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法人契約の保険料の経理処理

過去の公開問題では、法人契約の生命保険の保険料の経理処理を問う問題が4問、損害保険の経理処理を問う問題が2問、5回分で合わせて6問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 法人契約の生命保険の保険料の経理処理で、記述から最も不適切なものを選ぶ(5回分で4問)。養老・終身・定期・医療保険が並ぶ
  • 法人契約の損害保険の経理処理で、記述から最も適切なものを選ぶ(5回分で2問)。傷害・火災・車両保険と圧縮記帳が並ぶ

覚えること

  • 養老保険:死亡・満期とも受取人が法人なら、保険料の全額を資産に計上
  • 養老保険:死亡・満期とも受取人が被保険者または遺族なら、保険料は役員・従業員への給与
  • 養老保険:死亡は遺族、満期は法人なら、保険料の2分の1出どころを資産に計上し、残りは期間の経過に応じて損金に算入
  • 養老保険:上の場合に、役員や部課長など特定の人だけが被保険者なら、残りも給与
  • 終身保険:死亡保険金の受取人が法人なら、保険料の全額を資産に計上(損金にならない)
  • 終身保険を解約:解約返戻金と資産計上していた保険料の累計額との差額を益金に算入(少なければ損金)
  • 定期保険:受取人が法人なら、原則として保険料は期間の経過に応じて損金に算入
  • 定期保険:受取人が遺族でも原則は損金。役員や特定の使用人だけが被保険者なら給与
  • 定期保険(2019年7月8日以後出どころの契約):最高解約返戻率が50%出どころを超えると、保険料の一部を資産に計上し、残りを損金に算入
  • 定期保険:50%出どころ超70%出どころ以下は、保険期間の100分の40相当期間に、保険料の40%を資産計上
  • 定期保険:70%出どころ超85%出どころ以下は、保険料の60%を資産に計上し、残りを損金に算入
  • 定期保険:85%出どころ超は、保険料に最高解約返戻率の70%出どころ(10年までは最高解約返戻率の90%)を乗じた額を資産計上
  • 定期保険:最高解約返戻率70%出どころ以下で、年換算保険料相当額が1人30万円出どころ以下なら、資産計上しない
  • 総合福祉団体定期保険(1年更新の定期保険):保険料は、原則として期間の経過に応じて損金に算入
  • 医療保険:給付金の受取人が法人で、解約返戻金がないものは、保険料を損金に算入できる
  • 保険金・給付金を受け取ったとき:益金に算入。資産に計上していた保険料の累計額は損金に算入
  • 傷害保険:従業員全員が被保険者・受取人の普通傷害保険は、保険料の全額を損金に算入
  • 地震保険:法人は個人の地震保険料控除を使えない。保険料は期間の経過に応じて損金に算入
  • 火災保険:複数年分を一括で払った保険料は前払費用。期間の経過に応じて損金に算入
  • 車両保険金:受け取った保険金は益金、修理費は損金。修理に充てても経理処理が必要
  • 圧縮記帳:滅失・損壊した固定資産の代替資産を取得すると、保険差益を圧縮記帳できる。棚卸資産は対象外

ひっかけ

  • 養老保険の2分の1出どころは、死亡が遺族・満期が法人のときだけ。両方とも法人なら全額資産計上
  • 終身保険は全額資産計上、定期保険は原則損金。ただし最高解約返戻率が50%超の定期保険は一部を資産計上
  • 圧縮記帳は固定資産だけ。棚卸資産は対象外。個人の地震保険料控除は法人に使えない

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

法人を契約者(=保険料負担者)とする生命保険等に係る保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2025年4月に締結したものとする。また、特約については考慮しないものとする。

正解:4 被保険者を役員・従業員全員、死亡保険金および満期保険金の受取人を法人とする養老保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。

ポイント

法人が契約者の保険の保険料の経理処理を、保険の種類と受取人から判断して、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

養老保険は、受取人の組み合わせで処理が3通りに分かれます。死亡と満期の両方の受取人が法人のときと、死亡が遺族で満期が法人のときを取りちがえると、間違えます。

  1. 養老保険は、死亡・満期とも受取人が法人なら、保険料の全額を資産に計上します。死亡が遺族、満期が法人なら、保険料の2分の1を資産に計上し、残りは期間の経過に応じて損金に算入します。
  2. 4)は、死亡・満期とも受取人が法人なのに、全額を損金に算入できるとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 4 です。正しくは、その全額を資産に計上する、です。

ほかの選択肢

  • 1 死亡保険金の受取人が遺族、満期保険金の受取人が法人の養老保険なので、保険料の2分の1を資産に計上し、残りは期間の経過に応じて損金に算入します。被保険者が全従業員なので、残りも給与にはなりません。適切です。
  • 2 終身保険で死亡保険金の受取人が法人のときは、保険料の全額を資産に計上します。適切です。
  • 3 解約返戻金のない医療保険で給付金の受取人が法人のときは、保険料を損金に算入できます。適切です。

覚えておくこと

  • 養老保険:死亡・満期とも受取人が法人なら、保険料の全額を資産に計上
  • 養老保険:死亡は遺族、満期は法人なら、保険料の2分の1を資産に計上し、残りは期間の経過に応じて損金に算入
  • 終身保険:死亡保険金の受取人が法人なら、保険料の全額を資産に計上(損金にならない)

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:法人契約の養老保険(死亡保険金は被保険者の遺族、満期保険金は法人)の保険料の資産計上の割合

想定問題 2四答択一式

法人を契約者(=保険料負担者)とする生命保険等に係る保険金・解約返戻金等の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解:3 被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金が、資産に計上していた保険料の累計額より少ない場合、その差額は、損金の額に算入する。

