分野 F|相続・事業承継 よく出る

宅地・貸家・借地権の評価

過去の公開問題では、宅地の相続税評価で最も不適切な記述を選ぶ問題が、5回分で3問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 宅地の相続税評価で「最も不適切」を選ぶ記述が出る(5回分で3問)
  • 貸宅地・貸家建付地・自用地の区分を問うもの(2問)、路線価・倍率方式の評価を問うもの(1問)

覚えること

  • 評価の方式:路線価のある地域は路線価方式、路線価のない地域は倍率方式
  • 路線価は千円単位出どころで表示(その道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額)
  • 路線価方式:路線価に奥行価格補正率などを乗じ、地積を乗じて自用地の価額を求める
  • 正面路線:路線価に奥行価格補正率を乗じた金額が高い方(同額なら接する距離が長い方)
  • 角地:正面路線価×奥行価格補正率に、側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率の額を加える
  • 裏面にも路線がある宅地は、裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率の額も加える
  • 倍率方式:固定資産税評価額に評価倍率表の倍率を乗じる(原則として、形状の補正率は乗じない)
  • 評価単位:宅地は利用の単位となっている1画地ごと。2筆が一体利用なら全体で1画地
  • 借地権を設定した部分、自己使用部分、貸家の敷地部分は、それぞれ別の1画地
  • 自用地:自分で使う宅地、更地、使用貸借(無償で貸すこと)で貸す宅地、施設のない青空駐車場の土地
  • 貸宅地(底地):借地権の目的となっている宅地。自用地価額-自用地価額×借地権割合
  • 借地権割合は路線価図などに表示。借地権の取引慣行がない地域の貸宅地は20%出どころとして計算
  • 借地権:自用地価額×借地権割合(借地に自宅を建てて住む場合など)
  • 貸家建付地:貸家の敷地。自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
  • 貸家建付借地権:借地上に自分名義のアパートを建てて貸している場合の借地権の評価区分
  • 家屋:固定資産税評価額×1.0倍出どころ。貸家は、その価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
  • 賃貸割合:賃貸中の各独立部分の床面積の合計÷各独立部分の床面積の合計
  • 継続して賃貸し、速やかに募集して他の用途にも使わないなどの一時的な空室は、賃貸中とみなせる
  • 借地借家法の適用がない社宅の敷地は、貸家建付地とせず自用地として評価する
  • 路線価方式では、形状や規模に応じて不整形地補正、無道路地補正、地積規模の大きな宅地の補正などを行う

数字と計算

  • 例:路線価25万円、地積200㎡、奥行価格補正率1.00、借地権割合60%
  • 自用地価額=25万円×1.00×200㎡=5,000万円。借地権=5,000万円×60%=3,000万円
  • 貸宅地=5,000万円-5,000万円×60%=2,000万円(自用地価額から借地権の額を引く)

ひっかけ

  • 借地権は「自用地価額×借地権割合」、貸宅地は「自用地価額-借地権の額」。使用貸借の宅地は貸宅地でなく自用地

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

相続税における宅地の評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:2 被相続人が、自己の所有する土地を、車庫などの施設がない青空駐車場(月極駐車場)として利用させていた場合、その土地の価額は貸宅地として評価する。

ポイント

宅地の評価区分と評価単位について、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

貸宅地になるのは、借地権のような宅地の上に存する権利の目的となっている宅地です。施設のない青空駐車場として使わせている土地は、この権利の目的になっていないので、取りちがえると適切な記述が不適切に見えます。

  1. 借地権などの権利の目的になっていない宅地は、自分で使う宅地や更地と同じく、自用地として評価します。車庫などの施設がない青空駐車場の土地も自用地です。
  2. 2)は、青空駐車場の土地を貸宅地としているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 2 です。正しくは、自用地として評価する、です。

ほかの選択肢

  • 1 借地権の取引慣行がないと認められる地域では、貸宅地の評価で借地権割合を20%として計算します。適切です。
  • 3 使用貸借で貸している宅地は、自用地価額で評価し、使用借権の価額は零とします。適切です。
  • 4 借地権を設定した部分と自己使用部分は、それぞれ別の1画地として評価します。適切です。

覚えておくこと

  • 自用地:自分で使う宅地、更地、使用貸借(無償で貸すこと)で貸す宅地、施設のない青空駐車場の土地
  • 借地権割合は路線価図などに表示。借地権の取引慣行がない地域の貸宅地は20%として計算
  • 借地権を設定した部分、自己使用部分、貸家の敷地部分は、それぞれ別の1画地

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:貸宅地の評価(借地権の慣行がない地域の借地権割合)

想定問題 2四答択一式

相続税における貸家建付地の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解:2 借地借家法の適用がない社宅の敷地は、貸家建付地とせず、自用地としての価額によって評価する。

ポイント

貸家建付地の評価で、例外になる場合と、賃貸割合の求め方を問う問題です。

考え方と解き方

貸家建付地は貸家の敷地ですが、借地借家法の適用がない社宅の敷地は例外です。また、賃貸割合は部屋の数ではなく床面積で計算し、一時的な空室は賃貸中として扱えます。この3点を取りちがえると、誤りの記述が適切に見えます。

  1. 借地借家法の適用がない社宅の敷地は、貸家の敷地でも貸家建付地とは評価せず、自用地として評価します。
  2. 2)は、この内容と同じです。したがって、最も適切なのは 2 です。

