分野 L|倫理・法規 重点分野
刑法(ウイルス作成罪など)と不正アクセス禁止法
今の制度の過去問(6回分)では、刑法の電子計算機損壊等業務妨害に当たる行為と、マルウェアによる被害を処罰する法律を選ぶ問題が、あわせて2問出ています。
シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の『1 刑法・不正アクセス禁止法/刑法』『1 刑法・不正アクセス禁止法/不正アクセス禁止法』
最終更新
問われ方
- 刑法の電子計算機損壊等業務妨害に当たる行為を選ぶ形
- マルウェアで被害を与えた者を処罰する法律を選ぶ形
- 問われるとしたら:行為が不正アクセス行為に当たるかを、事例から選ぶ形
- 問われるとしたら:刑法の罪の名前と内容の組合せを選ぶ形
覚えること
- 不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪):正当な理由なく、不正なプログラムを作成・提供・供用する
- 同罪は、不正なプログラムの取得・保管も対象。実行されて被害が出ることは、条件でない
- 電子計算機損壊等業務妨害罪:業務に使う電子計算機の損壊や、虚偽の情報・不正な指令で、業務を妨害する
- 電子計算機使用詐欺罪:事務処理の電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与え、財産上不法の利益を得る
- 電磁的記録不正作出及び供用罪:事務処理を誤らせる目的で、権利・義務・事実証明の電磁的記録を不正に作る
- 支払用カード電磁的記録不正作出等罪:財産上の事務処理を誤らせる目的で、支払用カードの電磁的記録を不正に作る
- 不正アクセス禁止法:アクセス制御機能で制限された利用を、不正に可能にする行為などを禁止
- アクセス制御機能:入力された符号が正規の識別符号と一致するかを確認し、利用の制限を解除する機能
- 不正アクセス行為:他人の識別符号や、制限を免れる情報・指令を入力し、制限された利用を可能にすること
- 不正アクセス行為を助長する行為:正当な理由なく、他人の識別符号をアクセス管理者・利用権者以外へ提供する
- 不正アクセス行為の目的での、他人の識別符号の取得や保管も、禁止されている
- 管理者になりすまし、識別符号の入力を求める電子メールを送ることも、承諾がなければ禁止
- 識別符号の入力で制限を免れるだけなら不正アクセス禁止法。データを消して業務を妨害すれば刑法も
ひっかけ
- 人をだます詐欺と、電子計算機に虚偽の情報を与える電子計算機使用詐欺の取りちがえ
- 不正アクセス禁止法(識別符号・制限)と刑法(ウイルス・業務妨害)の取りちがえ
想定問題
4問(科目A(四択))。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。
B さんが整理する C さんの行為として、最も適切なものはどれか。
正解:エ 他人の識別符号を入力して、制限されている利用を可能にしたので、不正アクセス行為に当たる
ポイント
事例の行為が、不正アクセス行為に当たるかを問う問題です。
考え方と解き方
不正アクセス行為は、他人の識別符号の入力などで、アクセス制御機能による制限を免れて利用する行為です。同じ会社の従業員か、データを壊したかは関係ありません。管理者の立場なら、制限の仕組みと、承諾の有無を先に確かめます。
- 管理システムは、入力された符号が正規の識別符号と一致するかを確認して利用を制限しているので、アクセス制御機能をもちます。
- C さんは、D さんの識別符号を、D さんとアクセス管理者の承諾なしに入力して、制限されていた利用を可能にしました。したがって、最も適切なのは エ です。
ほかの選択肢
- ア ID とパスワードの照合で利用を制限する仕組みは、アクセス制御機能の典型です。対象外とはなりません。
- イ 従業員であっても、他人の識別符号を、その人とアクセス管理者の承諾なしに入力すれば、不正アクセス行為に当たります。
- ウ 不正アクセス行為は、制限されている利用を可能にした時点で成り立ちます。データの消去は条件ではありません。
覚えておくこと
- アクセス制御機能:入力された符号が正規の識別符号と一致するかを確認し、利用の制限を解除する機能
- 不正アクセス行為:他人の識別符号や、制限を免れる情報・指令を入力し、制限された利用を可能にすること
(テーマ・覚えること)
刑法の罪の説明として、適切なものはどれか。
正解:イ 電子計算機使用詐欺罪は、人の事務処理に使う電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えて、財産上の不法な利益を得る行為を処罰する。
ポイント
刑法の罪の名前と内容の組合せを問う問題です。
考え方と解き方
刑法の罪は、何をして、何を得た(妨げた)かの組合せで区別します。虚偽の情報を与えて利益を得るのが使用詐欺、動作を妨げて業務を妨害するのが損壊等業務妨害です。罪の名前を入れ替えた文に注意します。
