分野 L|倫理・法規
労働基準法・労働者派遣法・公益通報者保護法
今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の『2 労働関連法規/労働関連法規』
最終更新
問われ方
- 問われるとしたら:事例で、請負の現場での発注者の指示が偽装請負に当たるかを選ぶ形
- 問われるとしたら:派遣労働者の雇用契約の相手と、指揮命令をする者を選ぶ形
- 問われるとしたら:公益通報を受ける側の守秘と体制整備を、事例や規模から選ぶ形
- 問われるとしたら:労働基準法の労働条件の明示や就業規則を a〜c の組合せで選ぶ形
覚えること
- 労働基準法:労働条件の最低限の基準を定める法律
- 労働条件の明示:使用者は、労働契約の締結に際し、賃金、労働時間などを明示する
- 法定労働時間:休憩時間を除き、原則として1週40時間、1日8時間まで
- 36協定:法定労働時間を超えて働かせるには、労使の書面の協定を結び、届け出る
- 就業規則:常時10人以上の労働者を使用する使用者が、作成して届け出る
- 労働者派遣(労働者派遣法):自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令の下で、その他人のために働かせる
- 雇用契約:派遣労働者が結ぶのは派遣元との契約。派遣先とは結ばない
- 派遣契約:派遣元と派遣先が結ぶ。従事する業務の内容、指揮命令者などを定める
- 指揮命令:派遣労働者に仕事の指示をするのは派遣先
- 請負:請負人が、自社の労働者に指揮命令をして、仕事を完成させる
- 偽装請負:請負などの名目で契約し、実際は発注者が労働者に指揮命令をすること
- 偽装請負の扱い:免れる目的で請負を装い受け入れた者は、労働契約の申込みをしたとみなされる
- 公益通報者保護法:公益通報をした労働者の解雇を無効とし、通報者を保護する法律
- 公益通報の通報者:労働者(退職後1年以内を含む)、派遣労働者、役員など
- 体制整備の義務:常時使用する労働者が300人を超える事業者は、従事者を定め、体制を整備する
- 300人以下の事業者:体制の整備は努力義務
- 守秘義務:通報の対応に従事する者は、通報者を特定させる事項を正当な理由なく漏らさない
- 参考:公益通報者保護法の改正(令和7年法律第62号)が、令和8年12月1日に施行される
ひっかけ
- 雇用関係があるのは派遣元、指揮命令をするのは派遣先
- 請負の現場では、作業場所ではなく、だれが指揮命令をするかで見る
- 300人以下の事業者は、体制整備が不要なのではなく、努力義務
想定問題
4問(科目A(四択))。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。
B さんが取るべき対応として、最も適切なものはどれか。
正解:ア 課長による D さんへの直接の指示をやめさせ、指示は C 社の責任者を通して行う
ポイント
請負の現場で起きている問題への対応を選ぶ問題です。
考え方と解き方
請負では、請負人が自社の労働者に指揮命令をします。発注者が直接指示をすると、実際は労働者派遣と同じ形になります。発注側の管理者の立場なら、まず指揮命令がだれから出ているかを確かめます。
- 労働者派遣は、自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令の下で、その他人のために働かせることです。課長が D さんに作業の順序や勤務時間を直接指示すると、請負の名目でも、実際は派遣と同じ形の偽装請負になります。
- 指示は C 社の責任者を通して行い、課長の直接の指示をやめさせる必要があります。したがって、最も適切なのは ア です。
ほかの選択肢
- イ 請負かどうかは、作業場所ではなく、だれが指揮命令をするかで見ます。課長が直接指示している以上、請負のままとは言えません。
- ウ 問題は場所ではなく、発注者が指揮命令をしていることです。場所を移しても、課長の直接の指示を続けてよいことにはなりません。
- エ 契約書に追記しても、実際に発注者が指揮命令をしていれば、偽装請負は解消しません。
覚えておくこと
- 請負:請負人が、自社の労働者に指揮命令をして、仕事を完成させる
- 偽装請負:請負などの名目で契約し、実際は発注者が労働者に指揮命令をすること
- 労働者派遣(労働者派遣法):自己の雇用する労働者を、他人の指揮命令の下で、その他人のために働かせる
(テーマ・覚えること)
労働基準法に関する B さんの考え a〜c のうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a 労働契約を結ぶ時は、賃金や労働時間などの労働条件を明示する。
- b 常時 10 人以上の労働者を使用するので、就業規則を作成して届け出る。
- c 法定労働時間を超えて働かせる場合は、本人の同意があれば、労使の協定を結ばなくてよい。
正解:ウ a、b
ポイント
労働条件の明示、就業規則、時間外労働の決まりを問う問題です。
考え方と解き方
労働時間の上限や、会社が作る決まりの手続は、本人の同意だけでは動かせません。利用部門の責任者の立場なら、自分の判断で決めてよいことか、会社として手続が要ることかを先に考えます。
- a は適切です。使用者は、労働契約の締結に際し、賃金、労働時間などの労働条件を明示します。b は適切です。常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して届け出ます。c は不適切です。法定労働時間を超えて働かせるには、本人の同意があっても、労使の書面の協定(36 協定)を結んで届け出る必要があります。
