分野 D|タックスプランニング
譲渡所得・一時所得と非課税所得
過去の公開問題では、5回分にはまだ出ていませんが、出題範囲にある論点をまとめています。
最終更新
よく出る形
- 譲渡所得または一時所得の計算の記述から、1か所だけ誤りのものを選ぶ型
- 譲渡益や満期保険金から、総所得金額を求める計算の型
- 非課税になる所得と、課税される所得の見分けを問う型
覚えること
- 総合課税の譲渡所得:土地建物等・株式等以外の資産(ゴルフ会員権、書画・骨とうなど)を譲渡した所得
- 譲渡所得の金額=総収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額(最高50万円出どころ)
- 長期・短期:所有期間が5年出どころを超えれば長期、5年以内は短期
- 特別控除:年間で短期・長期を合わせて最高50万円出どころ。まず短期から、残りを長期から差し引く
- 総所得金額への算入:短期譲渡所得は全額、長期譲渡所得は特別控除後の金額の2分の1出どころ
- 一時所得:営利目的の継続的な行為以外から生じ、労務や資産譲渡の対価でない、一時の所得
- 一時所得の例:懸賞の賞金、競馬の払戻金、保険料を負担した人が受け取る満期保険金・解約返戻金
- 一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円出どころ)
- 支出した金額:その収入を得るために直接要した金額(満期保険金では、受取人が負担した保険料の総額)
- 総所得金額への算入:一時所得の金額の2分の1出どころ(損失が出ても、ほかの所得とは通算できない)
- 非課税の例:通勤手当(電車・バスなどのみ利用の場合は、1か月15万円出どころまで)
- 非課税の例:宝くじの当せん金、障害年金・遺族年金、雇用保険の失業等給付
- 非課税の例:心身の損害に対する損害賠償金・慰謝料(事故の治療費・慰謝料など)
- 非課税の例:家具・衣類など生活用動産の譲渡益(1個または1組の価額が30万円出どころを超える貴金属・書画・骨とうなどは課税)
- 保険金・給付金の非課税や、保険料の負担者と受取人が違う場合の贈与税は、くわしくは保険の税金のテーマ
数字と計算
ひっかけ
想定問題
4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。
所得税の非課税所得および課税される所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
正解:2 懸賞に当選して受け取った賞金は、非課税所得とされ、所得税が課されない。
ポイント
非課税になる所得と、課税される所得を見分けて、最も不適切な記述を選ぶ問題です。
考え方と解き方
懸賞の賞金と宝くじの当せん金は、似ていても扱いが違います。賞金を非課税と思いこむと、間違えます。
- 宝くじの当せん金は、所得税が課されません。生活に通常必要な動産の譲渡による所得、交通機関のみを利用する人の通勤手当(1か月15万円まで)も、非課税です。
- 懸賞の賞金は、非課税所得ではなく、一時所得として所得税が課されます。2)は、非課税としているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 2 です。正しくは、懸賞に当選して受け取った賞金は、一時所得として所得税が課される、です。
ほかの選択肢
- 1 宝くじの当せん金は、当せん金付証票法により、所得税が課されません。適切です。
- 3 家具・衣類など、生活に通常必要な動産の譲渡による所得は、非課税です。ただし、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とうなどは、課税されます。適切です。
- 4 電車・バスなどの交通機関のみを利用する人の通勤手当は、1か月15万円までの部分が非課税です。適切です。
覚えておくこと
- 非課税の例:宝くじの当せん金、障害年金・遺族年金、雇用保険の失業等給付
- 非課税の例:家具・衣類など生活用動産の譲渡益(1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とうなどは課税)
- 一時所得の例:懸賞の賞金、競馬の払戻金、保険料を負担した人が受け取る満期保険金・解約返戻金
(テーマ・覚えること)
数字の出どころ:生活に通常必要でない資産になる貴金属・書画・骨とうなどの価額の線・通勤手当の非課税の限度(交通機関のみ利用、1か月当たり)
所得税における一時所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
正解:4 一時所得の金額は、総収入金額から収入を得るために支出した金額と特別控除額を差し引いて求め、その2分の1が総所得金額に算入される。
ポイント
一時所得の金額の求め方と、総所得金額への入れ方を問う問題です。
考え方と解き方
一時所得は、差し引くものが2つあり、そのあとで2分の1にします。差し引くものを1つ忘れる、2分の1を忘れる、の2つが間違えやすい所です。
- 一時所得の金額は、総収入金額から、収入を得るために支出した金額と、特別控除額(最高50万円)を差し引いて求めます。総所得金額には、この金額の2分の1が入ります。
- 一時所得は損益通算の対象になる所得に入らないので、損失が出ても、ほかの所得とは通算できません。
- 4)は、この内容と同じです。したがって、最も適切なのは 4 です。
ほかの選択肢
- 1 特別控除額を差し引かないで求めている所が違います。正しくは、支出した金額のほかに、最高50万円の特別控除額も差し引きます。
- 2 損失をほかの所得と損益通算できるとしている所が違います。一時所得は損益通算の対象になる所得に入らないので、損失が出ても通算できません。
