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遺産分割・配偶者居住権・相続登記

過去の公開問題では、遺産分割の方法と手続が2問、配偶者居住権が1問、相続登記の義務化が1問、5回分で合わせて4問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 遺産分割の方法と手続の記述を選ぶ(5回分で2問)。代償分割、協議書の方式、分割の禁止、一部の分割を問う
  • 配偶者居住権の記述の不適切を選ぶ(5回分で1問)。取得できる場合、第三者への使用、消滅を問う
  • 相続登記の義務化の記述の不適切を選ぶ(5回分で1問)。施行前の相続の扱い、相続人申告登記、過料を問う

覚えること

  • 遺産分割の方法:現物分割(そのまま取得)、換価分割(売却して金銭を分ける)、代償分割(取得者が代わりの財産を渡す)
  • 遺産分割は共同相続人の全員の協議で行う。遺産分割協議書は、公正証書にしなければならないわけではない
  • 協議が調わない、または協議ができないときは、各共同相続人が家庭裁判所に分割を請求できる
  • 遺産の一部だけの分割も、遺言で禁じられた場合などを除き、協議でできる
  • 分割の禁止:被相続人は遺言で、相続開始の時から5年出どころ以内の期間を定めて遺産の分割を禁ずることができる
  • 共同相続人の契約や家庭裁判所の審判による禁止も5年出どころ以内。終期は相続開始の時から10年出どころまで
  • 代償分割は、共同相続人の協議でできる。家庭裁判所の審判では、特別の事情があるときに認められる
  • 代償財産(代わりに渡す財産)は金銭に限らない。代償財産を受け取った人は、相続税の課税対象になる
  • 配偶者居住権:配偶者が、相続開始の時に住んでいた被相続人の建物に、無償で住み続けられる権利
  • 取得できる場合:遺産分割で取得するとされたとき、または遺贈の目的とされたとき(相続開始の時の居住が条件)
  • 取得できない場合:被相続人が、その建物を配偶者以外の人と共有していたとき
  • 存続期間は配偶者の終身。遺産分割の協議や遺言で、別に定めることもできる
  • 第三者に使用・収益させるには、建物の所有者の承諾が要る。建物の全部が使えなくなると消滅する
  • 配偶者短期居住権:遺産分割をするときは、建物の帰属が決まる日か相続開始から6か月出どころを経過する日の遅い方まで、無償で住める
  • 相続登記の義務化:相続で不動産を取得した相続人は、相続の開始と取得を知った日から3年出どころ以内に相続登記を申請する
  • 施行日より前に開始した相続も対象。期限は2027年3月31日出どころまで(知った日が施行日以後なら、その日から3年出どころ以内)
  • 相続人申告登記:相続の開始と自分が相続人であることを登記官に申し出る。相続人が単独でできる。義務を履行したとみなされる
  • 相続人申告登記のあと遺産分割で取得したときは、遺産分割の日から3年出どころ以内に登記を申請する
  • 正当な理由なく申請を怠ると、10万円出どころ以下の過料の対象になる

数字と計算

  • 例:子2人のみが相続人で、遺産は自宅3,000万円と預貯金1,000万円。長男が自宅、長女が預貯金を取得した
  • 等分で各2,000万円。長男は、自宅3,000万円-2,000万円=1,000万円を代償財産として長女に渡す

ひっかけ

  • 分割協議書は公正証書でなくてよく、代償財産は金銭に限らない。配偶者居住権は、共有建物では取得できない
  • 相続登記の義務は施行日前の相続にも及ぶ。相続人申告登記をしても、遺産分割で取得したときは別に登記が要る

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:2 被相続人の財産に属した建物を、被相続人が相続開始の時に配偶者以外の者と共有していた場合でも、配偶者は、その建物の配偶者居住権を取得することができる。

ポイント

配偶者居住権について、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

配偶者居住権は、住んでいた建物に住み続けるための権利ですが、取得できる場合と、権利の使い方には条件があります。取得の条件を広げて覚えると、誤りに気づけません。

  1. 配偶者居住権を取得できるのは、配偶者が相続開始の時に居住していた、被相続人の財産に属した建物について、遺産分割で取得するとされたときや、遺贈の目的とされたときです。被相続人がその建物を配偶者以外の人と共有していたときは、取得できません。
  2. 2)は、配偶者以外の者との共有でも取得できるとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 2 です。正しくは、被相続人が配偶者以外の者と共有していた建物については、配偶者居住権を取得することができない、です。

ほかの選択肢

  • 1 相続開始の時に居住していた建物について、遺産分割で取得するとされたときは配偶者居住権を取得できるので、適切です。
  • 3 配偶者居住権を取得した配偶者は、建物の所有者の承諾を得れば、第三者に建物の使用または収益をさせることができるので、適切です。
  • 4 建物の全部が滅失などで使えなくなったときは、配偶者居住権は消滅するので、適切です。

覚えておくこと

  • 取得できる場合:遺産分割で取得するとされたとき、または遺贈の目的とされたとき(相続開始の時の居住が条件)
  • 取得できない場合:被相続人が、その建物を配偶者以外の人と共有していたとき
  • 第三者に使用・収益させるには、建物の所有者の承諾が要る。建物の全部が使えなくなると消滅する

