分野 S|セキュリティ 重点分野
ハッシュ関数とデジタル署名(改ざん検知)
今の制度の過去問(6回分)では、ハッシュ値の性質や使う目的、デジタル署名の鍵、メッセージ認証符号の問題が 4 問出ています。
シラバス案 Ver.0.1(2026年9月30日公表)の『7 暗号技術(技術的管理策のうち「暗号の利用」に対応)/ハッシュ関数』『4 技術的管理策に関する技術・手法(情報アクセスの管理)/認証・署名』
最終更新
問われ方
- ハッシュ値の性質、使う目的を選ぶ形
- デジタル署名の鍵の組み、メッセージ認証を選ぶ形
- 問われるとしたら:改ざん検知と否認防止の両方が要る場面で、方法を選ぶ形
覚えること
- ハッシュ関数:データから固定長のハッシュ値を求める。元のデータには戻せない
- 同じデータからは同じハッシュ値。わずかに違えば値は大きく変わる
- SHA-2(SHA-256 など):SHA-256 は 256 ビット(16 進で 64 桁)の値を出す
- MD5・SHA-1:危殆化(安全性の低下)。新しい仕組みでは使わない(SHA-1 は互換性のため)
- メッセージダイジェスト:メッセージから求めたハッシュ値のこと
- 原本と複製、保管前と後のハッシュ値を比べ、同一かどうかを確かめる
- ハッシュ値だけを付けても、改ざん後に計算し直して差し替えられると検知できない
- メッセージ認証:改ざんの有無と送信元を確かめること。MAC はその方法の一つ
- メッセージ認証符号(MAC):共有の鍵とメッセージから作る値
- 鍵を知らない者は、正しい MAC の値を作れない
- デジタル署名:署名者の署名鍵で作り、公開された検証鍵で検証する
- 署名で、改ざん検知に加えて署名者の確認と否認防止ができる
- 署名鍵は署名者だけが保管し、検証鍵は検証する側に渡す
ひっかけ
- ハッシュ値(鍵なし)とメッセージ認証符号(共有の鍵)の取りちがえ
- 署名の作成は署名鍵、検証は検証鍵(逆にしない)
想定問題
4問(科目A(四択))。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。
B さんが採用する方法として、最も適切なものはどれか。
正解:エ 作成者が自分の署名鍵で文書に署名し、閲覧者が検証鍵で検証する
ポイント
改ざん検知と否認防止の両方を満たす方法を、事例から選ぶ問題です。
考え方と解き方
要件は 2 つあります。改ざんの検知と、作成者の否認防止です。ハッシュ値だけでは、だれが作ったかは分かりません。管理者の立場なら、2 つの要件を同時に満たす仕組みを先に考えます。
- デジタル署名は、作成者だけが持つ署名鍵で署名を作り、検証鍵で検証します。文書が変わると検証に失敗するので、改ざんを検知できます。
- 署名鍵は作成者だけが持つので、作成者の確認と否認防止もできます。したがって、最も適切なのは エ です。
ほかの選択肢
- ア MD5 は危殆化しており、改ざん検知に新たに使うのは避けます。また、ハッシュ値だけでは作成者の否認防止になりません。
- イ 共通鍵での暗号化は内容を隠すもので、鍵を全員で共有するので、作成者を特定できず、否認防止になりません。
- ウ ハッシュ値を比べるだけでは、ハッシュ値ごと差し替えられると改ざんを検知できません。また、だれが作ったかも確かめられず、否認防止になりません。
覚えておくこと
- デジタル署名:署名者の署名鍵で作り、公開された検証鍵で検証する
- 署名で、改ざん検知に加えて署名者の確認と否認防止ができる
- ハッシュ値だけを付けても、改ざん後に計算し直して差し替えられると検知できない
(テーマ・覚えること)
C さんが示す対応として、適切なものだけを全て挙げたものはどれか。
- a 調査用に複製したデータは、複製元と複製の SHA-256 の値を比べて、同一かどうかを記録する。
- b 取引先に渡す文書の署名は、検証鍵を取引先に渡し、取引先に検証してもらう。
- c 古い装置との互換性のためだけに SHA-1 を残す場合でも、新しい仕組みには SHA-256 などを使う。
正解:ウ a、b、c
ポイント
ハッシュ値の使い方と署名の鍵の扱いを、部門への対応から問う問題です。
