分野 E|セキュリティ・倫理
民法と契約(請負契約・準委任契約・守秘契約NDA・ライセンス契約)
今の制度の過去問(3回分)では、請負契約の注文者と請負業者の権利と義務が、1問出ています。
シラバス案 Ver.0.1(2026年8月31日公表)の『7-28-4 取引関連法規』
最終更新
よく出る形
- 請負契約(仕事の完成を約束する契約)の注文者と請負業者の権利と義務を選ぶ(3回分で1問)
- 問われるとしたら:事例で、準委任契約(事務の処理を任せる契約)か請負契約かを選ぶ形
- 問われるとしたら:契約が成立する時と、売買契約の中身を選ぶ形
- 問われるとしたら:守秘契約(NDA、秘密を守る約束)や使用許諾契約を、説明から選ぶ形
- 問われるとしたら:使用許諾の範囲と NDA の a〜c の組合せの形
覚えること
- 契約の成立:申込みに承諾をしたときに成立し、法令に特別の定めがなければ書面は要らない
- 売買契約:売主が財産権を移し、買主が代金を支払うことを約束して成立する契約
- 請負契約:請負人が仕事の完成を約束し、注文者がその結果に報酬を支払う契約
- 請負の報酬:仕事の目的物の引渡しと同時に支払う(引渡しを要しない仕事を除く)
- 請負の解除:仕事の完成前は、注文者が損害を賠償すれば、いつでも解除できる
- 請負の下請負:民法の請負の規定に、注文者の承諾を求める定めはない
- 請負の契約不適合:目的物が契約の内容に合わないとき、注文者は修補などの追完や報酬の減額を請求できる
- 請負の通知期限:種類・品質の不適合を知った時から1年以内に通知する(請負人が知っていた場合などを除く)
- 準委任契約:法律行為でない事務(調査や運用など)の処理を任せる契約
- 準委任の義務:受任者は、善良な管理者の注意(善管注意義務)で事務を処理する
- 労働者派遣:派遣元が雇用する労働者を、派遣先が指揮命令して働かせる
- 【表1】請負・準委任・労働者派遣のちがい(約束の中身、指揮命令をする人、雇用主)
- 外部委託契約:業務を外部の事業者に任せる契約で、請負契約か準委任契約の形で結ぶ
- 守秘契約(NDA):知りえた秘密を守ることを約束する契約。使ってよい目的は契約で決める
- ソフトウェア使用許諾契約(ライセンス契約):権利者が利用を許諾する契約
- 使用許諾の範囲:許諾された台数や期間などの範囲を超えて使うと、契約違反になる
- ボリュームライセンス契約:同じソフトウェアを、多くの台数や利用者向けにまとめて許諾する契約
- 参考:今のシラバスの契約類型にある「雇用契約」は、案では労働者派遣法の用語例に入っている
ひっかけ
- 請負は結果の完成を約束し、準委任は完成でなく、事務の処理を約束する
- 請負の形でも、発注者が労働者に直接指揮命令すると、派遣と判断される(偽装請負)
- 使用許諾は利用を認める契約で、著作権を譲る契約ではない
| 請負 | 準委任 | 労働者派遣 | |
|---|---|---|---|
| 約束の中身 | 仕事の完成と引渡し | 事務の処理 | 労働者を派遣先で働かせること |
| 責任 | 完成した結果 | 善管注意義務を尽くした処理 | 派遣元は雇用主の責任、派遣先は指揮命令に伴う責任 |
| 指揮命令をする人 | 請負人(注文者は労働者に指揮命令しない) | 受任者 | 派遣先 |
| 労働者の雇用主 | 請負人 | 受任者 | 派遣元 |
想定問題
4問(四肢択一)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。
A 社が B 社と結ぶ契約として、最も適切なものはどれか。
正解:ウ 準委任契約を結ぶ。
ポイント
仕事の完成を求めずに調査と助言を任せるとき、どの契約が合うかを問う問題です。
考え方と解き方
契約の種類は、仕事の完成を約束するか、事務の処理を任せるかで分かれます。調査も「仕事を任せる」ので請負、と考えて選ぶと誤ります。
- A 社が B 社に任せたいのは、完成を求めない調査と助言という、事務の処理です。
- 事務の処理を任せる契約は準委任契約で、受任者は善良な管理者の注意をもって事務を処理します。
- したがって、最も適切なのは ウ です。
ほかの選択肢
- ア 請負契約は、仕事の完成と引渡しを約束する契約です。事例では完成を求めないので、合いません。
- イ 労働者派遣では、派遣先が労働者に指揮命令をします。事例では A 社が直接の指示をしないので、合いません。
