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損益通算と総所得金額の計算

過去の公開問題では、損益通算できる損失を選ぶ問題が3問、総所得金額を求める計算問題が2問、5回分で合わせて5問出ています。

最終更新

よく出る形

  • 各所得の損失のうち、損益通算できるものを選ぶ(5回分で3問)。土地の取得の利子の部分は3問とも選択肢にある
  • 総所得金額を求める計算が出る(5回分で2問)。通算できない損失や、一時所得の2分の1出どころを混ぜる

覚えること

  • 損益通算(損失をほかの所得から差し引くこと)の対象は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つ出どころ
  • 配当所得・給与所得・一時所得・雑所得に損失が出ても、ほかの所得から差し引けない
  • 通算できない損失:不動産所得の損失のうち、土地の取得に要した負債の利子に相当する部分
  • 通算できない損失:不動産所得の損失のうち、別荘など生活に通常必要でない資産の貸付けによる分
  • 通算できない損失:ゴルフ会員権・趣味の別荘など、生活に通常必要でない資産の譲渡損
  • 通算できない損失:1個または1組の価額が30万円出どころを超える貴金属・書画・骨とうなどの譲渡損
  • 通算できない損失:生活の用に供する家具・衣服・自家用車などの売却損
  • 通算できない損失:申告分離課税の株式等・先物取引の損失は、それぞれ以外の所得と通算できない
  • 通算できない損失:一定の居住用財産以外の土地建物等の譲渡損は、土地建物等以外の所得と通算できない
  • 順序:不動産所得・事業所得の損失は、まず経常所得(利子・配当・不動産・事業・給与・雑の各所得)から差し引く
  • 順序:引ききれない分は、次に譲渡所得・一時所得、なお残る分は、まず山林所得、次に退職所得から差し引く
  • 順序:譲渡所得の損失は、まず一時所得から差し引き、引ききれない分を経常所得から差し引く
  • 順序:山林所得の損失は、経常所得、譲渡所得・一時所得、退職所得の順に差し引く
  • 青色申告書を提出した年分の純損失(通算で引ききれない損失)は、原則として翌年以後3年出どころ間、繰り越して引ける(繰越控除)
  • 白色申告の年分でも、純損失のうち変動所得の損失と被災事業用資産の損失は、翌年以後3年出どころ間繰り越せる
  • 繰越控除は、損失の年分の確定申告書を出し、その後も毎年続けて確定申告書を出す場合に使える
  • 繰戻し還付:損失の年の青色申告書を期限内に出し、前年も青色申告なら、純損失を前年分に繰り戻して還付を受ける
  • 総所得金額=損益通算後の経常所得+総合課税の譲渡所得+一時所得(山林所得・退職所得は入らない)
  • 長期(所有期間5年出どころ超)の譲渡所得は2分の1出どころ、一時所得も2分の1にして加える(損益通算のあと。短期は全額)

数字と計算

  • 例:給与450万円、事業▲60万円、ゴルフ会員権の損▲30万円(通算不可)。450万円-60万円=総所得金額390万円
  • 例:不動産50万円、事業▲80万円、一時所得60万円。50万円-80万円=▲30万円を、一時所得から引く
  • 一時所得は60万円-30万円=30万円。その2分の1出どころで、総所得金額は15万円

ひっかけ

  • 通算できないのは「土地」の取得の利子に相当する部分だけ。建物の取得の利子による損失は通算できる
  • 損失は、一時所得・長期譲渡所得を2分の1出どころ出どころにする前に差し引く。あとでは差し引かない

想定問題

4問(四答択一式)。選ぶと、その場で正解と解説が開きます。

想定問題 1四答択一式

所得税における損益通算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

正解:1 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、建物の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、損益通算することができない。

