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遺言と遺留分

過去の公開問題では、遺言の方式や撤回、検認の記述が2問、遺言でできる事項と遺留分を侵害する遺言の効力が1問、5回分で合わせて3問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 遺言の方式(自筆証書の財産目録、公正証書の証人)、撤回、検認の記述を選ぶ(5回分で2問)
  • 遺言でできる事項と、遺留分を侵害する遺言の効力の記述を選ぶ(5回分で1問)

覚えること

  • 遺言の種類(普通方式):自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言
  • 遺言能力:15歳出どころに達した者は、遺言をすることができる
  • 自筆証書遺言:遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印する。証人は要らない
  • 自筆証書遺言の財産目録は、パソコンで作成してよい。ただし、各ページに署名・押印が必要
  • 公正証書遺言:証人2人以上出どころの立会いで、遺言者が趣旨を公証人に口授(口で伝える)し、公証人が作成する
  • 証人になれない人:未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族など(遺言者の配偶者も入る)
  • 秘密証書遺言:内容を秘密にして封をした遺言書を、公証人と証人2人以上出どころの前に提出する。本文は自書でなくてもよい
  • 検認:自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要。公正証書遺言は不要
  • 封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いで開封する。検認前に開封しても遺言は無効にならない
  • 自筆証書遺言書保管制度:法務局に保管された自筆証書遺言は検認が不要。保管申請の手数料は1件3,900円出どころ
  • 撤回:遺言者はいつでも、遺言の方式で、遺言の全部または一部を撤回できる。元と同じ方式でなくてもよい
  • 前の遺言と後の遺言が抵触するときは、抵触する部分は、日付の新しい後の遺言で撤回したものとみなされる
  • 遺言でできる事項:相続分の指定(一部の相続人だけも可)、分割方法の指定とその委託、遺言執行者の指定
  • 遺留分:兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限の取り分。遺留分を侵害する遺言も無効にはならない
  • 遺留分の割合:直系尊属のみが相続人なら、遺留分を算定するための財産の価額の3分の1出どころ。それ以外は2分の1出どころ
  • 各人の遺留分は、その割合に、各人の法定相続分をかけた割合
  • 遺留分侵害額請求:侵害額に相当する金銭の支払を請求する。遺産そのものの返還ではない
  • 遺留分侵害額請求権は、相続の開始と遺留分の侵害を知った時から1年出どころ、相続開始の時から10年出どころで消滅する

数字と計算

  • 例:配偶者と子2人が相続人。遺留分を算定するための財産の価額が4,800万円なら、全体の遺留分は2分の1出どころ
  • 配偶者は4,800万円×2分の1出どころ×2分の1出どころ=1,200万円、子1人は4,800万円×2分の1×4分の1=600万円

ひっかけ

  • 遺留分があるのは兄弟姉妹以外の相続人。遺留分を侵害する遺言でも、遺言そのものは有効
  • 遺言者の配偶者は、公正証書遺言の証人になれない。財産目録は自書でなくてよいが、署名・押印は要る

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

正解:1 公正証書遺言の作成において、遺言者の配偶者は、証人として立ち会うことができる。

ポイント

民法上の遺言について、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

公正証書遺言の証人になれない人の範囲を取りちがえやすい所です。遺言者の配偶者は、遺言の内容に利害のある立場の人として、証人から除かれます。

  1. 公正証書遺言の証人になれない人には、未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族などがいます。遺言者の配偶者は推定相続人にあたるので、証人になれません。
  2. 1)は、遺言者の配偶者が証人として立ち会えるとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 1 です。正しくは、遺言者の配偶者は、証人として立ち会うことができない、です。

ほかの選択肢

  • 2 財産目録はパソコンで作成してよく、自書は要りません。ただし、各ページに署名と押印が必要なので、適切です。
  • 3 前の遺言と後の遺言が抵触するときは、抵触する部分は、日付の新しい後の遺言で撤回したものとみなされます。遺言の方式の違いは関係しないので、適切です。
  • 4 法務局に保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認が不要なので、適切です。

覚えておくこと

  • 証人になれない人:未成年者、推定相続人・受遺者とその配偶者・直系血族など(遺言者の配偶者も入る)
  • 自筆証書遺言の財産目録は、パソコンで作成してよい。ただし、各ページに署名・押印が必要
  • 自筆証書遺言書保管制度:法務局に保管された自筆証書遺言は検認が不要。保管申請の手数料は1件3,900円

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:自筆証書遺言書保管制度の保管申請の手数料

想定問題 2四答択一式

民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。

正解:1 秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたまま、公証人と証人2人以上の前に封書を提出して作成する。

ポイント

秘密証書遺言、検認、撤回について、最も適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

検認の対象、撤回の方式、開封の手続を取りちがえやすい所です。検認は、遺言の効力を生じさせる手続ではありません。

  1. 秘密証書遺言は、内容を秘密にして封をした遺言書を、公証人と証人2人以上の前に提出して作ります。
  2. 1)はこの内容と同じです。したがって、最も適切なのは 1 です。