ほかの選択肢

  • 1 借家権割合を乗じていない所が違います。正しくは、自用地としての価額から、自用地としての価額に借地権割合、借家権割合および賃貸割合を乗じた金額を控除します。
  • 3 空室を、理由にかかわらず賃貸されていないものとしている所が違います。継続して賃貸し、速やかに募集して他の用途にも使わないなどの一時的な空室は、賃貸されているものとして扱えます。
  • 4 独立部分の数で計算するとしている所が違います。賃貸割合は、賃貸中の各独立部分の床面積の合計を、各独立部分の床面積の合計で除して求めます。

覚えておくこと

  • 貸家建付地:貸家の敷地。自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
  • 借地借家法の適用がない社宅の敷地は、貸家建付地とせず自用地として評価する
  • 賃貸割合:賃貸中の各独立部分の床面積の合計÷各独立部分の床面積の合計

(テーマ・覚えること)

想定問題 3四答択一式

相続税における宅地の路線価方式による評価に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、評価の対象となる宅地は、正面路線と側方路線の2つの路線に接しているものとする。

この宅地の1㎡当たりの価額は、正面路線価に奥行価格補正率を乗じた金額に、(ア)路線価に奥行価格補正率と(イ)を乗じた金額を加算して求める。正面路線は、各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じた金額が(ウ)方の路線とする。

正解:4 (ア)側方、(イ)側方路線影響加算率、(ウ)高い

ポイント

角地を路線価方式で評価するときの、正面路線の判定と側方路線の加算を問う問題です。

考え方と解き方

角地は2つの路線の影響を受けるので、どちらを正面路線にするかと、もう一方の路線をどの率で加算するかの両方が問われます。側方路線と裏面路線の取りちがえに注意します。

  1. 角地の宅地は、正面路線価に奥行価格補正率を乗じた金額に、側方路線価に奥行価格補正率と側方路線影響加算率を乗じた金額を加算します。これが(ア)側方、(イ)側方路線影響加算率です。
  2. 正面路線は、路線価に奥行価格補正率を乗じた金額が高い方の路線で、これが(ウ)です。したがって、最も適切なのは 4 (ア)側方、(イ)側方路線影響加算率、(ウ)高い です。

ほかの選択肢

  • 1 (ア)(イ)(ウ)のすべてが違います。側方路線に接する角地の加算には、側方路線価と側方路線影響加算率を使います。正面路線は、奥行価格補正率を乗じた金額が高い方の路線です。
  • 2 (ウ)が違います。正面路線は、奥行価格補正率を乗じた金額が高い方の路線で、低い方ではありません。(ア)(イ)は合っています。
  • 3 (ア)と(イ)が違います。裏面路線価と二方路線影響加算率は、裏面に路線がある宅地の加算に使い、側方路線がある角地には使いません。(ウ)は合っています。

覚えておくこと

  • 正面路線:路線価に奥行価格補正率を乗じた金額が高い方(同額なら接する距離が長い方)
  • 角地:正面路線価×奥行価格補正率に、側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算率の額を加える
  • 裏面にも路線がある宅地は、裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算率の額も加える

(テーマ・覚えること)

想定問題 4四答択一式

下記の〈資料〉に基づく、Aさんの相続が開始した場合の、Aさんが貸している宅地の相続税評価額として、最も適切なものはどれか。なお、〈資料〉に記載のない事項は考慮しないものとする。

〈資料〉
・Aさんは、所有する宅地(地積150㎡)について、通常の権利金を受け取って借地権(定期借地権等を除く)を設定し、Bさんに賃貸している。Bさんはその宅地の上に自宅を建築して居住している
・宅地の路線価は1㎡当たり40万円で、奥行価格補正率は1.00であり、ほかの補正は考慮しない
・この宅地は借地権の取引慣行のある地域にあり、借地権割合は70%である

正解:1 1,800万円

ポイント

借地権が設定されている宅地(貸宅地)の評価額を求める問題です。

考え方と解き方

借地権が設定されている宅地は、所有者にとって貸宅地です。自用地としての価額から借地権の額を差し引いた残りが、所有者の宅地の評価額になります。借地権の額そのものを答えにしないよう注意します。

  1. 自用地としての価額は、路線価に奥行価格補正率を乗じ、地積を乗じて求めます。40万円×1.00×150㎡=6,000万円です。
  2. 貸宅地の価額は、自用地としての価額から、自用地としての価額に借地権割合を乗じた金額を差し引いて求めます。6,000万円-6,000万円×70%=1,800万円です。したがって、最も適切なのは 1 1,800万円 です。

ほかの選択肢

  • 2 4,200万円:借地権の価額(自用地としての価額×借地権割合)を答えにした額です(6,000万円×70%)。貸宅地の価額は、これを自用地としての価額から差し引いた額です。
  • 3 4,800万円:借地権割合を、借地権の取引慣行がない地域の20%にして計算した額です(6,000万円-6,000万円×20%)。この宅地の借地権割合は、資料の70%です。
  • 4 6,000万円:借地権割合による差引きをせず、自用地としての価額を答えにした額です。貸宅地は、借地権の額を差し引いて評価します。

覚えておくこと

  • 貸宅地(底地):借地権の目的となっている宅地。自用地価額-自用地価額×借地権割合
  • 借地権割合は路線価図などに表示。借地権の取引慣行がない地域の貸宅地は20%として計算
  • 借地権:自用地価額×借地権割合(借地に自宅を建てて住む場合など)

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:貸宅地の評価(借地権の慣行がない地域の借地権割合)

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