分野 S|セキュリティ
AIで守る技術とAIを守る対策(RAG・プロンプトインジェクション対策)
今の制度の過去問には出ていませんが、新しいシラバス案(Ver.0.1)にある項目です。問われるとしたらの形でまとめています。
シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の『1 セキュア開発・実装/セキュリティに配慮したシステムアーキテクチャ及びシステム構築』『1 セキュア開発・実装/AIシステムを守るための対策(Security for AI)』
最終更新
問われ方
- 問われるとしたら:委託先に求めるAIの対策を、被害の原因から選ぶ形
- 問われるとしたら:RAGの参照データの扱いを、利用者の権限から選ぶ形
- 問われるとしたら:AI for Security と Security for AI の区別を選ぶ形
覚えること
- AI for Security:AIを使って、監視や分析、対応を支援する取組み
- Security for AI:AIシステム自体を、攻撃や誤用から守る取組み
- AIを使った検知の結果は誤りを含むことがあり、確認は担当者が行う
- プロンプトインジェクション:攻撃の中身は、AIへの攻撃のテーマで扱う。ここでは対策
- 完全に防ぐ方法は確立していない。複数の対策を重ねる(多層防御)
- 対策の例:入出力のフィルタリング、権限の最小化、ログの取得、人の承認
- 指示とデータの構造的な分離は研究段階。提供されていれば使い、他の対策と重ねる
- 外部データ中の悪意ある指示の検知、遮断の機能は、AI提供者に求める。完全ではない
- RAGの保管先(データストア)に権限の不備があると、閲覧できない文書が回答に混ざる
- RAGのアクセス制御:検索時に、利用者の権限と文書の権限を照合して参照先を絞る
- RAGの参照データは、信頼性、正確性の高い出典を使い、定期的に品質を管理する
- AIに与える参照範囲と操作の権限は、業務に必要な最小限にする
- 委託先に求める:アクセス制御、ログ、フィルタリングの機能と対応状況。契約や調達仕様に明記
ひっかけ
- 指示文に「見せない」と書くだけでは、アクセス制御の代わりにならない
- 入力の検査だけでは、外部データ経由の指示を防ぎきれない
想定問題
4問(科目A(四択))。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。
B さんが委託先に求める対応として、最も適切なものはどれか。
正解:イ 検索のとき、ログインした利用者の権限と各文書の権限を照合し、参照する文書を絞る。
ポイント
RAG の参照データのアクセス制御を、検索時の権限の照合から選ぶ問題です。
考え方と解き方
RAG は、保管先の権限管理に不備があると、見せてはいけない文書が回答に混ざります。指示文や注意喚起は、アクセス制御の代わりになりません。この立場なら、だれがどの文書を参照できるかを、仕組みで制御させることを先に考えます。
- 人事評価資料は人事部だけが閲覧できる文書です。検索のときに、利用者の権限と文書の権限を照合し、参照できる文書だけを回答に使う必要があります。
- 委託先に、権限の照合を仕組みとして実装させ、その対応状況を確かめます。したがって、最も適切なのは イ です。
ほかの選択肢
- ア 指示文に書くだけでは、検索の段階で参照範囲が絞られません。アクセス制御の代わりにはならないので、適切ではありません。
- ウ 注意喚起は利用者の行動に頼るもので、質問されても内容が回答に混ざらない状態にはなりません。適切ではありません。
- エ 回答を返したあとでは、閲覧できない従業員に内容がすでに渡っています。全ての回答を確認するのも現実的ではないので、適切ではありません。
覚えておくこと
- RAGの保管先(データストア)に権限の不備があると、閲覧できない文書が回答に混ざる
- RAGのアクセス制御:検索時に、利用者の権限と文書の権限を照合して参照先を絞る
(テーマ・覚えること)
委託先への依頼内容として、最も適切なものはどれか。
正解:エ メール本文中の不正な指示の検知と遮断を求め、権限の最小化とログの取得も重ねる。
ポイント
第三者が書き込める外部データを使う AI への、プロンプトインジェクション対策を選ぶ問題です。
考え方と解き方
メール本文のような外部データに不正な指示が仕込まれるおそれがあります。完全に防ぐ方法はないので、一つの対策に頼らず重ねます。この立場なら、被害を広げない権限とログも、委託先に先に求めます。
- メール本文は第三者が書き込める外部データなので、不正な指示の経路になります。外部データ中の悪意ある指示の検知と遮断の機能は、AI 提供者に求めますが、完全ではありません。