- エ 売買契約は、財産権を移す契約です。事例は事務を任せたいので、成果を買い取る契約には当たりません。
覚えておくこと
- 準委任契約:法律行為でない事務(調査や運用など)の処理を任せる契約
- 準委任の義務:受任者は、善良な管理者の注意(善管注意義務)で事務を処理する
- 労働者派遣:派遣元が雇用する労働者を、派遣先が指揮命令して働かせる
(テーマ・覚えること)
A 社と B 社の売買契約が成立する時として、最も適切なものはどれか。
正解:イ B 社の担当者が、A 社の申込みに承諾した時に、成立する。
ポイント
売買契約が成立するのは、どの時点かを問う問題です。
考え方と解き方
契約が成立する時と、契約を実行する時は別です。代金の支払いや引渡しが済んでから成立する、と考えると誤ります。
- 売買契約は、売主が財産権を移すことを約束し、買主が代金を支払うことを約束して成立します。
- A 社の申込みに B 社が承諾をした時に、双方の約束がそろうので、その時に成立します。
- したがって、最も適切なのは イ です。
ほかの選択肢
- ア 契約書の作成や署名、押印は、法令に特別の定めがなければ、成立の条件ではありません。
- ウ 代金の支払いは、成立した契約を実行することで、成立の条件ではありません。
- エ 引渡しも、成立した契約を実行することで、成立の条件ではありません。
覚えておくこと
- 契約の成立:申込みに承諾をしたときに成立し、法令に特別の定めがなければ書面は要らない
- 売買契約:売主が財産権を移し、買主が代金を支払うことを約束して成立する契約
(テーマ・覚えること)
A 社が結んだ契約に関する記述として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a 契約で許諾された20台を超えて、追加の契約なしに、21台目以降の PC でも使える。
- b 使用許諾を受けたので、A 社は、このソフトウェアの著作権を譲り受けたことになる。
- c 開示された技術資料を、導入の検討以外のために使うことは、契約に反する。
正解:エ c
ポイント
使用許諾契約の範囲、著作権の扱い、NDA の目的外使用を、a〜c で判定する問題です。
考え方と解き方
使用許諾契約は使ってよい範囲が、NDA は使ってよい目的が、それぞれ契約で決まります。使用許諾を「買い取り」のように考えると、b を適切とする誤りになります。
- a は不適切です。許諾された20台の範囲を超える使い方は、追加の契約がなければ、契約違反になります。
- b は不適切です。使用許諾は利用を認める契約で、著作権が移るわけではありません。
- c は適切です。NDA で使ってよい目的が導入の検討に限られているので、それ以外に使うと契約に反します。
- したがって、適切なのは c だけで、エ です。
ほかの選択肢
- ア 不適切な a、b を挙げていて、適切な c を挙げていません。
- イ 不適切な a、b も挙げています。
- ウ 不適切な b も挙げています。
覚えておくこと
- ソフトウェア使用許諾契約(ライセンス契約):権利者が利用を許諾する契約
- 使用許諾の範囲:許諾された台数や期間などの範囲を超えて使うと、契約違反になる
- 守秘契約(NDA):知りえた秘密を守ることを約束する契約。使ってよい目的は契約で決める
(テーマ・覚えること)
守秘契約(NDA)に該当するものはどれか。
正解:ア 取引で知った秘密を、決めた目的以外に使わず、漏らさないと約束する契約
ポイント
守秘契約(NDA)がどんな約束の契約かを、ほかの契約と区別して問う問題です。
考え方と解き方
4つとも「〜を約束する契約」の形で書かれています。約束の中身を読み取り、契約の名前と結びつけます。仕事や事務を任せる契約と取りちがえやすい所です。
- 守秘契約(NDA)は、知りえた秘密を守ることを約束する契約で、使ってよい目的は契約で決めます。
- したがって、該当するのは ア です。
ほかの選択肢
- イ ソフトウェア使用許諾契約(ライセンス契約)の説明です。
- ウ 請負契約の説明です。
- エ 競業をしないことを約束する契約の説明です。秘密を守る約束ではありません。
覚えておくこと
- 守秘契約(NDA):知りえた秘密を守ることを約束する契約。使ってよい目的は契約で決める
- ソフトウェア使用許諾契約(ライセンス契約):権利者が利用を許諾する契約
(テーマ・覚えること)
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