ポイント

損益通算できる損失とできない損失を見分けて、最も不適切な記述を選ぶ問題です。

考え方と解き方

不動産所得の損失で通算できないのは、負債の利子のうち、何を取得するための借入れかで決まる部分です。土地と建物を取りちがえると、適切な記述が不適切に見えます。

  1. 不動産所得の損失のうち、生じなかったものとみなされて通算できないのは、土地の取得に要した負債の利子に相当する部分だけです。建物の取得に要した負債の利子による損失は、通算できます。
  2. 1)は、建物の利子まで通算できないとしているので、不適切です。したがって、最も不適切なのは 1 です。正しくは、建物の取得に要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、損益通算することができる、です。

ほかの選択肢

  • 2 損益通算の対象になる損失が生じる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つです。山林所得の損失は、給与所得や不動産所得の入る経常所得から差し引けるので、適切です。
  • 3 生活の用に供する家具などの生活用動産を売却した損失は、生じなかったものとみなされます。ほかの所得の金額と通算できないので、適切です。
  • 4 別荘など、生活に通常必要でない資産の貸付けによる不動産所得の損失は、生じなかったものとみなされ、ほかの所得の金額と通算できません。適切です。

覚えておくこと

  • 損益通算(損失をほかの所得から差し引くこと)の対象は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の4つ
  • 通算できない損失:不動産所得の損失のうち、土地の取得に要した負債の利子に相当する部分
  • 通算できない損失:生活の用に供する家具・衣服・自家用車などの売却損

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:損益通算できる所得の数

想定問題 2四答択一式

所得税における純損失の繰越控除および繰戻し還付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

正解:3 純損失の繰戻し還付は、前年も青色申告をしている場合に、損失が生じた年の前年分の所得税額の還付を受けることができる制度である。

ポイント

純損失の繰越控除と繰戻し還付の内容を問う問題です。

考え方と解き方

繰越しは損失をあとの年に回す制度、繰戻しは損失を前の年に戻す制度です。どの年に動かすかと、何を純損失というかを取りちがえると、誤りになります。

  1. 純損失とは、損益通算をしてもなお引ききれない損失の金額です。青色申告書を提出した年分の純損失は、原則として翌年以後3年間、繰り越して各年分の所得金額から引けます(繰越控除)。
  2. 繰戻し還付は、損失の年の青色申告書を期限内に出し、前年も青色申告をしている場合に使えます。損失を前年分の所得金額に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けます。
  3. 3)は、この内容と同じです。したがって、最も適切なのは 3 です。

ほかの選択肢

  • 1 繰越期間を2年間としている所が違います。正しくは、原則として翌年以後3年間です。
  • 2 繰り戻す先を翌年分としている所が違います。正しくは、損失が生じた年の前年分に繰り戻し、前年分の所得税の還付を受けます。
  • 4 純損失を、損益通算をする前の損失の合計額としている所が違います。正しくは、損益通算をしてもなお引ききれない損失の金額です。

覚えておくこと

  • 青色申告書を提出した年分の純損失(通算で引ききれない損失)は、原則として翌年以後3年間、繰り越して引ける(繰越控除)
  • 繰戻し還付:損失の年の青色申告書を期限内に出し、前年も青色申告なら、純損失を前年分に繰り戻して還付を受ける

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:純損失の繰越控除の繰越期間(青色申告者)

想定問題 3四答択一式

所得税における損益通算の順序に関する次の記述の空欄(ア)〜(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、経常所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得および雑所得をいう。

事業所得の金額の計算上生じた損失の金額は、まず(ア)の金額から控除する。控除しきれない損失の金額は、次に(イ)の金額から控除する。それでもなお控除しきれない損失の金額は、まず(ウ)の金額から、次に退職所得の金額から控除する。

正解:4 (ア)経常所得、(イ)譲渡所得および一時所得、(ウ)山林所得

ポイント

損失を差し引く相手の順番を問う問題です。

考え方と解き方

損益通算には、損失を差し引く相手の順番が決まっています。問われているのは、事業所得の損失が、どの所得から先に差し引かれるかの並びです。

  1. 事業所得の損失は、まず経常所得(利子・配当・不動産・事業・給与・雑の各所得)から差し引きます。これが(ア)です。
  2. 引ききれない損失は、次に譲渡所得・一時所得(イ)から差し引きます。それでもなお残る損失は、まず山林所得(ウ)、次に退職所得から差し引きます。
  3. したがって、最も適切なのは 4 (ア)経常所得、(イ)譲渡所得および一時所得、(ウ)山林所得 です。