ほかの選択肢

  • 2 検認が必要なのは、公正証書遺言以外の遺言書(自筆証書遺言、秘密証書遺言)です。公正証書遺言は検認が不要で、検認を受けなければ効力が生じないとしている所が違います。
  • 3 遺言は、遺言の方式に従えば、元の遺言と同じ方式によらなくても撤回できます。同じ方式によらなければならないとしている所が違います。
  • 4 封印のある遺言書は、家庭裁判所で、相続人またはその代理人の立会いがなければ開封できません。立会いがなくてもよいとしている所が違います。

覚えておくこと

  • 秘密証書遺言:内容を秘密にして封をした遺言書を、公証人と証人2人以上の前に提出する。本文は自書でなくてもよい
  • 検認:自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が必要。公正証書遺言は不要
  • 撤回:遺言者はいつでも、遺言の方式で、遺言の全部または一部を撤回できる。元と同じ方式でなくてもよい

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:秘密証書遺言の証人の人数

想定問題 3四答択一式

民法上の遺留分に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

遺留分とは、一定の相続人に保障された最低限の取り分である。(ア)には遺留分がない。遺留分を侵害された者は、受遺者などに対して、遺留分侵害額に相当する(イ)の支払を請求することができる。

正解:4 (ア)兄弟姉妹、(イ)金銭

ポイント

遺留分がない人と、遺留分を侵害されたときの請求の内容を、空欄の組合せで答える問題です。

考え方と解き方

遺留分がある人の範囲と、請求できるものを取りちがえやすい所です。請求できるのは、遺産そのものではありません。

  1. 遺留分があるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。兄弟姉妹には遺留分がありません。これが(ア)です。
  2. 遺留分を侵害された人は、侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。これが(イ)です。したがって、最も適切なのは 4 (ア)兄弟姉妹、(イ)金銭 です。

ほかの選択肢

  • 1 (ア)が違います。直系尊属には遺留分があります。遺留分がないのは兄弟姉妹です。(イ)は合っています。
  • 2 (ア)と(イ)の両方が違います。遺留分がないのは兄弟姉妹で、請求できるのは遺産そのものではなく金銭です。
  • 3 (イ)が違います。請求できるのは、遺産そのものではなく、侵害額に相当する金銭です。(ア)は合っています。

覚えておくこと

  • 遺留分:兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限の取り分。遺留分を侵害する遺言も無効にはならない
  • 遺留分侵害額請求:侵害額に相当する金銭の支払を請求する。遺産そのものの返還ではない

(テーマ・覚えること)

想定問題 4四答択一式

下記<親族関係>において、遺言によりAさんの財産のすべてが友人に遺贈された場合の、妻Bさんの遺留分の額として、最も適切なものはどれか。なお、遺留分を算定するための財産の価額は4,800万円とし、記載のない事項については考慮しないものとする。

<親族関係>
・被相続人Aさんの親族は、妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんである
・ほかに相続人はいない
・Aさんは遺言で、財産のすべてを友人に遺贈した

正解:3 1,200万円

ポイント

遺留分の額を、全体の割合と法定相続分から求める問題です。

考え方と解き方

遺留分の額は、全体の割合に、各人の法定相続分をかけて求めます。全体の割合の取りちがえと、法定相続分のかけ忘れが、よくあるまちがいです。

  1. 直系尊属のみが相続人の場合以外の遺留分の割合は、遺留分を算定するための財産の価額の2分の1です。
  2. 各人の遺留分は、この割合に各人の法定相続分をかけます。配偶者と子が相続人のとき、配偶者の法定相続分は2分の1です。
  3. 4,800万円×2分の1×2分の1=1,200万円です。したがって、最も適切なのは 3 1,200万円 です。

ほかの選択肢

  • 1 600万円:子1人の遺留分の額です(4,800万円×2分の1×4分の1=600万円)。問われているのは、妻Bさんの遺留分の額です。
  • 2 800万円:直系尊属のみが相続人のときの割合3分の1を使った額です(4,800万円×3分の1×2分の1=800万円)。妻と子が相続人なので、割合は2分の1です。
  • 4 2,400万円:妻Bさんの法定相続分をかけず、遺留分の全体の割合だけをかけた額です(4,800万円×2分の1=2,400万円)。全体の遺留分を、相続人の法定相続分で分けます。

覚えておくこと

  • 遺留分の割合:直系尊属のみが相続人なら、遺留分を算定するための財産の価額の3分の1。それ以外は2分の1
  • 各人の遺留分は、その割合に、各人の法定相続分をかけた割合

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:遺留分の割合(直系尊属のみの場合以外)・法定相続分(配偶者と子が相続人のとき、配偶者)・遺留分の割合(直系尊属のみが相続人のとき)

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