返却した機器と棚卸の食い違い

シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の科目B 大項目5 情報資産の管理:『5-1 情報資産台帳の維持管理』『5-2 媒体の管理』

想定の事例|返却した機器と棚卸の食い違い科目B(事例)

事例

A 社は、自動車の販売と整備を行う会社で、B 店には営業、整備、事務の 18 名が勤めている。B 店で使う複合機とノートパソコンはリース会社から借りており、どれも内部に記憶装置がある。ノートパソコンは、営業担当が商談で店の外に持ち出すこともある。紙の顧客書類(注文書、整備の記録など)は、店の書庫で保管している。事務の C 主任は、B 店の情報セキュリティ担当者として、情報資産台帳(以下、台帳)を管理している。

B 店が従う A 社の規程は、次のとおりである。
・台帳には、機器ごとに管理番号、種類、設置場所、管理者、状態(使用中・返却済・廃棄済)を記載する。返却又は廃棄した機器の行は削除せず、状態と証明書の番号を記入して残す。
・記憶装置のある機器をリース会社に返却するときは、リース会社にデータの消去を依頼し、消去証明書を受け取ってから、台帳の状態を「返却済」にする。
・紙の顧客書類は、保存期間を過ぎたら溶解処理の業者に引き渡し、廃棄証明書を受け取ってから、書類の管理簿に廃棄日を記入する。
・年に 1 回の棚卸で台帳と現物が合わないときは、担当者は、原因を確かめるまで台帳の記載を書き換えず、その日のうちに店長に報告する。

今月、B 店は、リース期間が終わったノートパソコン 3 台をリース会社に返却し、保存期間を過ぎた紙の顧客書類を廃棄した。複合機 1 台は、リース会社の引取りを待っている。その後に行った棚卸の結果を表1に示す。

表1 棚卸の結果(抜粋)
項番対象台帳の記載棚卸で確かめたこと結果
1PC-11(ノートパソコン)使用中・事務室現物がない。リース会社の受領書では、今月 10 日に PC-12、PC-13 と一緒に返却されている。消去証明書は PC-12、PC-13 の分だけ届いている。不一致
2MF-01(複合機)使用中・倉庫倉庫で、リース会社の引取りを待っている。一致
33 年前の注文書(紙、2 箱)管理簿に廃棄日を記入済み溶解処理の業者の廃棄証明書を受け取っている。一致

C 主任は、表1の項番 1 の食い違いについて、リース会社に問い合わせた。リース会社からは、PC-11 は 10 日に受け取ったが、データの消去はまだ行っていないとの回答があった。

表1の項番 1 について、C 主任が行う対応として最も適切なものを、解答群の中から選べ。

正解:イ その日のうちに店長に報告し、リース会社に PC-11 のデータの消去と消去証明書の発行を求め、受け取ってから台帳を「返却済」にして番号を記入する。

ポイント

棚卸で見つかった台帳と現物の食い違いに、規程に沿って対応し、返却した機器の記憶装置のデータ消去を確かめる事例です。

考え方と解き方

決め手は、規程の2つ目(消去証明書を受け取ってから「返却済」)、1つ目(行は削除しない)、4つ目(その日のうちに店長に報告)です。受領書で返却が分かったことと、データが消去されたことは別だという点で間違えやすいです。

  1. 表1の項番 1 では、PC-11 は返却されていますが、リース会社はデータの消去をまだ行っておらず、消去証明書もありません。規程の2つ目より、消去を依頼して消去証明書を受け取るまで、台帳を「返却済」にできません。
  2. 規程の4つ目より、食い違いはその日のうちに店長に報告します。規程の1つ目より、返却した機器の行は削除せず、状態と証明書の番号を記入して残します。
  3. したがって、最も適切なのは イ です。

ほかの選択肢

  • ア 不適切です。規程の2つ目では、消去証明書を受け取ってから「返却済」にします。受領書は返却の証拠で、データが消去されたことの証拠にはなりません。
  • ウ 不適切です。規程の1つ目では、返却した機器の行は削除せず、状態と証明書の番号を記入して残します。
  • エ 不適切です。規程の4つ目では、食い違いはその日のうちに店長に報告します。月末の報告書まで待つのは規程に合いません。
  • オ 不適切です。行を削除することは規程の1つ目に反し、リース会社に連絡しないと、記憶装置のデータが消去されないまま残ります。受領書で所在は分かっています。
  • カ 不適切です。PC-11 は廃棄したのではなく、リース会社に返却しています。消去証明書を求めないと、記憶装置のデータの消去が確かめられません。

覚えておくこと

  • 記憶装置のある機器を返却・廃棄するときは、データの消去を証明書などで確かめてから、台帳を返却済・廃棄済にする
  • 台帳の行は削除せず、状態と証明書の番号を残す。棚卸の食い違いは、原因を確かめてから台帳を直し、決められた期限で上位者に報告する
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