- したがって、適切なのは a、b の全てで、ウ です。
ほかの選択肢
- ア a も適切なので、b だけでは足りません。
- イ b も適切なので、a だけでは足りません。
- エ c は不適切です。また、a も適切なので、b、c では組合せが合いません。
覚えておくこと
- 労働条件の明示:使用者は、労働契約の締結に際し、賃金、労働時間などを明示する
- 就業規則:常時10人以上の労働者を使用する使用者が、作成して届け出る
- 36協定:法定労働時間を超えて働かせるには、労使の書面の協定を結び、届け出る
(テーマ・覚えること)
B さんの対応として、最も適切なものはどれか。
正解:エ 通報者を特定させる事項は伝えず、調査に必要な内容だけを部長に伝える
ポイント
公益通報を受ける側の守秘義務を、事例から選ぶ問題です。
考え方と解き方
通報者を特定させる事項は、通報者が不利益を受けないように、特に厳しく守られます。通報を受ける立場なら、相手が上司かどうかではなく、伝える正当な理由があるかを先に考えます。
- 公益通報対応業務従事者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た、通報者を特定させる事項を漏らしてはなりません。
- 部長は調査に関わっていないので、通報者を特定させる事項を伝える正当な理由はありません。調査に必要な内容だけを伝えるのが適切です。したがって、最も適切なのは エ です。
ほかの選択肢
- ア 上司からの依頼は、正当な理由になりません。通報者の氏名を伝えることは、守秘義務に反します。
- イ 匿名の希望がなくても、通報者を特定させる事項を関係する部署に知らせてよいことにはなりません。
- ウ 守秘義務は、通報から 1 年といった期間で終わる決まりではありません。業務を離れた後の者にも及びます。
覚えておくこと
- 守秘義務:通報の対応に従事する者は、通報者を特定させる事項を正当な理由なく漏らさない
- 公益通報者保護法:公益通報をした労働者の解雇を無効とし、通報者を保護する法律
(テーマ・覚えること)
公益通報者保護法における、事業者の体制整備に関する記述として、最も適切なものはどれか。
正解:イ 常時使用する労働者が 300 人を超える事業者は、従事者を定め、体制を整備する
ポイント
公益通報への対応体制の義務を、事業者の規模から選ぶ問題です。
考え方と解き方
義務と努力義務の境目は、常時使用する労働者の数で決まります。数字を取りちがえると、規模の小さい事業者を対象外と考えてしまうので、境目の人数と、その下の扱いを合わせて覚えます。
- 常時使用する労働者が 300 人を超える事業者は、通報に対応する業務の従事者を定め、必要な体制を整備しなければなりません。
- 300 人以下の事業者は、体制の整備が努力義務です。したがって、最も適切なのは イ です。
ほかの選択肢
- ア 300 人以下の事業者にも、努力義務として及びます。定めが及ばないわけではありません。
- ウ 義務の境目は 100 人ではなく、300 人です。
- エ 義務は、行政機関の指導の有無にかかわらず、規模で決まります。
覚えておくこと
- 体制整備の義務:常時使用する労働者が300人を超える事業者は、従事者を定め、体制を整備する
- 300人以下の事業者:体制の整備は努力義務
(テーマ・覚えること)
同じ分野のテーマ(倫理・法規)
- 情報倫理・情報モラル(メール誤送信・フェイクニュース)今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
- AI倫理とAIガバナンス(XAI・HITL・AI利用ポリシー)今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
- AIのリスクと脅威(ハルシネーション・シャドーAI・機密入力)今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
- 著作権法(著作権・引用)今の制度の過去問(6回分)では、プログラム作成を委託した時の著作権の原始的帰属を問う問題が1問出ています。
- 不正競争防止法(営業秘密の3要件・限定提供データ)今の制度の過去問(6回分)では、社外秘情報の持出しを防ぐ対策として、情報の管理レベルのラベル付けを選ぶ問題が1問出ています。
- 請負・準委任・外部委託契約とNDA・ライセンス契約今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
- デジタル関連法規(AI基本法・電子帳簿保存法)と標準化今の制度の過去問(6回分)では、電子署名法の電子署名の効力を問う問題が1問出ています。
- 個人情報保護法(個人情報・個人データ・要配慮個人情報)今の制度の過去問(6回分)では、個人情報保護法が保護の対象とする個人情報の範囲を問う問題が1問出ています。
- マイナンバー法・GDPR・JIS Q 15001今の制度の過去問(6回分)では、特定個人情報ファイルの作成の制限を問う問題が1問出ています。
- プライバシー保護の手法(オプトイン・匿名化・PIA)今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
- 刑法(ウイルス作成罪など)と不正アクセス禁止法今の制度の過去問(6回分)では、刑法の電子計算機損壊等業務妨害に当たる行為と、マルウェアによる被害を処罰する法律を選ぶ問題が、あわせて2問出ています。
- サイバーセキュリティ基本法・特定電子メール法・能動的サイバー防御今の制度の過去問(6回分)では、特定電子メール法が2問、サイバーセキュリティ基本法に基づく組織が1問出ています。