分野 F|相続・事業承継 よく出る

事業承継税制と円滑化法

過去の公開問題では、遺留分に関する民法の特例の問題が1問、贈与税の納税猶予の特例を含む事業承継対策の問題が1問、5回分で合わせて2問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 遺留分に関する民法の特例(円滑化法)の合意の内容を、不適切な記述として問う(5回分で1問)
  • 贈与税の納税猶予の特例の手続や相続時精算課税との関係を、事業承継対策の問題の中で問う(5回分で1問)

覚えること

  • 事業承継税制(法人版):円滑化法の認定を受けた後継者が、非上場株式等を贈与・相続等で取得すると納税を猶予
  • 特例措置の適用期間:2018年1月1日〜2027年12月31日出どころの贈与・相続等
  • 特例承継計画:特例措置では、事前に作成して都道府県知事に提出し、確認を受ける
  • 特例承継計画の提出期間:2018年4月1日出どころから2027年9月30日出どころまで
  • 納税猶予割合:特例措置は100%出どころ、一般措置は相続等の場合80%出どころ
  • 対象株式:特例措置は全株式、一般措置は総株式数の最大3分の2出どころまで(議決権に制限のない株式等)
  • 後継者の人数:特例措置は複数の株主から最大3人出どころ、一般措置は1人出どころ
  • 雇用確保要件:一般措置は承継後5年間出どころ、平均8割出どころの雇用維持が必要。特例措置は弾力化
  • 事業継続が困難なとき:特例措置は、譲渡対価等で猶予税額を再計算し、従前との差額を免除
  • 相続時精算課税:要件を満たせば、事業承継税制の贈与でも選択できる(一般措置・特例措置とも)
  • 個人版:個人事業承継計画の確認を受けた後継者が事業用資産を贈与・相続等で取得すると、納税が猶予される
  • 個人版の対象:青色申告の事業(不動産貸付業等を除く)の事業用の土地・建物・減価償却資産
  • 個人事業承継計画の提出期限:2028年9月30日出どころまで
  • 個人版の適用期間:2019年1月1日〜2028年12月31日出どころの贈与・相続等
  • 遺留分の特例:先代経営者(旧代表者)から贈与された株式等を、遺留分の計算上、除外または固定する合意ができる
  • 会社事業後継者:旧代表者から株式等の贈与を受け、総株主の議決権の過半数を有し、かつ代表者出どころの者。親族に限らない
  • 合意の当事者:旧代表者の遺留分を有する推定相続人(将来の相続人)の全員と会社事業後継者の全員。書面で行う
  • 除外合意(通称):贈与された株式等の全部または一部を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない
  • 固定合意(通称):贈与された株式等の価額を、合意時の価額で算入する。弁護士・公認会計士・税理士等の証明が要る
  • 合意の要件:合意の対象とした株式を除く後継者の議決権が、総株主の議決権の100分の50以下出どころ
  • 手続:後継者が、合意をした日から1か月以内出どころに、経済産業大臣の確認を申請する
  • 手続:経済産業大臣の確認を受けた日から1か月以内出どころに家庭裁判所へ許可を申し立て、許可で効力が生じる

ひっかけ

  • 遺留分の特例の後継者は、旧代表者の親族に限られない
  • 事業承継税制の贈与でも、相続時精算課税は選べる。「選べない」は誤り

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律による「遺留分に関する民法の特例」(以下「本特例」という)の合意に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:2 本特例の固定合意により、会社事業後継者が贈与で取得した自社株式の遺留分算定上の価額は、相続開始時の価額とされる。

ポイント

遺留分の特例の合意の中身と、確認・許可の手続を問い、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

遺留分の特例は、合意で何を定めるか、合意が有効になる手続、合意できる条件の3つに分けて覚えます。固定合意で固定される価額を、合意時と相続開始時で取りちがえると、誤りに気づけません。