考え方と解き方
ハッシュ値は同一性の確認に、署名の検証鍵は確かめる側に渡して使います。古いハッシュ関数は互換性のためだけに残し、新しい仕組みには使いません。管理者の立場では、3 つとも別の観点なので、1 つずつ判定します。
- a は適切です。同じデータなら同じハッシュ値になるので、複製元との同一性を確かめられます。b は適切です。検証鍵は確かめる側に渡すもので、署名鍵は署名者だけが保管します。c は適切です。SHA-1 は互換性のためだけにし、新しい仕組みには SHA-256 などを使います。
- したがって、適切なのは a、b、c の全てで、ウ です。
ほかの選択肢
- ア c も適切なので、a、b では組合せが合いません。
- イ a も適切なので、b、c では組合せが合いません。
- エ b も適切なので、a、c では組合せが合いません。
覚えておくこと
- 原本と複製、保管前と後のハッシュ値を比べ、同一かどうかを確かめる
- 署名鍵は署名者だけが保管し、検証鍵は検証する側に渡す
- MD5・SHA-1:危殆化(安全性の低下)。新しい仕組みでは使わない(SHA-1 は互換性のため)
(テーマ・覚えること)
D さんが採用する方法として、最も適切なものはどれか。
正解:イ 共有の秘密の鍵と測定値から MAC の値を求め、測定値に付けて送る
ポイント
共有の鍵がある状況で、改ざんを検知する方法を選ぶ問題です。
考え方と解き方
鍵を共有している相手どうしなら、メッセージ認証符号(MAC)で改ざんと送信元を確かめられます。鍵を使わない値は、書き換えた人が作り直せてしまいます。この立場なら、攻撃者が値を作り直せないかを先に考えます。
- メッセージ認証符号(MAC)は、共有の秘密の鍵と測定値から値を求めて付けます。受信側が同じ鍵で求め直して比べれば、書き換えを検知できます。
- 鍵を知らない者は正しい値を作れないので、書き換えに合わせた値を付け直せません。したがって、最も適切なのは イ です。
ほかの選択肢
- ア 鍵を使わないハッシュ値は、書き換えた人が測定値に合わせて計算し直して差し替えられるので、検知できません。
- ウ ハッシュ値は元の値に戻せないので、受信側は測定値を知ることができません。MD5 は危殆化しており、避けます。
- エ 署名は署名者の署名鍵で作り、検証は公開された検証鍵で行います。受信側の公開鍵では、署名を付けることになりません。
覚えておくこと
- メッセージ認証:改ざんの有無と送信元を確かめること。MAC はその方法の一つ
- メッセージ認証符号(MAC):共有の鍵とメッセージから作る値
- 鍵を知らない者は、正しい MAC の値を作れない
(テーマ・覚えること)
改ざん検知に関わる技術の説明として、最も適切なものはどれか。
正解:ア デジタル署名は、署名者の署名鍵で作り、公開の検証鍵で検証するので、署名者の確認や否認防止にも使える。
ポイント
改ざん検知に関わる技術を、取りちがえずに選ぶ問題です。
考え方と解き方
似た用語は、鍵を使うか、復元できるか、値の長さがどうなるかで区別します。デジタル署名は署名鍵と検証鍵の組み、MAC は共有の鍵、ハッシュ関数は固定長です。
- デジタル署名は、署名者の署名鍵で作り、検証鍵で検証します。署名者の確認や否認防止にも使えます。
- 他の説明は、別の技術や誤った性質の説明です。したがって、最も適切なのは ア です。
ほかの選択肢
- イ メッセージダイジェストは、メッセージから求めたハッシュ値です。一方向なので、元のメッセージは復元できません。
- ウ MAC は共有の鍵を使います。公開鍵と検証鍵の組みを使うのは、デジタル署名の説明です。
- エ ハッシュ値の長さは、入力の大きさに関わらず固定です。SHA-256 なら、どんなデータでも 256 ビットです。
覚えておくこと
- デジタル署名:署名者の署名鍵で作り、公開された検証鍵で検証する
- 署名で、改ざん検知に加えて署名者の確認と否認防止ができる
- メッセージダイジェスト:メッセージから求めたハッシュ値のこと
(テーマ・覚えること)
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