分野 F|相続・事業承継 よく出る

取引相場のない株式の評価

過去の公開問題では、取引相場のない株式の評価方式を問う問題が、5回分で2問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 小会社の株式を中心的な同族株主が取得した場合と、同族株主以外が取得した場合の評価方式が、2問とも選択肢に出る
  • 配当還元の還元率、類似業種の株価、大会社の判定、比準要素が、記述で1問ずつ出る

覚えること

  • 会社規模:総資産価額(帳簿価額)・従業員数・取引金額で、大会社・中会社・小会社に区分する
  • 大会社の判定:従業員数70人以上出どころの会社は、総資産価額や取引金額にかかわらず大会社
  • 類似業種比準方式(同業種の株価と比べる):比準要素は1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額(帳簿価額)
  • 類似業種の株価:課税時期の月以前3か月出どころの各月の最低が原則。選択で前年平均、以前2年間出どころの平均も可
  • 斟酌率(比準価額の計算で掛ける係数):大会社0.7出どころ、中会社0.6出どころ、小会社0.5
  • 純資産価額方式(会社の財産で計算):相続税評価額の総資産-負債-評価差額×38%出どころ、を株数で割る
  • 配当還元方式(配当で計算):1株当たりの年配当金額を10%出どころで還元した元本の額
  • 同族株主(会社を支配する株主):同族関係者と合わせて議決権30%出どころ以上(過半数のグループがあれば、そのグループ)
  • 中心的な同族株主:本人と配偶者・直系血族・兄弟姉妹・一親等の姻族の議決権の合計が25%出どころ以上
  • 同族株主は原則として原則的評価方式(一部の少数株主を除く)、同族株主以外は規模にかかわらず配当還元方式
  • 中心的な同族株主のいる会社では、それ以外の同族株主で取得後の議決権5%出どころ未満の人(役員等を除く)は配当還元方式
  • 原則的評価方式:大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両方の併用
  • 中会社=類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)。Lは大0.90出どころ・中0.75出どころ・小0.60
  • 小会社は純資産価額方式が原則。Lを0.50出どころとする併用方式を選んでもよい
  • 特定の評価会社:比準要素数1の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満出どころの会社等
  • 特定の評価会社は原則として純資産価額方式。開業前や休業中の会社の株式も、純資産価額方式で評価する
  • 同族株主以外の株主が取得した場合は、開業前・休業中・清算中の会社を除き、配当還元方式で評価する
  • 清算中の会社の株式は、清算分配見込額(残余財産の分配見込額)によって評価する

数字と計算

  • 例:Lが0.90出どころの中会社(大)を併用方式で評価。類似業種比準価額は500円、純資産価額は300円
  • この場合の評価額は、類似業種比準価額に掛けるLの割合である0.90出どころと、残りの0.10で合計して求める
  • 0.90出どころ×500円+0.10×300円=450円+30円=480円

ひっかけ

  • 小会社の株式は、中心的な同族株主(同族株主の中心)が取得しても、類似業種比準方式だけでは評価しない
  • 同族株主以外の株主が取得した株式は、会社規模が大きくても、純資産価額方式ではなく配当還元方式
  • 配当還元方式の還元率は10%出どころである

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:1 会社規模が中会社である会社の株式の価額は、原則として、類似業種比準方式のみによって評価する。

ポイント

会社規模ごとの評価方式、純資産価額方式の求め方、清算中の会社の評価から、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

原則的評価方式は、会社規模ごとに使う方式が違います。大会社、中会社、小会社のどれがどの方式かを取りちがえると、適切な記述が不適切に見えます。

  1. 中会社の株式は、類似業種比準価額と純資産価額を併用して評価します。類似業種比準価額にLの割合を掛け、純資産価額に(1-Lの割合)を掛けて、合計します。
  2. 1)は、類似業種比準方式のみとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 1 です。正しくは、中会社の株式は、類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して評価する、です。

ほかの選択肢

  • 2 純資産価額方式は、総資産と負債を相続税評価額で洗い替え、評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いて求めるので、適切です。
  • 3 小会社の株式は、会社の財産をもとに評価する純資産価額方式が原則なので、適切です。
  • 4 清算中の会社の株式は、清算分配見込額によって評価するので、適切です。

覚えておくこと

  • 原則的評価方式:大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両方の併用
  • 中会社=類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)。Lは大0.90・中0.75・小0.60
  • 純資産価額方式(会社の財産で計算):相続税評価額の総資産-負債-評価差額×38%、を株数で割る

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:取引相場のない株式:中会社の類似業種比準価額のウェイト(Lの割合、中会社の中)・取引相場のない株式:中会社の類似業種比準価額のウェイト(Lの割合、中会社の大)・取引相場のない株式:中会社の類似業種比準価額のウェイト(Lの割合、中会社の小)・純資産価額方式の評価差額に対する法人税額等相当額の割合

想定問題 2四答択一式

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解:3 同族株主が取得した開業後3年未満の会社の株式の価額は、原則として、純資産価額方式によって評価する。

ポイント

特定の評価会社、大会社の評価方式、配当還元方式の決まりから、最も適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

特定の評価会社は、会社規模に関係なく、評価方式が決まっています。さらに、株式を取得した人が同族株主かどうかで、方式が変わる所を見落としやすい所です。

  1. 開業後3年未満の会社は、特定の評価会社で、原則として純資産価額方式で評価します。同族株主以外の株主が取得した場合は、配当還元方式で評価します。
  2. 3)は、同族株主が取得した場合なので、この内容と同じです。したがって、最も適切なのは 3 です。