- そのため、参照できる範囲の最小化と、後から確かめるためのログを重ねます。したがって、最も適切なのは エ です。
ほかの選択肢
- ア 不審な語句の有無だけに頼ると、巧妙に偽装された指示を見逃します。一つの対策だけに頼るので、適切ではありません。
- イ 第三者が書き込めるメール本文こそが、攻撃の経路です。本文を信頼できる情報として扱うと攻撃を許すので、適切ではありません。
- ウ 完全に防ぐ方法は確立していません。機能が組み込まれていることを理由に追加の対策を設けないのは、適切ではありません。
覚えておくこと
- 完全に防ぐ方法は確立していない。複数の対策を重ねる(多層防御)
- 対策の例:入出力のフィルタリング、権限の最小化、ログの取得、人の承認
- 外部データ中の悪意ある指示の検知、遮断の機能は、AI提供者に求める。完全ではない
(テーマ・覚えること)
AI の実装に関する記述 a〜c のうち、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a RAG の参照データは、信頼性、正確性の高い出典を使い、定期的に品質を管理する。
- b AI に与える参照範囲と操作の権限を業務に必要な最小限にすると、乗っ取られたときの被害を抑えられる。
- c AI アシスタントをクラウドサービスとして導入する場合、提供者の対策の一覧を受け取れば、自社の利用条件での確認は不要である。
正解:ア a、b
ポイント
AI の実装で、委託先に確かめることの適切さを問う問題です。
考え方と解き方
RAG の参照データの品質と、AI に与える権限の最小化は、どちらも実装で確かめます。調達の確認は、提供者の対応状況に加え、自社の利用条件に照らして行います。
- a は適切です。参照データは、信頼性と正確性の高い出典を使い、品質を管理します。b は適切です。権限を最小限にすると、乗っ取られたときの被害を抑えられます。c は不適切です。提供者の対策の一覧だけでなく、自社の利用条件で確かめます。
- したがって、適切なのは a、b の全てで、ア です。
ほかの選択肢
- イ c は不適切なので、a、b、c の全てとはなりません。
- ウ b も適切なので、a、c では組合せが合いません。また、c は不適切です。
- エ a も適切なので、b、c では組合せが合いません。また、c は不適切です。
覚えておくこと
- RAGの参照データは、信頼性、正確性の高い出典を使い、定期的に品質を管理する
- AIに与える参照範囲と操作の権限は、業務に必要な最小限にする
- 委託先に求める:アクセス制御、ログ、フィルタリングの機能と対応状況。契約や調達仕様に明記
(テーマ・覚えること)
AI for Security と Security for AI の説明の組合せとして、最も適切なものはどれか。
正解:ウ AI for Security は AIを使って監視、分析、対応を支援する取組み、Security for AI は AIシステム自体を攻撃や誤用から守る取組みである。
ポイント
AI を使った対策と、AI を守る対策の区別を問う問題です。
考え方と解き方
名前の向きで区別します。for Security は AI がセキュリティの手段、for AI は AI が守る対象です。向きを入れかえた説明が、いちばん取りちがえやすい形です。
- AI for Security は、AI を使って、監視、分析、対応を支援する取組みです。Security for AI は、AI システム自体を、攻撃や誤用から守る取組みです。
- したがって、最も適切なのは ウ です。
ほかの選択肢
- ア 2つの説明を入れかえています。AIシステム自体を守るのは Security for AI で、AIを使って支援するのは AI for Security です。
- イ 利用者の認証や出力の確認は、AIシステムを守る具体策で、Security for AI 側の内容です。AI for Security の説明にはなりません。
- エ AI を使った攻撃は、2つとは別の観点です。AI for Security は対策のために AI を使う取組みで、Security for AI は AI を守る取組みです。
覚えておくこと
- AI for Security:AIを使って、監視や分析、対応を支援する取組み
- Security for AI:AIシステム自体を、攻撃や誤用から守る取組み
(テーマ・覚えること)
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