- 電子計算機使用詐欺罪は、人の事務処理に使う電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えて、財産上不法の利益を得る行為を処罰します。
- 他の選択肢は、別の罪や法律の説明です。したがって、最も適切なのは イ です。
ほかの選択肢
- ア 業務に使う電子計算機の損壊や不正な指令で業務を妨害する行為を処罰するのは、電子計算機損壊等業務妨害罪です。電磁的記録不正作出及び供用罪は、電磁的記録を不正に作る行為などを処罰します。
- ウ 権利・義務・事実証明の電磁的記録を不正に作る行為を処罰するのは、電磁的記録不正作出及び供用罪です。電子計算機損壊等業務妨害罪は、電子計算機の損壊や不正な指令で業務を妨害する行為を処罰します。
- エ 他人の識別符号を入力して利用を可能にする行為は、不正アクセス禁止法の不正アクセス行為の説明です。不正指令電磁的記録に関する罪は、不正なプログラムを作成・提供・供用する行為などを処罰します。
覚えておくこと
- 電子計算機使用詐欺罪:事務処理の電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与え、財産上不法の利益を得る
- 電子計算機損壊等業務妨害罪:業務に使う電子計算機の損壊や、虚偽の情報・不正な指令で、業務を妨害する
- 電磁的記録不正作出及び供用罪:事務処理を誤らせる目的で、権利・義務・事実証明の電磁的記録を不正に作る
(テーマ・覚えること)
B さんが C さんの行為を判断するときの考え方として、最も適切なものはどれか。
正解:ウ 実行させる目的で作成し提供したので、刑法の不正指令電磁的記録に関する罪の対象になる
ポイント
不正なプログラムを作成し、提供した行為の位置づけを問う問題です。
考え方と解き方
ウイルス作成罪は、作ったり渡したりした段階で成り立つもので、被害が出た後の罪ではありません。管理者の立場なら、行為が作成・提供・供用・取得・保管のどの段階に当たるかを先に考えます。
- 刑法の不正指令電磁的記録に関する罪は、正当な理由がないのに、人のコンピュータで実行させる目的で、不正なプログラムを作成し、又は提供する行為などを処罰します。実行されて被害が出ることは、条件に書かれていません。
- C さんは、実行させる目的で作成して提供しているので、対象になります。したがって、最も適切なのは ウ です。
ほかの選択肢
- ア 成立するのに、実行されて被害が出ることは条件ではありません。作成や提供の段階で対象になります。
- イ 不正アクセス行為は、識別符号や制限を免れる情報・指令を入力して、制限された利用を可能にする行為です。プログラムを渡す行為は、これに当たりません。
- エ 識別符号を入力していないので不正アクセス行為には当たりませんが、不正なプログラムの作成や提供は、刑法の対象になります。
覚えておくこと
- 不正指令電磁的記録に関する罪(ウイルス作成罪):正当な理由なく、不正なプログラムを作成・提供・供用する
- 同罪は、不正なプログラムの取得・保管も対象。実行されて被害が出ることは、条件でない
(テーマ・覚えること)
記述 a〜c のうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a アクセス制御機能は、入力された符号が正規の識別符号と一致するかを確認し、利用の制限を解除する機能である。
- b アクセス管理者になりすまし、識別符号の入力を求める電子メールを利用者に送ることは、アクセス管理者の承諾がない限り禁止されている。
- c 不正アクセス行為に使う目的で他人の識別符号を取得することは禁止されないが、保管することは禁止されている。
正解:ア a、b
ポイント
不正アクセス禁止法の定義と禁止行為の説明の適切さを問う問題です。
考え方と解き方
不正アクセス禁止法は、不正アクセス行為そのもののほか、その準備にあたる取得・保管・提供や、識別符号を盗む手口も禁止しています。『禁止されない』と言い切る記述に注意します。
- a は適切です。符号の一致を確認して利用の制限を解除するのが、アクセス制御機能です。b は適切です。管理者になりすまして識別符号の入力を求めるメールの送信は、承諾がない限り禁止されています。c は不適切です。不正アクセス行為に使う目的の取得も、禁止されています。
- したがって、適切なのは a、b の全てで、ア です。
ほかの選択肢
- イ c は不適切なので、a、b、c の全てとはなりません。取得も、保管と同じく禁止されています。
- ウ c は不適切です。また、b も適切なので、a、c では組合せが合いません。
- エ c は不適切なので含められません。また、a も適切なので、b、c では組合せが合いません。
覚えておくこと
- アクセス制御機能:入力された符号が正規の識別符号と一致するかを確認し、利用の制限を解除する機能
- 不正アクセス行為の目的での、他人の識別符号の取得や保管も、禁止されている
- 管理者になりすまし、識別符号の入力を求める電子メールを送ることも、承諾がなければ禁止
(テーマ・覚えること)
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