ほかの選択肢

  • 1 株式等保有特定会社を類似業種比準方式としている所が違います。正しくは、特定の評価会社は原則として純資産価額方式で評価します。
  • 2 大会社を純資産価額方式としている所が違います。正しくは、大会社は類似業種比準方式で評価するのが原則です。
  • 4 同族株主が取得した株式の評価方式としている所が違います。正しくは、配当還元方式は同族株主以外の株主が取得した株式の評価方式で、年配当金額を10%で還元して評価します。同族株主は原則的評価方式です。

覚えておくこと

  • 特定の評価会社:比準要素数1の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社等
  • 特定の評価会社は原則として純資産価額方式。開業前や休業中の会社の株式も、純資産価額方式で評価する
  • 同族株主以外の株主が取得した場合は、開業前・休業中・清算中の会社を除き、配当還元方式で評価する

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:配当還元方式の還元率・取引相場のない株式の特定の評価会社の「開業後の経過年数」

想定問題 3四答択一式

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

類似業種比準方式の比準要素は、1株当たりの(ア)、(イ)および純資産価額(帳簿価額)である。類似業種比準価額の計算では、比準割合に斟酌率を乗じ、大会社の斟酌率は(ウ)である。

正解:2 (ア)配当金額、(イ)利益金額、(ウ)0.7

ポイント

類似業種比準方式の比準要素と、大会社の斟酌率を、空欄の組み合わせで問う問題です。

考え方と解き方

比準要素は、配当・利益・純資産の組み合わせで、売上高と取りちがえやすい所です。斟酌率は会社規模で変わるので、規模ごとに分けて覚えます。

  1. 類似業種比準方式の比準要素は、1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額(帳簿価額)です。売上高は入りません(ア)(イ)。
  2. 類似業種比準価額に乗じる斟酌率は、大会社が0.7、中会社が0.6、小会社が0.5です(ウ)。したがって、最も適切なのは 2 (ア)配当金額、(イ)利益金額、(ウ)0.7 です。

ほかの選択肢

  • 1 (イ)が違います。比準要素に売上高は入りません。正しくは、利益金額です。(ア)と(ウ)は合っています。
  • 3 (ウ)が違います。0.6は中会社の斟酌率で、大会社は0.7です。(ア)と(イ)は合っています。
  • 4 (ア)が違います。正しくは、1株当たりの配当金額です。売上高は比準要素に入りません。(イ)と(ウ)は合っています。

覚えておくこと

  • 類似業種比準方式(同業種の株価と比べる):比準要素は1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額(帳簿価額)
  • 斟酌率(比準価額の計算で掛ける係数):大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:類似業種比準価額の斟酌率(中会社)・類似業種比準価額の斟酌率(大会社)・類似業種比準価額の斟酌率(小会社)

想定問題 4四答択一式

下記の〈事例〉に基づく、X社株式の1株当たりの相続税評価額として、最も適切なものはどれか。なお、X社株式は、類似業種比準価額と純資産価額の併用方式によって評価するものとする。

〈事例〉
・被相続人Aさんは、取引相場のないX社の株式を所有しており、長男Bさんが相続により取得した
・Bさんは、X社の中心的な同族株主であり、Bさんとその同族関係者の議決権の合計は、X社の議決権総数の過半数である
・X社は特定の評価会社に該当しない
・X社の会社規模は、中会社の「中」に区分される
・X社株式の1株当たりの類似業種比準価額(斟酌率を適用した後の額)は800円、1株当たりの純資産価額は600円である

正解:4 750円

ポイント

中会社の「中」の株式について、類似業種比準価額と純資産価額を併用して、1株当たりの評価額を求める計算問題です。

考え方と解き方

中会社は、類似業種比準価額と純資産価額を、Lの割合で混ぜて評価します。Lの割合は中会社の「大」「中」「小」で違い、どちらの価額に掛けるかも取りちがえやすい所です。

  1. 併用方式で評価する指定なので、類似業種比準価額と純資産価額を併用します。会社規模は中会社の「中」なので、Lの割合は0.75です。
  2. 評価額は、類似業種比準価額にLの割合0.75、純資産価額にその残りの0.25を掛けて合計します。0.75×800円+0.25×600円=600円+150円=750円です。したがって、最も適切なのは 4 750円 です。

ほかの選択肢

  • 1 600円:純資産価額だけで評価した額です。この問題は併用方式で評価する指定なので、純資産価額だけでは評価しません。
  • 2 650円:類似業種比準価額ではなく純資産価額の方に、Lの割合である0.75を掛けた額です(0.75×600円+0.25×800円)。Lの割合は、類似業種比準価額に掛けます。
  • 3 720円:会社規模の区分を取りちがえて、中会社の「中」の割合である0.75ではなく、「小」に当たる0.60を使った額です(0.60×800円+0.40×600円)。

覚えておくこと

  • 中会社=類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)。Lは大0.90・中0.75・小0.60
  • 原則的評価方式:大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両方の併用
  • 同族株主は原則として原則的評価方式(一部の少数株主を除く)、同族株主以外は規模にかかわらず配当還元方式

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:取引相場のない株式:中会社の類似業種比準価額のウェイト(Lの割合、中会社の中)・取引相場のない株式:中会社の類似業種比準価額のウェイト(Lの割合、中会社の大)・取引相場のない株式:中会社の類似業種比準価額のウェイト(Lの割合、中会社の小)

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