  1. 固定合意は、贈与された株式等の価額を、合意をした時点の価額で遺留分の算定に入れる定めです。相続開始時の価額に替わる定めではありません。
  2. 2)は、固定される価額を相続開始時の価額としているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 2 です。正しくは、固定合意では、贈与された自社株式の遺留分算定上の価額は、合意時の価額とされる、です。

ほかの選択肢

  • 1 合意は、経済産業大臣の確認を受け、経済産業大臣の確認を受けた日から1か月以内に家庭裁判所の許可を申し立てて許可を受けたときに限り、効力が生じます。適切です。
  • 3 確認の申請は、後継者が行い、期限は合意をした日から1か月以内です。適切です。
  • 4 合意の対象とした株式を除いた後継者の議決権が、総株主の議決権の100分の50以下である場合に限り、合意できます。これを超えると合意できないので、適切です。

覚えておくこと

  • 固定合意(通称):贈与された株式等の価額を、合意時の価額で算入する。弁護士・公認会計士・税理士等の証明が要る
  • 合意の要件:合意の対象とした株式を除く後継者の議決権が、総株主の議決権の100分の50以下
  • 手続:後継者が、合意をした日から1か月以内に、経済産業大臣の確認を申請する

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:遺留分の民法特例:合意の対象株式を除いた後継者の議決権の上限(これを超えると合意できない)・遺留分の民法特例:経済産業大臣の確認の申請期限・遺留分の民法特例:家庭裁判所の許可の申立て期限

想定問題 2四答択一式

法人版事業承継税制(非上場株式等についての納税猶予の特例措置および一般措置)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解:1 特例措置では、猶予の対象は議決権に制限のない株式等の全てで、納税猶予割合は100%である。

ポイント

法人版事業承継税制の特例措置と一般措置の違いを問い、最も適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

2つの措置は、猶予割合、対象株式、後継者の人数、雇用確保要件で違いがあります。特例措置と一般措置の数字を入れかえて覚えていると、誤りの記述に引っかかります。

  1. 特例措置は、猶予の対象が議決権に制限のない株式等の全てで、納税猶予割合は100%です。一般措置は、対象が総株式数の最大3分の2までで、納税猶予割合は相続等の場合80%です。
  2. 1)は、特例措置の内容と同じです。したがって、最も適切なのは 1 です。

ほかの選択肢

  • 2 一般措置の後継者を最大3人としている所が違います。複数の株主から最大3人の後継者を認めるのは特例措置で、一般措置は1人です。
  • 3 特例措置の雇用維持を、満たさなければ例外なく納付としている所が違います。特例措置は弾力化されていて、満たさない場合は、理由を記載した報告書を都道府県知事に提出して確認を受けます。承継後5年間、平均8割の雇用維持を求めるのは一般措置です。
  • 4 一般措置の猶予割合を、相続等の場合も100%としている所が違います。正しくは、相続等の場合は80%です。

覚えておくこと

  • 納税猶予割合:特例措置は100%、一般措置は相続等の場合80%
  • 対象株式:特例措置は全株式、一般措置は総株式数の最大3分の2まで(議決権に制限のない株式等)
  • 後継者の人数:特例措置は複数の株主から最大3人、一般措置は1人

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:事業承継税制(一般措置)の対象株数の上限(総株式数に対する割合)・事業承継税制(一般措置)の後継者の人数(複数の株主から)・事業承継税制(特例措置)の後継者の人数(複数の株主から、最大)・事業承継税制(一般措置)の雇用確保要件(承継後5年間の平均)・事業承継税制(一般措置)の雇用確保要件の期間・事業承継税制の納税猶予割合(一般措置、相続等の場合)・事業承継税制の納税猶予割合(特例措置)

想定問題 3四答択一式

法人版事業承継税制の特例措置に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる語句または期間の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

特例措置の適用を受けるためには、事前に(ア)を作成し、(イ)までに都道府県知事に提出して確認を受ける必要がある。特例措置は、(ウ)に行われる贈与・相続等が対象である。

