分野 L|倫理・法規 重点分野

プライバシー保護の手法(オプトイン・匿名化・PIA)

今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。

シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の『2 プライバシー保護に関する手法・技法/個人情報保護・プライバシー保護に関する手法・技法』

最終更新

問われ方

  • 問われるとしたら:第三者提供で本人の同意が要る場面を選ぶ形
  • 問われるとしたら:オプトアウトで提供できる場合・できない場合を選ぶ形
  • 問われるとしたら:目的と条件に合う加工の手法(削除・コーディング)を選ぶ形
  • 問われるとしたら:表の組合せの件数から、k-匿名性を満たす加工を選ぶ形

覚えること

  • 第三者提供:個人データを提供元と本人以外の者へ渡すこと。原則、本人の同意が要る
  • 委託、事業承継、共同利用に伴う提供は、第三者提供に当たらない
  • オプトイン:事前に本人が同意の意思を示して初めて、提供や送信を行う方式
  • オプトアウト:本人の求めがあれば提供を停止する前提で、同意なく提供する方式
  • 提供するには、本人への通知又は容易に知り得る状態にし、委員会へ届け出る
  • 要配慮個人情報と、不正に取得された個人データは、オプトアウトで提供できない
  • 外国にある第三者への提供は、原則、外国への提供を認める本人の同意が要る
  • プライバシー影響評価(PIA):個人情報等の収集を伴う事業の開始や変更の際に、事前にリスクを評価する手法
  • PIA の流れ:準備、リスクの特定・評価、リスクの低減
  • 用語例:プライバシーフレームワーク、情報漏えい対策、データマスキング、電子透かし
  • 項目削除は列、レコード削除は特定個人の全情報、セル削除は特定の1つの値を削除
  • トップ(ボトム)コーディング:極端に大きい(小さい)値をまとめる。例は「80歳以上」
  • 一般化:上位概念や丸めた数値に置き換える加工
  • k-匿名性:同じ属性をもつデータが k 件以上ある状態。個人が特定される確率を k 分の 1 以下にできる
  • k-匿名化:その状態になるようにデータを加工すること
  • 参考:改正法の施行後は、統計作成等のみの提供は同意不要。顔特徴データ等はオプトアウト不可

ひっかけ

  • オプトイン(事前の同意)とオプトアウト(停止の求めで止める)の取りちがえ
  • 項目削除(列)、レコード削除(行)、セル削除(1つの値)の取りちがえ

想定問題

4問(科目A(四択))。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1科目A(四択)

B 課長の対応として、最も適切なものはどれか。

A 社の企画部の B 課長は、保有する顧客の個人データを、提携先の C 社の商品の案内に使う目的で、C 社へ第三者提供することを計画している。提供する個人データには、顧客から聞き取った信条が含まれている。C 社は国内の事業者で、A 社は、本人の求めがあれば提供を停止する体制を整えている。

正解:ウ 信条を含む個人データはオプトアウトでは提供できないので、本人の同意を得て提供する

ポイント

要配慮個人情報を含む個人データを、第三者提供する場面の対応を問う問題です。

考え方と解き方

オプトアウトは、本人の同意なしに提供できる例外の仕組みですが、使えない情報があります。要配慮個人情報は、その対象外です。企画部の責任者の立場なら、提供の方式を決める前に、提供する情報の中身を先に確かめます。

  1. 本人の同意なしに提供できるオプトアウトは、提供を停止する体制を整え、通知又は容易に知り得る状態に置いたうえで、委員会に届け出ることが条件です。ただし、要配慮個人情報は対象になりません。
  2. 信条は要配慮個人情報なので、原則どおり、本人の同意を得て提供します。したがって、最も適切なのは ウ です。

ほかの選択肢

  • ア 要配慮個人情報は、オプトアウトによる提供の対象外です。体制と届出が整っていても、信条を含めて同意なく提供はできません。
  • イ 提携先でも、A 社と別の事業者であれば第三者です。委託や共同利用などに当たる事情も書かれていません。
  • エ 提供先が国内の事業者であることは、同意が要らない理由になりません。国内か外国かは、外国にある第三者への提供の制限を考える場面の区別です。

覚えておくこと

  • 第三者提供:個人データを提供元と本人以外の者へ渡すこと。原則、本人の同意が要る
  • 提供するには、本人への通知又は容易に知り得る状態にし、委員会へ届け出る
  • 要配慮個人情報と、不正に取得された個人データは、オプトアウトで提供できない

(テーマ・覚えること)

想定問題 2科目A(四択)

D さんが年齢の列に行う加工として、最も適切なものはどれか。

C 社のデータ分析担当の D さんは、会員の年齢、居住地域、購入額を、外部の研究者に渡して分析してもらう。氏名と会員番号は、既に削除してある。会員の中に年齢が 95 歳の人が 1 人だけおり、年齢と居住地域から本人が分かるおそれがある。分析では、全会員の記録と、年齢・居住地域の両方の列を使う必要がある。

正解:ア 80 歳以上の年齢を「80 歳以上」にまとめる(トップコーディング)

