の全従業員が自由に利用できるようにしている。図1は,A社のオフィスのレイアウトである。
【図1 A社のオフィスのレイアウト】
このレイアウトでの業務を観察したところ,通販事業部エリアへの入室時に,A社の従業員同士による共連れが行われているという問題点が発見され,改善案を考えることになった。
改善案として適切なものだけを全て挙げた組合せを,解答群の中から選べ。
- (一) ICカードドアに監視カメラを設置し,1年に1回監視カメラの映像をチェックする。
- (二) ICカードドアの脇に,共連れのもたらすリスクを知らせる標語を掲示する。
- (三) ICカードドアを,AESの暗号方式を用いたものに変更する。
- (四) ICカードの認証に加えて指静脈認証も行うようにする。
- (五) 正門内側の自動ドアに共連れ防止用のアンチパスバックを導入する。
- (六) 通販事業部エリア内では,従業員証を常に見えるところに携帯する。
- (七) 共連れを発見した場合は従業員同士で個別に注意する。
・オフィスの左の端に,上から会議室1,会議室2,来客用会議室が並ぶ。
・上の段は,左から卸事業部エリア,共用エリア(複合機がある),通販事業部エリア(ファックスがある)。
・共用エリアと通販事業部エリアの境にICカードドアがあり,ドアの両側にICカードリーダー(CR)が1台ずつある。
・下の段は,左からショールーム,受付エリア(電話台・ソファがある),トイレ。
・オフィスの出入口は下の段の正門で,正門の内側に自動ドアがあり,近くに防犯設備操作盤がある。
(CR:ICカードリーダー)
・上の段は,左から卸事業部エリア,共用エリア(複合機がある),通販事業部エリア(ファックスがある)。
・共用エリアと通販事業部エリアの境にICカードドアがあり,ドアの両側にICカードリーダー(CR)が1台ずつある。
・下の段は,左からショールーム,受付エリア(電話台・ソファがある),トイレ。
・オフィスの出入口は下の段の正門で,正門の内側に自動ドアがあり,近くに防犯設備操作盤がある。
(CR:ICカードリーダー)
正解:オ (二),(七)
ポイント
共連れという問題点に対して、適切な改善案を選ぶ事例です。
考え方と解き方
本文と図1から、共連れが起きている場所と人を確認します。通販事業部エリアの出入口のICカードドアを、全従業員が自由に行き来する他のエリアから入る形で、従業員同士の共連れです。認証を強める案を選びやすいのが間違えやすい所で、共連れは正規の人のあとについて入る行為だと押さえます。
- 本文で、問題は通販事業部エリアへの入室時の従業員同士による共連れです。図1で、そのドアは共用エリアとの境にあり、カードリーダーは両側にあります。
- 共連れは、認証の強さを上げても防げません。ドアを開ける人の後ろについて入る行為なので、従業員の意識と、その場の注意で減らします。(二)の標語は意識を高め、(七)の個別の注意は発見したその場で止めます。
- 適切なのは (二)、(七) の全てで、オ です。
ほかの選択肢
- ア (二)は適切ですが、(一)は映像の確認が年1回で、共連れの発見も抑止も遅すぎます。
- イ (一)は年1回の確認で遅すぎます。(四)も認証を強めるだけで、共連れは防げません。
- ウ (一)は年1回の確認で遅すぎます。アンチパスバックは共連れの対策ですが、(五)は置く所が正門の内側の自動ドアで、問題の通販事業部エリアのドアではありません。
- エ (二)は適切ですが、(三)は暗号方式の変更で、正規の人の後ろから入る共連れは防げません。
- カ (三)は暗号方式の変更で、共連れは防げません。(六)も、共連れをしているのはA社の従業員同士で、全員が従業員証を持っています。しかも、エリアに入った後の決まりで、ドアでついて入ることを止めません。
- キ (七)は適切ですが、(三)は暗号方式の変更で、共連れは防げません。
- ク (四)は認証を強めても共連れは防げません。(六)も、共連れをしているのはA社の従業員同士で、全員が従業員証を持っています。しかも、エリアに入った後の決まりで、ドアでついて入ることを止めません。
- ケ アンチパスバックは共連れの対策ですが、(五)は置く所が正門の内側の自動ドアで、問題のドアではありません。(六)も、共連れをしているのはA社の従業員同士で、全員が従業員証を持っています。しかも、エリアに入った後の決まりで、ドアでついて入ることを止めません。
- コ (七)は適切ですが、アンチパスバックは共連れの対策ですが、(五)は置く所が正門の内側の自動ドアで、問題の通販事業部エリアのドアではありません。
覚えておくこと
- 共連れには、認証方式を強めても効かない。ついて入る行為そのものを止める対策(アンチパスバック、一人ずつ通すゲート、意識づけと声かけ)を、問題のドアに合わせて選ぶ
- 対策は、問題が起きている場所と、起きている人の種類に合わせて選ぶ
出典:情報セキュリティマネジメント試験 サンプル問題 科目B 問53 を加工して作成変更点:図を文字の説明に置きかえた