(テーマ・覚えること)

想定問題 2四答択一式

遺産分割の方法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解:2 換価分割は、遺産の全部または一部を売却して金銭に換え、その金銭を共同相続人の間で分ける方法である。

ポイント

遺産分割の方法の名前と中身を結びつけて、最も適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

名前と中身を入れかえて誤りにする問題です。名前が示す分け方を、字から考えると見分けられます。

  1. 遺産分割の方法は、現物分割(そのまま取得)、換価分割(売却して金銭を分ける)、代償分割(取得者が代わりの財産を渡す)です。
  2. 2)は換価分割の内容と同じです。したがって、最も適切なのは 2 です。

ほかの選択肢

  • 1 現物分割は、遺産を個々の財産の形のまま、各相続人が取得する方法です。共同相続人の共有とする分け方としている所が違います。
  • 3 遺産を個々の財産の形のまま取得する方法は、代償分割ではなく現物分割です。名前と中身が入れかわっている所が違います。
  • 4 特定の相続人が現物を取得し、ほかの相続人に代償財産を渡す方法は、換価分割ではなく代償分割です。名前と中身が入れかわっている所が違います。

覚えておくこと

  • 遺産分割の方法:現物分割(そのまま取得)、換価分割(売却して金銭を分ける)、代償分割(取得者が代わりの財産を渡す)

(テーマ・覚えること)

想定問題 3四答択一式

遺産分割の禁止および配偶者短期居住権に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

被相続人は、遺言で、相続開始の時から(ア)を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。また、配偶者短期居住権は、遺産分割をする場合、居住建物の帰属が決まる日と、相続開始の時から(イ)を経過する日のいずれか遅い日まで存続する。

正解:4 (ア)5年、(イ)6か月

ポイント

遺産分割を禁ずる期間と、配偶者短期居住権の期間を、空欄の組合せで答える問題です。

考え方と解き方

似た長さの期間が並ぶので、どの制度の期間かを取りちがえやすい所です。(ア)は遺言で禁ずる期間の上限、(イ)は配偶者短期居住権の存続を決める基準の期間です。

  1. 被相続人が遺言で遺産の分割を禁ずる期間は、相続開始の時から5年を超えない期間です。これが(ア)です。
  2. 配偶者短期居住権は、遺産分割をする場合、居住建物の帰属が決まる日と、相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで存続します。これが(イ)です。したがって、最も適切なのは 4 (ア)5年、(イ)6か月 です。

ほかの選択肢

  • 1 (ア)と(イ)の両方が違います。遺言で遺産の分割を禁ずる期間は相続開始の時から5年を超えない期間で、短期居住権は相続開始の時から6か月を経過する日を基準にします。
  • 2 (ア)が違います。遺言で遺産の分割を禁ずる期間は、相続開始の時から5年を超えない期間です。(イ)は合っています。
  • 3 (イ)が違います。配偶者短期居住権は、相続開始の時から6か月を経過する日を基準にします。(ア)は合っています。

覚えておくこと

  • 分割の禁止:被相続人は遺言で、相続開始の時から5年以内の期間を定めて遺産の分割を禁ずることができる
  • 配偶者短期居住権:遺産分割をするときは、建物の帰属が決まる日か相続開始から6か月を経過する日の遅い方まで、無償で住める

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:遺産分割の禁止の期間の上限(遺言・契約・家庭裁判所)・配偶者短期居住権の期間

想定問題 4四答択一式

相続人申告登記に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:1 相続人申告登記の申出は、相続人が複数いる場合、相続人の全員が共同してしなければ、受け付けられない。

ポイント

相続人申告登記について、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

相続人申告登記は、手軽に義務を果たせる手続です。全員で申し出る必要があると考えたり、遺産分割で取得した場合の登記も不要と考えたりすると、誤ります。

  1. 相続人申告登記は、相続の開始と自分が相続人であることを登記官に申し出る手続で、相続人が単独でできます。申出をすると、相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。
  2. 1)は、相続人の全員が共同してしなければならないとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 1 です。正しくは、相続人が複数いる場合でも、相続人が単独で申出をすることができる、です。

ほかの選択肢

  • 2 登記官は、申出をした者の氏名や住所などを所有権の登記に付記することができるので、適切です。
  • 3 申出のあとに遺産分割で所有権を取得したときは、遺産分割の日から3年以内に所有権の移転登記を申請しなければならないので、適切です。
  • 4 申請を怠ったときは、10万円以下の過料の対象になるので、適切です。

覚えておくこと

  • 相続人申告登記:相続の開始と自分が相続人であることを登記官に申し出る。相続人が単独でできる。義務を履行したとみなされる
  • 相続人申告登記のあと遺産分割で取得したときは、遺産分割の日から3年以内に登記を申請する
  • 正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になる

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:遺産分割による所有権取得の登記の期限(遺産分割の日から)・相続登記の申請を怠ったときの過料

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