- 3 総所得金額に全額が入るとしている所が違います。正しくは、一時所得の金額の2分の1が総所得金額に入ります。
覚えておくこと
- 一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
- 総所得金額への算入:一時所得の金額の2分の1(損失が出ても、ほかの所得とは通算できない)
(テーマ・覚えること)
数字の出どころ:一時所得の総所得金額への算入割合・一時所得の特別控除額
所得税における譲渡所得と一時所得に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
正解:2 (ア)短期、(イ)別々に、(ウ)2分の1
ポイント
譲渡所得と一時所得の特別控除の使い方と、総所得金額への入れ方を問う問題です。
考え方と解き方
どちらの特別控除も最高50万円と同じ額なので、取りちがえやすい所です。問われているのは、引く順番、2つの控除の関係、算入の割合の3つです。
- 譲渡所得の特別控除額は、まず短期譲渡所得の金額から控除します。これが(ア)です。
- 譲渡所得の特別控除額と一時所得の特別控除額は、それぞれ別に使えます。これが(イ)です。
- 長期譲渡所得と一時所得は、特別控除後の金額の2分の1が総所得金額に算入されます。これが(ウ)です。したがって、最も適切なのは 2 (ア)短期、(イ)別々に、(ウ)2分の1 です。
ほかの選択肢
- 1 (ア)が違います。長期からではなく、短期譲渡所得から先に控除します。(イ)(ウ)は合っています。
- 3 (イ)が違います。譲渡所得の特別控除額50万円と一時所得の特別控除額50万円は、それぞれ別に使えるので、合算して50万円ではありません。(ア)(ウ)は合っています。
- 4 (ウ)が違います。全額ではなく、特別控除後の金額の2分の1が総所得金額に入ります(短期譲渡所得は全額です)。(ア)(イ)は合っています。
覚えておくこと
- 特別控除:年間で短期・長期を合わせて最高50万円。まず短期から、残りを長期から差し引く
- 総所得金額への算入:短期譲渡所得は全額、長期譲渡所得は特別控除後の金額の2分の1
- 総所得金額への算入:一時所得の金額の2分の1(損失が出ても、ほかの所得とは通算できない)
(テーマ・覚えること)
数字の出どころ:一時所得の総所得金額への算入割合・一時所得の特別控除額・総合課税の長期譲渡所得を総所得金額に入れる割合・総合課税の譲渡所得の特別控除額
下記の〈Aさんの各種所得の金額〉に基づく、Aさんの所得税における総所得金額として、最も適切なものはどれか。なお、特別控除は最大限適用するものとし、記載のない事項は考慮しないものとする。
・給与所得の金額:500万円
・ゴルフ会員権(所有期間3年)の譲渡益:30万円(特別控除前)
・書画(所有期間8年)の譲渡益:100万円(特別控除前)
・満期保険金による一時所得(保険料はAさんが負担):総収入金額260万円、収入を得るために支出した金額200万円
正解:1 545万円
ポイント
譲渡所得の特別控除の順と、長期譲渡所得・一時所得の2分の1を当てはめて、総所得金額を求める問題です。
考え方と解き方
間違えやすい所は2つあります。特別控除をどちらから引くかと、2分の1にするのを特別控除を引いたあとにすることです。
- ゴルフ会員権は所有期間3年で短期、書画は8年で長期(5年を超える)です。特別控除50万円は、まず短期の30万円から引いて0円、残り20万円を長期から引きます。長期は100万円-20万円=80万円です。
- 長期の80万円は2分の1で40万円です。一時所得は、260万円-200万円-50万円=10万円で、その2分の1は5万円です。
- 総所得金額は、500万円+40万円+5万円=545万円です。したがって、最も適切なのは 1 545万円 です。
ほかの選択肢
- 2 550万円:一時所得の10万円を2分の1にしないで加えた額です(545万円-5万円+10万円)。一時所得は、特別控除を引いたあと、2分の1にして加えます。
- 3 560万円:特別控除50万円を長期から先に引いた額です(短期30万円+(100万円-50万円)の2分の1=55万円、500万円+55万円+5万円)。特別控除は、まず短期から引きます。
- 4 585万円:譲渡所得の特別控除50万円を引かなかった額です(短期30万円+長期100万円の2分の1=80万円、500万円+80万円+5万円)。
覚えておくこと
- 特別控除:年間で短期・長期を合わせて最高50万円。まず短期から、残りを長期から差し引く
- 総所得金額への算入:短期譲渡所得は全額、長期譲渡所得は特別控除後の金額の2分の1
- 一時所得の金額=総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)
(テーマ・覚えること)
数字の出どころ:一時所得の総所得金額への算入割合・一時所得の特別控除額・総合課税の譲渡所得の長期・短期の境目(所有期間)・総合課税の長期譲渡所得を総所得金額に入れる割合・総合課税の譲渡所得の特別控除額
この本文の数字の出どころ
- 一時所得の総所得金額への算入割合 2分の1
- 一時所得の特別控除額 50万円
- 総合課税の譲渡所得の長期・短期の境目(所有期間) 5年
- 総合課税の長期譲渡所得を総所得金額に入れる割合 2分の1
- 総合課税の譲渡所得の特別控除額 50万円
- 生活に通常必要でない資産になる貴金属・書画・骨とうなどの価額の線 1個または1組の価額が30万円を超えるもの
- 通勤手当の非課税の限度(交通機関のみ利用、1か月当たり) 15万円
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