正解:4 (ア)特例承継計画、(イ)2027年9月30日、(ウ)2018年1月1日〜2027年12月31日

ポイント

特例措置を受けるための計画の名前と、提出期限・適用期間を問う問題です。

考え方と解き方

特例措置には、計画の提出期限と、贈与・相続等の適用期間という、終わりの日が2つあります。2つの日付を入れかえたり、個人版の計画と取りちがえたりするのが間違えやすい所です。

  1. 特例措置では、事前に特例承継計画を作成して都道府県知事に提出し、確認を受けます。これが(ア)です。提出期間は2018年4月1日から2027年9月30日までで、(イ)は2027年9月30日です。
  2. 特例措置の対象は、2018年1月1日〜2027年12月31日の贈与・相続等で、これが(ウ)です。したがって、最も適切なのは 4 (ア)特例承継計画、(イ)2027年9月30日、(ウ)2018年1月1日〜2027年12月31日 です。

ほかの選択肢

  • 1 (ア)が違います。個人事業承継計画は個人版の計画で、法人版の特例措置で提出するのは特例承継計画です。(イ)(ウ)は合っています。
  • 2 (イ)と(ウ)の日付が入れかわっています。計画の提出期限は2027年9月30日まで、贈与・相続等の適用期間は2018年1月1日〜2027年12月31日です。(ア)は合っています。
  • 3 (イ)が違います。2028年9月30日は個人事業承継計画の提出期限で、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日です。(ア)(ウ)は合っています。

覚えておくこと

  • 特例承継計画:特例措置では、事前に作成して都道府県知事に提出し、確認を受ける
  • 特例承継計画の提出期間:2018年4月1日から2027年9月30日まで
  • 特例措置の適用期間:2018年1月1日〜2027年12月31日の贈与・相続等

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:特例承継計画の提出期間の始まり・特例承継計画の提出期限・事業承継税制(特例措置)の適用期間・個人版事業承継税制の個人事業承継計画の提出期限(都道府県知事に提出し確認を受ける)

想定問題 4四答択一式

個人版事業承継税制および法人版事業承継税制に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:2 個人版事業承継税制は、不動産貸付業を営む個人事業者が事業の用に供している資産を、後継者が引き継ぐ場合にも適用される。

ポイント

個人版事業承継税制の対象と、法人版の特例措置の免除の扱いを問い、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

個人版事業承継税制は、法人版と違い、事業用の資産そのものが対象です。対象になる事業と資産の範囲を、法人版の株式と混同しないことが大切です。

  1. 個人版事業承継税制は、個人事業承継計画の確認を受けた後継者が、事業用の土地・建物・減価償却資産を贈与・相続等で取得したときの制度です。不動産貸付業等は対象から除かれています。
  2. 2)は、不動産貸付業の資産にも適用されるとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 2 です。正しくは、個人版事業承継税制は、不動産貸付業を営む個人事業者の事業用資産には適用されない、です。

ほかの選択肢

  • 1 個人版の対象資産は、事業用の土地・建物・減価償却資産です。減価償却資産には、固定資産税の課税対象のものなどが含まれるので、適切です。
  • 3 個人版の適用を受けるのは、個人事業承継計画を都道府県知事に提出し、確認を受けた後継者です。適切です。
  • 4 法人版の特例措置は、事業継続が困難な事由が生じたとき、譲渡対価等で猶予税額を再計算し、従前の猶予税額との差額を免除します。適切です。

覚えておくこと

  • 個人版:個人事業承継計画の確認を受けた後継者が事業用資産を贈与・相続等で取得すると、納税が猶予される
  • 個人版の対象:青色申告の事業(不動産貸付業等を除く)の事業用の土地・建物・減価償却資産
  • 事業継続が困難なとき:特例措置は、譲渡対価等で猶予税額を再計算し、従前との差額を免除

(テーマ・覚えること)

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