ほかの選択肢

  • 1 (ア)と(イ)が入れかわっています。事業所得の損失を最初に差し引くのは経常所得で、譲渡所得・一時所得は、そのあとです。(ウ)の山林所得は合っています。
  • 2 (イ)と(ウ)が入れかわっています。経常所得で引ききれない損失は、山林所得より先に譲渡所得・一時所得から差し引きます。山林所得は、そのあとです。
  • 3 (ア)と(ウ)が入れかわっています。山林所得は最初ではなく、譲渡所得・一時所得のあとに差し引く相手です。経常所得が最初になります。

覚えておくこと

  • 順序:不動産所得・事業所得の損失は、まず経常所得(利子・配当・不動産・事業・給与・雑の各所得)から差し引く
  • 順序:引ききれない分は、次に譲渡所得・一時所得、なお残る分は、まず山林所得、次に退職所得から差し引く

(テーマ・覚えること)

想定問題 4四答択一式

下記の〈Aさんの各種所得の金額〉に基づく、Aさんの所得税における総所得金額として、最も適切なものはどれか。なお、▲が付された所得の金額は、その所得に損失が発生していることを意味するものとする。

〈Aさんの各種所得の金額〉
・給与所得の金額:500万円
・不動産所得の金額:▲70万円(土地の取得に要した負債の利子の額30万円を含む)
・譲渡所得の金額:▲40万円(事業用の機械を売却したことによる損失の金額)
・一時所得の金額:100万円(懸賞に当選したことによる所得の金額)

正解:2 490万円

ポイント

通算できる損失とできない損失を分け、一時所得の2分の1まで当てはめて、総所得金額を求める問題です。

考え方と解き方

間違えやすい所は2つあります。土地の取得の利子の部分を通算に入れてしまうことと、一時所得の2分の1を、損失を差し引く前にかけてしまうことです。

  1. 不動産所得の損失▲70万円のうち、土地の取得に要した負債の利子に相当する30万円は、通算できません。通算できる損失は、70万円-30万円=40万円です。
  2. 経常所得は、給与所得500万円-不動産所得の通算できる損失40万円=460万円です。譲渡所得の損失▲40万円は、まず一時所得から差し引き、100万円-40万円=60万円です。
  3. 一時所得60万円は、損益通算のあとで2分の1にするので30万円です。総所得金額は、460万円+30万円=490万円です。したがって、最も適切なのは 2 490万円 です。

ほかの選択肢

  • 1 460万円:土地の取得に要した負債の利子30万円まで通算した額です(500万円-70万円+(100万円-40万円)の2分の1)。この利子の部分は通算できないので、不動産所得の通算できる損失は40万円です。
  • 3 510万円:譲渡所得の損失▲40万円を差し引かず、一時所得100万円を2分の1にして加えた額です(460万円+50万円)。譲渡所得の損失は、まず一時所得から差し引きます。
  • 4 520万円:一時所得60万円を2分の1にしないで加えた額です(460万円+60万円)。損益通算のあとで、2分の1にします。

覚えておくこと

  • 通算できない損失:不動産所得の損失のうち、土地の取得に要した負債の利子に相当する部分
  • 順序:譲渡所得の損失は、まず一時所得から差し引き、引ききれない分を経常所得から差し引く
  • 長期(所有期間5年超)の譲渡所得は2分の1、一時所得も2分の1にして加える(損益通算のあと。短期は全額)

(テーマ・覚えること)

数字の出どころ:一時所得の総所得金額への算入割合・総合課税の譲渡所得の長期・短期の境目(所有期間)・総合課税の長期譲渡所得を総所得金額に入れる割合

1問ずつの画面で解く(4問)

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