ポイント

法人が保険金や解約返戻金を受け取ったときの経理処理を、資産に計上していた保険料と結びつけて、最も適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

受け取ったお金の処理だけを見ると間違えます。資産に計上していた保険料の累計額を、どう処理するかをあわせて考えます。

  1. 保険金や解約返戻金を受け取ったときは、受け取った額を益金に算入し、資産に計上していた保険料の累計額は損金に算入します。解約返戻金が累計額より少なければ、差額が損金になります。
  2. 3)は、返戻金が累計額より少ない差額を損金に算入するとしているので、適切です。したがって、最も適切なのは 3 です。

ほかの選択肢

  • 1 益金の額に算入しないとしている所が違います。保険料を損金に算入してきた定期保険でも、受け取った死亡保険金は益金に算入します。
  • 2 累計額を益金の額に算入するとしている所が違います。満期保険金を受け取ったときも、資産に計上していた保険料の累計額は損金に算入します。
  • 4 累計額を損金の額に算入しないとしている所が違います。死亡保険金を受け取ったときは、保険金を益金に算入し、資産に計上していた保険料の累計額を損金に算入します。

覚えておくこと

  • 保険金・給付金を受け取ったとき:益金に算入。資産に計上していた保険料の累計額は損金に算入
  • 終身保険を解約:解約返戻金と資産計上していた保険料の累計額との差額を益金に算入(少なければ損金)

(テーマ・覚えること)

想定問題 3四答択一式

法人を契約者(=保険料負担者)とする定期保険の保険料の経理処理に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、契約は2019年7月8日以後の契約で、被保険者は役員、死亡保険金受取人は法人とする。

最高解約返戻率が50%を超え70%以下の定期保険は、保険期間の開始日から保険期間の(ア)相当期間を経過する日まで、支払保険料の(イ)を資産に計上し、残額を損金の額に算入する。

正解:2 (ア)100分の40、(イ)40%

ポイント

最高解約返戻率の区分に応じた、定期保険の保険料の資産計上の期間と割合を問う問題です。

考え方と解き方

区分ごとに、期間と割合の組み合わせを取りちがえやすい問題です。100分の75は資産計上の期間ではなく、取り崩しを始める目安です。

  1. 最高解約返戻率が50%超70%以下の区分は、保険期間の100分の40相当期間に、支払保険料の40%を資産に計上し、残額を損金に算入します。
  2. (ア)は100分の40、(イ)は40%です。したがって、最も適切なのは 2 (ア)100分の40、(イ)40% です。

ほかの選択肢

  • 1 (イ)が違います。60%は、70%超85%以下の区分の割合です。50%超70%以下の区分は40%です。(ア)は合っています。
  • 3 (ア)が違います。100分の75は、資産に計上した額を取り崩して損金に算入していく時期の目安で、資産計上の期間は保険期間の100分の40です。(イ)は合っています。
  • 4 (ア)と(イ)の両方が違います。資産計上の期間は保険期間の100分の40、割合は40%です。

覚えておくこと

  • 定期保険:50%超70%以下は、保険期間の100分の40相当期間に、保険料の40%を資産計上
  • 定期保険(2019年7月8日以後の契約):最高解約返戻率が50%を超えると、保険料の一部を資産に計上し、残りを損金に算入

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:定期保険・第三分野保険の最高解約返戻率の区分による取扱いが適用される契約日・定期保険・第三分野保険の資産計上の区分の境(最高解約返戻率):50%・定期保険・第三分野保険の資産計上の区分の境(最高解約返戻率):70%・定期保険等の資産計上期間(最高解約返戻率50%超70%以下):保険期間に対する割合・定期保険等の資産計上額(最高解約返戻率50%超70%以下)の当期分支払保険料に対する割合・定期保険等の資産計上額(最高解約返戻率70%超85%以下)の当期分支払保険料に対する割合・定期保険等の資産計上額の取崩しの開始(最高解約返戻率50%超70%以下):保険期間に対する割合

想定問題 4四答択一式

契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:4 業務用自動車が交通事故で全損となり、法人が受け取った車両保険の保険金は、代替車両を取得しなくても、圧縮記帳の適用を受けることができる。

ポイント

法人の損害保険の保険料と保険金の経理処理を見分けて、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

保険金を受け取ったら圧縮記帳ができる、と考えると間違えます。圧縮記帳は、保険金で代替の固定資産を取得したときに使うものです。

  1. 圧縮記帳は、保険金で滅失・損壊した固定資産の代替資産を取得したときに、保険差益について使えます。代替資産を取得しなければ、受け取った保険金は益金に算入します。
  2. 4)は、代替車両を取得しなくても圧縮記帳ができるとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 4 です。正しくは、代替車両を取得した場合に、圧縮記帳の適用を受けることができる、です。

ほかの選択肢

  • 1 受け取った車両保険の保険金は、修理をしなくても益金に算入します。修理費を払ったときは、損金に算入します。適切です。
  • 2 法人が払う地震保険の保険料は、個人の地震保険料控除の対象ではなく、期間の経過に応じて損金に算入します。適切です。
  • 3 複数年分を一括で払った火災保険の保険料は、翌事業年度以後の期間に対応する分が前払費用で、期間の経過に応じて損金に算入します。適切です。

覚えておくこと

  • 圧縮記帳:滅失・損壊した固定資産の代替資産を取得すると、保険差益を圧縮記帳できる。棚卸資産は対象外
  • 地震保険:法人は個人の地震保険料控除を使えない。保険料は期間の経過に応じて損金に算入
  • 火災保険:複数年分を一括で払った保険料は前払費用。期間の経過に応じて損金に算入

(テーマ・覚えること)

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