ポイント

分析の条件に合う加工の手法を選ぶ問題です。

考え方と解き方

加工の手法は、どの値や行や列を、どう変えるかで区別します。この事例は、全ての記録と2つの列を残す条件があるので、削除する手法は使えません。この立場なら、条件を満たす手法かを先に考えます。

  1. 極端に高い年齢は、トップ(ボトム)コーディングで、極端に大きい値をまとめて置き換えます。全会員の記録も、2つの列も残せるので、条件を満たします。
  2. レコード削除は記録を、項目削除は列を失うので、条件を満たしません。したがって、最も適切なのは ア です。

ほかの選択肢

  • イ レコード削除は、特定の個人の全情報を削除する手法です。全会員の記録を使う条件に合いません。
  • ウ 項目削除は、年齢の列そのものを削除します。年齢の列を使う条件に合いません。
  • エ 項目削除で居住地域の列を削除すると、居住地域の列を使う条件に合いません。

覚えておくこと

  • トップ(ボトム)コーディング:極端に大きい(小さい)値をまとめる。例は「80歳以上」
  • 項目削除は列、レコード削除は特定個人の全情報、セル削除は特定の1つの値を削除

(テーマ・覚えること)

想定問題 3科目A(四択)

手引きの記述 a〜c のうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

情報セキュリティ管理者の B さんは、部門向けの手引きに、プライバシー保護の手法の説明を次の a〜c のとおり書いた。
  • a 個人データの取扱いを外部の事業者に委託することは、第三者提供に当たるので、原則、本人の同意が要る。
  • b PIA は、個人情報等の収集を伴う事業の開始や変更の際に、プライバシー侵害のリスクを事前に評価する手法である。
  • c オプトインは、事前に本人が同意の意思を示して初めて、提供や送信を行う方式である。

正解:エ b、c

ポイント

第三者提供、PIA、オプトインの説明の適切さを問う問題です。

考え方と解き方

委託は、第三者提供と別の仕組みです。PIA は事業の前に行い、オプトインは事前の同意を前提にします。『事後』『当たる』のような、条件を入れ替えた語に注意します。

  1. a は不適切です。委託に伴う提供は、第三者提供に当たらないものとされています。b は適切です。PIA は、事業の開始や変更の際に、事前にリスクを評価します。c は適切です。オプトインは、事前に同意を得てから行う方式です。
  2. したがって、適切なのは b、c の全てで、エ です。

ほかの選択肢

  • ア a は不適切なので含められません。また、c も適切なので、a、b では組合せが合いません。
  • イ a は不適切なので、a、b、c の全てとはなりません。委託は第三者提供に当たりません。
  • ウ a は不適切なので含められません。また、b も適切なので、a、c では組合せが合いません。

覚えておくこと

  • 委託、事業承継、共同利用に伴う提供は、第三者提供に当たらない
  • プライバシー影響評価(PIA):個人情報等の収集を伴う事業の開始や変更の際に、事前にリスクを評価する手法
  • オプトイン:事前に本人が同意の意思を示して初めて、提供や送信を行う方式

(テーマ・覚えること)

想定問題 4科目A(四択)

表1の6件に対する処理のうち、加工後の表が 2-匿名性を満たすものはどれか。

E 社のデータ分析担当の F さんは、会員6人の年代と居住地域を含む表1を、外部に渡す前に加工する。年代と居住地域の組合せを手がかりに、個人が特定されることを防ぎたい。
表1 会員の年代と居住地域
会員年代居住地域
120代東部
220代東部
330代東部
430代西部
530代西部
640代西部

正解:イ 年代の列を、全て「全年代」に置き換える。

ポイント

表の値から、k-匿名性を満たす加工を選ぶ問題です。

考え方と解き方

k-匿名性は、同じ属性をもつデータが k 件以上ある状態です。2-匿名性なら、組合せごとの件数が全て 2 件以上でなければなりません。加工したあとの組合せごとの件数を数え、1 件の組合せが残らないかを確かめます。

  1. 元の表では、20代・東部が 2 件、30代・東部が 1 件、30代・西部が 2 件、40代・西部が 1 件です。1 件の組合せがあるので、2-匿名性を満たしていません。
  2. 年代を全て「全年代」にすると、東部が 3 件、西部が 3 件になり、全て 2 件以上です。したがって、最も適切なのは イ です。

ほかの選択肢

  • ア 居住地域をまとめると、20代が 2 件、30代が 3 件、40代が 1 件になり、40代の 1 件が残ります。
  • ウ 40代の行を削除すると、30代・東部の 1 件が残ります。
  • エ 「30代以下」と「40代」にすると、40代・西部の 1 件が残ります。

覚えておくこと

  • k-匿名性:同じ属性をもつデータが k 件以上ある状態。個人が特定される確率を k 分の 1 以下にできる
  • k-匿名化:その状態になるようにデータを加工すること

(テーマ・覚えること)

1問ずつの画面で解く(4問)

前のテーマ次のテーマ:刑法(ウイルス作成罪など)と不正アクセス禁止法

同じ分野のテーマ(倫理・法規)